今回は「何故テクニカル分析がFXトレードで重要か」ということについてお話ししていきます。
伝統的なファンダメンタルズ分析をFXに適用させるのは不可能
まず、FXトレードにおいて、厳密なファンダメンタルズ分析というものはできません。ファンダメンタルズ分析というものは、「市場は必ず合理的な適正価格に収斂する」という哲学のもと、適正価格をファンダメンタルズの指標等で計算し、その理論値と現在のマーケットの価格との乖離度を用いてトレードを行っていく分析手法のことです。
FXは、そもそもこの合理的な適正価格というものを算出することができません。というのも、為替レートは通貨同士の交換比率であり、交換比率は需要と供給のバランスによって決まるものです。ですので、伝統的なファンダメンタルズ分析を、そもそもFXに適用させることは不可能なのです。
多くの投資家がFX取引において、ファンダメンタルズ分析を取り入れていますが、それは厳密には「ファンダメンタルズによる需給分析」と言った方が正しいでしょう。
テクニカル分析は、過去の値動きから需要と供給を読みに行く分析手法ですので、正しく言えば、FXトレードにおいて、
所謂ファンダメンタルズ分析とは…
「ファンダメンタルズ情報を利用したテクニカル分析」
所謂テクニカル分析とは…
「マーケットの価格のみを利用したテクニカル分析」
であると言えます。
FXではある意味上手く、所謂ファンダメンタルズ分析と、テクニカル分析が、喧嘩をすることなく共存できるというわけです。求めるべき目的変数が、結局のところは需給分析であるから、いがみあわない、というわけですね。
FXでテクニカル分析を行う価値はあるのか?
さて、ではそもそもこのテクニカル分析、つまり過去データを基にした需給分析というのは、行う価値のあるものなのでしょうか。
これは、理論的にも明確に“ある”と断言できます。
過去、効率的マーケット理論では、テクニカル分析の有用性が否定されてきました。所謂、ウィークフォームの効率性というものです。
ですが、これはいとも簡単に否定することができます。例えば、みなさんもやったことがあると思いますが、ある期間においては、驚く程精緻にマーケットの動きを説明できるテクニカル指標というものが存在します。
否定することは簡単で、ある期間においてそういった指標が存在する、というだけで、部分的にはウィークフォームの効率性が成り立たない、と言えるわけです。ただし、このようなテクニカル指標は、すぐにその有効性がなくなってしまいます。つまり、半永久的に続くマーケット全期間において、動きを説明できるテクニカル指標というものは存在しません。
ですが、一部でも効率性を否定できたということはとても重要です。つまり、マーケットにおけるアノマリーが確実に存在する期間があり、その期間に適切な分析手法を用いることで、ランダムウォーク理論からかけ離れたリターンを得ることができるということになるわけです。
では、マーケット全期間をみるとどうでしょうか。ここでは、自己相関という概念が役立ちます。これは、ある時系列とその時系列の過去の値に、相関があるかどうかを見る指標です。これをFXの通貨ペアに適用すると、基本的には自己相関がゆるやかながら見られると結論付ける論文が数多く存在します。
また、統計ソフトなどを使って頂ければ分析可能ですが、相場のフラクタル性を示すハースト指数も、0.5以上を多くの期間で示します。これは、相場がランダムウォーク的でないことの証明になります。
最後に、行動ファイナンスという分野の研究により、何故投資行動にある種のパターンが見られるのかというのを、データ分析の観点からだけではなく、理論的に考察もされており、今ではテクニカル分析は立派な行動ファイナンスにおける分析手法だという考えが共通認識になりつつあります。
以上の議論により、テクニカル分析を相場分析で用いる意味は、“ある”と断言できるというわけです。
次回より「価格ベースのテクニカル分析」を解説
今までのコラムでは「ファンダメンタルズベースのテクニカル分析」に必要な知識をおさらいしてきました。次回からのコラムでは、「価格ベースのテクニカル分析」に必要な知識をさらっていきます。
当然テクニカル分析は奥が深く、さらに市場構造の変化により、継続的にリターンを上げることは一筋縄ではいきません。最近はテクニカル分析も発達し、フラクタル分析、フーリエ解析やスペクトル解析などの信号解析理論の応用、CNNに代表されるような機械学習によるパターン認識等、より洗練された技法が用いられることも多々見られます。
ですが、相場のフィルタリングの初歩ともいえる、移動平均線やMACD、BBなど、古典的なテクニカル分析を学ぶ意義が完全に消えたというものでもありません。むしろ、しっかりと理解することで、より深いレベルでの分析が可能になります。
上級者の方には退屈になってしまうかもしれませんが、是非このコラムでもう一度、テクニカル分析の知識をおさらいしていきましょう。
では、まず次回は、古くから存在するテクニカル分析である「ダウ理論」について、説明していきたいと思います。
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