FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2020年4月27日号
先週のドル円相場は
107円台中心の狭いレンジでのもみ合いに終始した。「日銀が27日の金融政策決定会合で追加緩和を打ち出す最終調整に入った」との報道を受けて108.04円まで上昇したものの、滞空時間は短く、107円台後半へ押し戻されてレンジ取引となった。
原油相場暴落の背景
ドル円相場が方向感を失いつつある中、先週市場を驚愕させたのは原油相場の暴落だ。20ドル前後で推移していたWTI先物は、限月交代を控えた20日、急激に値を下げ一気に10ドル割れ。ここから買い手不在の中さらに売りが売りを呼ぶ大暴落となり、何とマイナス40ドルという異常値を記録した。
もちろん、米国産原油受け渡し地であるオクラホマ州クッシングの貯蔵能力がフルに近づいているという特殊事情が背景にあったことは確かだ。誰も期日に現物を引き取りたくないためババ抜きのような状態となり、最後に売り手はやむなくペナルティーを払って原油を引き取ってもらったというわけだ。
だが、原油安の根本的な原因は、世界的なコロナウイルスの蔓延により、働き方やライフスタイルが大きく変わったことだ。コロナウイルスはいずれ終息するだろうが、人々の生活はすぐには元に戻らない。人の移動とエネルギー消費が不可逆的に減少したコロナ後の世界で、原油価格は長期低迷が避けられないだろう。
為替相場への影響
原油安が為替相場に与える影響は様々だが、資源国通貨に対する打撃が最も大きいことは明らかだ。カナダドル、豪ドル、ノルウェークローナ、メキシコペソなど産油国通貨は2月下旬からの原油安を受けて真っ先に急落している。南アランドやトルコリラなど新興国通貨も壊滅的だ。そして資源国・新興国から逃げ出した資金の受け皿となったのは、まずドルであった。
原油相場と資源国・新興国通貨、ドル円、ドルインデックス 出所:NetDania
しかしシェールオイルを産出する米国は今や世界最大の産油国であり、石油純輸出国だ。原油安はマクロ的には米国の対外収支を悪化させ、ミクロ的には石油業界の経営を脅かす。つまり原油安はドル安要因でもあるのだ。資源国から米国に逃避した資金が次に向かうのはどこか。それは石油全量を輸入に依存する日本ではなかろうか。
金融緩和で周回遅れの日銀
今週は本日4月27日に日銀金融政策決定会合、28、29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、30日に欧州中銀(ECB)理事会が開催される。G3の中央銀行が、コロナ不況に立ち向かうための金融緩和を競い合う。
FRBはフォワードガイダンスで強力な金融緩和を継続することを約束すると見られる。ECBもパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の規模を現行の7500億ユーロから1.25兆ユーロに拡大すると見られているほか、ジャンク債購入やマイナス金利の深掘りに踏み切る可能性もある。
一方日銀は国債の購入額を無制限とするなどとリークされているが、これはFRBの後追いであり、欧米と比べて圧倒的に見劣りする。各中銀の金融緩和策が出揃う今週、レースで周回遅れとなった円が消去法的に買われる公算が大きい。
日本のゴールデンウィーク入りで薄商いとなる中、ちょっとしたニュースでもフラッシュクラッシュのような値動きとなることも考えられる。今週から来週にかけて、ドル円の下値警戒をさらに高めておくべきだろう。
なお来週(5月4日)の当コラムは休載となりますのでご了承ください。
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