スプレッドは悪者なのか?[中里エリカ]

最近の日本のFX業者は多くの場合でスプレッドは固定となっている。またはキャンペーン中として狭いスプレッドを出して、キャンペーン後はスプレッドを元に戻すケースもある。この狭いスプレッドを求めるというのは世界的にみると、特に日本の投資家に多いようである。
一方で自動的に、または意図的に広げる変動スプレッドもある。スプレッドは狭ければ狭いほど良いのはもちろんだが、どんなときでも固定ではなく、ある一定のルールで広がるときがある。広がる場合はどういうことが想定されるのかの説明も必要だ。
有利な数値のみを強調してはいけないし、スプレッドが変動することを前提とする場合は上限値と下限値を、過去の実績値をもって表示する場合は実績の測定期間を記載しなければならない。
もちろん、広告内容と一致する場合でも、故意に提示価格または約定価格そのものを顧客に不利な方向に動かしていないか、もしくは約定を拒否または遅延していないかなども確認が必要になる。
また、取引時間によってもスプレッドが違うということもあるだろう。そもそもマーケットは取引する人が出したいレートで出すので、0.2のスプレッドが出た直後0.9になるというのもごく自然である。
実際、インターバンク取引ではマーケットで売値しかなく、買値が出てこないとか、買値はあるけれど売値は一円以上も上ということがあるので、ずっと売り買いそろっているFXのスプレッドは私がFXに関わるようになってから一番驚いた点である。
スプレッドはあって当たり前で、スプレッドが変動するのも当然であり、変動スプレッドが悪いわけではない。固定スプレッドは、何らかの方法でスプレッドを固定化しており、その分、マーケットが大きく動いたときなどの影響が出やすいこともある。
一方、変動スプレッドで外付けの手数料の場合は単純にカバー先から流れてくるプライスを出すだけなので、何らかの要因で相場が大きく動いた後でも比較的スプレッドの広がりが収れんされることも多い。
そもそも固定スプレッドでも変動スプレッドでも、投資家とFX業者双方にとって不利にならない方法で妥当なスプレッドが提示できているかどうかだと思う。
※この記事は、FX攻略.com2017年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
※当コラムは執筆者の個人的見解に基づいて書かれたものであり、所属先の考えを反映するものではございません。