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新型コロナウイルスと商品相場[佐藤りゅうじ]

上値追いのゴールド

 国際通貨基金(IMF)は4月14日に改定した世界経済見通しで、2020年の成長率予測をマイナス3.0%に引き下げました。クリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事は会見で、今回の新型コロナウイルスの災禍は2009年の金融危機時を超えて「大恐慌以来の経済悪化」となる懸念があると述べました。

 全世界に景気後退を巻き起こす可能性が高まっている新型コロナウイルスですが、商品市場の反応はさまざまです(チャート①参照)。今回は前号に続き、新型コロナウイルスがもたらした商品相場の変化を見ていきます。

商品市場の反応、年初来騰落率

 新型コロナウイルスの影響を最も受けている商品の一つが金(ゴールド)です。日本でも、東京商品取引所の金先物が大きく値上がりし、4月15日の夜間取引で指標価格は一時1グラムあたりで5989円をつけ、1982年3月23日の取引開始以来の過去最高値を連日更新しました。ドル建てゴールドは、4月14日に1746ドルまで上昇し、2012年10月以来の高値をつけました。世界最大のゴールド上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールド・シェアの残高も1017トンと、1000トンを超えており、ゴールドへの資金流入が目立っています。

 この背景として、新型コロナウイルスの災禍を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が無制限の金融緩和を行っていることが挙げられます。金利を生まない(正確には全く生まないわけではない)ゴールドは、緩和政策下ではその根源的価値が高まっていきます。リーマンショック後の値動きを見ても、ショック直後はキャッシュ化の動きから下落しましたが、1か月でその動きが収束すると、超緩和政策を背景に価格は3倍まで跳ね上がりました。

 新型コロナウイルス感染拡大という、全く先の見えない状況の中でFRBができることは、マネーを供給して経済を安定させることです。今後、さらなる追加緩和策をとってくるはずです。ゴールドの上値余地は十分にあり、2011年9月の高値1920ドルもいずれ視界に入ってくるでしょう。

原油は大暴落

 一方、大暴落を演じたのが原油相場です。4月13日、石油輸出国機構(OPEC)プラスは日量970万バレルの協調減産で合意しました。多くのメディアは、「原油価格戦争に終止符」「歴史的合意」とはやし立てていましたが、このときの原油需給は新型コロナウイルスの影響で需要が2〜3割(日量2000~3000万トン)減少し、貯蔵タンクもほぼ満杯に近い状態でした。日量970万バレル程度の減産では、全く問題の解決にはならない状況でした。

 そして、歴史的な一日となった4月20日を迎えます。この日は5月限納会日の前日でした。通常、納会日の前日には現物に絡まないポジションの多くは決済されます。しかし、5月限は17日時点で、納会日の前々日の取組高としては、通常の倍近い10万枚超も残っていました。3月中旬から、原油市場にはETFを含めて、協調減産への期待や値ごろ感から買いが入っていました。恐らく、5月限に受け渡しにあまり精通していない向きの買いが残っていた上、現物を扱う業者が現受けしても貯蔵タンクは満杯に近い状態であり、買い玉を手仕舞いせざるを得ない状況だったと思われます。

 このため売りが殺到したのですが、このような状況下では買い手も少なく、価格がどんどん飛び、強制執行の売りも巻き込み、最終的にはマイナス40.32ドルまで下落しました。これが意味するのは、仮にこの値段で納会となれば、売り方が1バレル=40.32ドル支払って、買い方に原油を持っていってもらうということです。

 現状、世界経済も再開されていない上、減産の拡大もされておらず、原油需給は歴史的な緩和状態が続いています。原油価格はしばらく安値圏に低迷しそうです。

穀物相場にも異変

 新型コロナウイルスの影響は、小麦やコメなどの穀物相場にも及んでいます。小麦価格は、この1か月で10%以上上昇しています。これは3月半ばくらいから、小麦、コメなどの輸出制限を始める国が現れたためです。小麦はロシアが世界最大の輸出国ですが、国内への供給を優先するとして、4-6月期の輸出量を700万トンにキープしました。4月に入り、これにウクライナも追随しています。

 ただ、ロシアの前年同期の輸出量は720万トンと、3%弱の減少ということなので、著しい影響が出ることはないでしょう。むしろ、現時点で問題なのは、新型コロナウイルスにより人の動きが制限されているため、物流を担う労働力が減少していることです。また、欧州の農業従事者の多くは北アフリカなどからの出稼ぎ労働者によって賄われているため、人の移動の制限が長期化すれば、今年の生産に影響が出てくるでしょう。穀物相場も一段高の可能性がありそうです。

※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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