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天然ゴム復活なるか[佐藤りゅうじ]

12年ぶりの安値をつける

 今年の2月号で天然ゴム相場について書かせていただいたとき、東京ゴム先限はキロあたり200円以上、需給関係に変化の兆しがあり、一段高の可能性もあるとしました。しかし、新型コロナウイルスの影響から相場は一変しました。一時、2009年3月以来の安値まで急落、その後、やや水準を引き上げていますが、戻りは鈍いです。今回は、急落したゴム相場の今後を考えてみます。

東京ゴム先現(日足)

 まず、今年のゴム相場を東京ゴム先限(呼び値1キログラム)のチャートを見ながら簡単に振り返りましょう(チャート①参照)。昨年10月からの米連邦準備制度理事会(FRB)のストレス緩和に呼応し株式市場が上昇を始めると、天然ゴム価格も上昇を開始し、今年1月17日には208.7円まで水準を引き上げました。ただ、1月の上昇場面では出来高を伴っていない上、当先の順ザヤが32円超まで拡大(現物価格は上昇が鈍い)していました。まさに天井圏の動きでした。

 そして、このタイミングで新型コロナウイルスの災禍が中国の武漢を中心に広まっていきました。ゴム相場は急落を開始し、1月21日に大節の200円を下抜くと、同月27日には170.0円まで水準を引き下げました。わずか6営業日で18.5%もの下落です。さらに2月4日には165.6円をつけ、2月21日には190.4円まで戻しますが、新型コロナウイルスの災禍が全世界に拡散すると、その後はほぼ一方的な下げ相場となり、4月2日には2009年3月17日以来、約12年ぶりの安値となる138.3円まで下落しました。2か月半で33.7%の下落です。4月中旬以降は、150円を中心に上下5円前後でのもみ合いとなっています。

株価と商品価格 どちらが実勢を映すか

 ただ、ダウ平均株価が3月23日に1万8213ドルの安値をつけてから、世界的な超緩和政策を受けて2万4500ドル超まで戻し、2月12日につけた史上最高値2万9568ドルからの下落に対し、半値戻しを達成しているのを見ると、ゴム相場の低迷には違和感を覚えます。

 天然ゴムの最大の需要先は、自動車タイヤです。自動車は耐久財であり、多種多様な部品が使われることから、自動車需要の回復はすそ野の広い景気回復につながります。このため、天然ゴム価格は比較的経済情勢や株価と連動する傾向が強いです。しかし、今回は全くといってよいほど、株価の戻りについていけていません。

 一方、商品の中で景気のバロメーターと呼ばれる銅価格を見ると、こちらも1月から3月にかけて6343ドルから4371ドルまで急落しましたが、その後5464ドルまで戻し、半値戻しを一時達成して株価と似た動きを見せました。ただ、米中関係の緊迫化などを背景に5月中旬に入ると再び軟化しています。

 ダウ平均株価、天然ゴム、銅の値動きを見ると、ダウ平均株価は流動性相場に浸っているように見られ、ゴム価格の方が経済の実情に近いと見られます。

中国自動車販売が回復傾向だが…

 世界最大の自動車市場である中国を見ると、最悪期は脱したようですが、明るさは見られません。5月11日に中国汽車工業協会(CAAM)が公表した4月の自動車販売台数を見ると、前年同月比4.4%増の207万台となりました。前年同月比で増加に転じるのは、2018年6月以来約2年ぶりのことです。中国では、新型コロナウイルスで停止した経済活動が再開し始めた上、感染対策として公共交通機関を使わない動きがあり、このことも自動車購入意欲を高めたようです。

 ただ、CAAMは2020年の通年での販売台数見通しについては、新型コロナウイルスの流行が続けば、前年比で最悪25%減になるとしています。感染が抑え込まれたとしても、同15%前後の減少になるとの見方を示しており、4月に販売台数が増えたのは2月、3月と経済が停止した反動と見ているようです。

米中関係悪化

 また、ここにきて米中関係の緊張が高まっていることも懸念材料です。全国人民代表大会(全人代)では、李克強首相が「国家安全法を巡り、香港の法律を完全なものにする必要がある」と述べました。また、台湾については「台湾の市民には独立運動への反対を奨励」と発言しています。一方、トランプ米大統領は、これらの中国の姿勢に対処する方針を明らかにしています。

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安値低迷は続くか

 先程述べたように、現在の株価は流動性相場となっている可能性が高く、実態を映していないことが考えられます。また、天然ゴムの最大消費国が中国であり、第2位が米国であることを考えると、両国の関係悪化、そして景気減速はゴム相場にとって大きなマイナス材料です。

 これらを勘案すると、天然ゴムの復活には、まだ時間が掛かりそうです。また、商品価格の下落が経済の実態を映しているとすれば、株式市場も下落の可能性がありそうです。

※この記事は、FX攻略.com2020年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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