女優・投資家である陽和ななみさんがトレード成績向上を目指してFXのスペシャリスト山中康司さんからFXで利益を出すために必要な全てを皆さんと共に学んでいきます。今回もテクニカル分析の応用としてカスタムインジケーターを紹介していただきます。
ストキャスティクスにRSIを代入した指標
陽和 前々回から山中先生にお勧めのカスタムインジケーターを教えていただいています。今回はまず「ストキャスティックRSI」についてです。
山中 計算のベースはストキャスティクスです。通常は高値・安値・始値・終値の四本値を使って計算しますが、このストキャスティックRSIは四本値ではなく、RSIの値を使います。相場の過熱感を見るRSIの値を使うことで四本値に比べてストキャスティクスの変化がより激しくなります。注意するべきは細かな変化が反映される一方で、ダマシも増えることです(画像①)。
陽和 少しの値動きでもインジケーターは大きく変化するんですね。
山中 これはどんなテクニカル指標でも同じなので、メリットとして生かせるようにしましょう。ストキャスティクスの見方で使ってもいいですしRSIの見方で使ってもいいですが、なるべくシンプルに使いましょう。
チャート①はTradingViewのストキャスティックRSIをポンド円の日足に表示したものです。パラメーターはデフォルトの数値を使い、%Dのみを表示しています。単純に%Dで買われ過ぎなのか売られ過ぎなのかを見ます。以前に、オシレーター系指標の説明で「ゾーン・エグジット」について紹介したのを覚えていますか?
陽和 ゾーンから出るときに注目する方法でしたよね。
山中 その通りです。今回もその見方をしていきます。2019年12月からポンド円がじりじり上昇し、英国総選挙の結果が出た日が最高値という動きになりました。12月のストキャスティックRSIの動きも同じように上がっていき、高値圏でもみ合っています。
陽和 買われ過ぎゾーン内で上げ下げを繰り返して、3度目の正直ではっきりゾーン・エグジットになっていますね。
山中 1回目のゾーン・エグジットでは非常に悩ましく、すぐにダマシになって戻しています。
陽和 最初のゾーン・エグジットで売りのエントリーをしていた場合は、買われ過ぎゾーンに戻ったときに手仕舞いした方がいいですか?
山中 はい、すぐに止めましょう。そうすることで、けがが少なくて済みます。ゾーンを抜けた後は、一気に下がっていますが、決済は売られ過ぎゾーンに入る「ゾーン・エントリー」でもいいですし、売られ過ぎゾーンから出ていくときまで待ってもいいです。ストキャスティックRSIなどのオシレーター系指標は基本的には逆張り系です。反転してもすぐにトレンドに戻ることがあるので、逆張りで使うならば素直に利食えるところで決済する方がいいと思います。
MT4でもストキャスティックRSIを表示してみます(チャート②)。同じパラメーターでもMT4の方がより上下の動きが極端です。これはTradingViewはRSIの値を移動平均化させているのに対し、MT4ではそのまま反映させているからです。例えば、2020年1月末から2月の始めの動きはTradingViewでは売られ過ぎゾーンから緩やかに上昇していますが、MT4では上げ下げを繰り返しています。
陽和 MT4のストキャスティックRSIではゾーンはどの辺りを意識すればいいですか?
山中 MT4ではセンターの値が0になっています。TradingViewでの20と80に相当する買われ過ぎの0.8、売られ過ぎの-0.8辺りを目安にすると同じ基準で使えます。また、どちらを使う場合でも自分の使い勝手がいいと思える数値で考えましょう。例えば、チャート①での表示は20と80ですが、これを30と70に変えれば先ほどの12月からのダマシがなくなるので、使い勝手がいいかもしれません。
陽和 トレーダーの性格によっても合う数値が変わってきそうですね。
山中 ここでは基本的な使い方を説明していますが、パラメーターをデフォルトのまま使うよりは自分の好みに合わせて変えてみることも大切です。
取引の出来高から分析
陽和 最後は出来高系のカスタムインジケーターをお願いします。
山中 TradingViewからは「出来高プロファイル」を紹介します(画像②)。株価などでは価格帯レシオといって、どの価格帯にどのくらいの出来高があるのかをチャートに表示します。
陽和 チャート画面に対して横にグラフが伸びている指標ですよね。
山中 そうです。その長短によって、それぞれの価格帯の出来高を見るものです。今回はより短期の「セッション」を使います。30分足もしくは1時間足で表示するのが基本的な使い方です。この使い方は「マーケットプロファイル」に近いです。マーケットプロファイルとは、もともとシカゴのトレーダーの間で使われていた分析方法です。売買のポイントというよりは、どこで均衡しているのかという価格の上下のバランスを知るものです。もみ合っていると、その価格帯の出来高はお団子が積み重なったように表示されます。トレンドが出ている場合には、出来高は縦に薄く伸びて表示されます。
見方としては、前日の価格帯や最頻値との比較が大事です。この前日の価格帯を見るときには、「前日の全取引の70%以上が取引された価格帯(70%価格帯)」を参考にします。その中で最も取引が多かった価格が最頻値となります。ドル円の1時間足に表示してみましょう(チャート③)。青い四角がそれぞれ1日の範囲で、その中に価格別の出来高が横棒グラフ、最頻値が赤い線で表示されています。
陽和 左側の4日間はもみ合いなので、最頻値もほとんど一直線ですね。
山中 よく見るとグラフの色が濃いものと薄いものがあります。色の濃い部分が70%価格帯になり、色の薄い部分が残り30%の価格帯になります。2020年2月19日は、価格が大きく上昇していますが1日の値幅では価格帯の下半分での出来高が多く、圧倒的に取引量が多かったのは安値圏だったことが分かります。ここで注目すべきなのは、それまでのもみ合いの水準を抜けて最初の数時間で既に前日までの70%価格帯を越えていることです。それまでの70%価格帯を抜けた方向にトレンドが出てくる可能性が高くなるからです。
陽和 確かにここでは強い上昇トレンドになっていますね。
山中 次の日を見ると今度は上の方に70%価格帯が来ており、高値圏に最頻値があります。その翌日も70%価格帯や最頻値がほぼ同じ辺りにあります。ですが、2月24日を見ると前日までの70%価格帯や最頻値よりも下抜けたところで取引が始まっているので、今度は下がるかもしれないと警戒しなければいけない場面になります。
重要なのは前日の70%価格帯を越えるかどうか、最頻値がどの辺りにあって、どのように変化してきているかを見ることです。これだけで取引をするのは難しいですが、得られる情報は多いです。
陽和 前日の70%価格帯を抜けてきたところを判断することで、もみ合いからトレンドが出てくるときの芽吹きも分かるようになるんですね。
山中 次にMT4でも見てみましょう(チャート④)。
MT4はマーケットプロファイルそのもので、グラフの薄い青色が東京時間、青色がロンドン時間、濃い青色がニューヨーク時間を表しています。こちらでは、東京時間の出来高よりも海外市場に移ってからの厚いところを重要視するなどの見方ができます。TradingViewの方ではグラフは売買で色分けされており緑色が買い手、赤色が売り手になります。
陽和 上昇トレンドになった19日は緑が多いので買い手が多かったことが分かりますね。
山中 次の日には、赤の割合が増えて売り手も多くなり、ようやく売りが出てきたという判断ができます。どちらが良い悪いではなく使い方の違いになりますので、初心者の方はまずTradingViewの出来高プロファイルから入って、さらに深く分析してみたい方はMT4のマーケットプロファイルも併用してもらうのがいいと思います。
ちなみに、TradingView自体は無料で利用できますが、出来高プロファイルは有料アカウントのみ使うことができます。TradingViewのインジケーターで唯一有料アカウントでないと使うことのできないインジケーターになります。
陽和 お試し期間があるので、実際に使ってみて判断すると良いですね。
山中 今回まで3回にわたってお勧めのカスタムインジケーターを紹介してきましたが、ななみんが一番使ってみたいと思うのはどれですか?
陽和 今回の出来高プロファイルですね。出来高を日足で表示したことはあったのですが、1時間足で出来高を分析していく使い方は面白いと思いました。
山中 ななみんのように日足に表示して長期的な目線から出来高を見るのも有効な使い方だと思います。出来高プロファイルには今回のセッションの他に、全期間やチャートに表示される範囲だけ出来高を表示する機能もあるので試してみるのもいいと思います。
陽和 教えていただいた見方も試してみたいと思います。山中先生ありがとうございました。
第13回まとめ
◦ストキャスティックRSIは、ストキャスティクスの計算式にRSIを使い、価格からの反応をより早く表示させている
◦ゾーン・エグジットなどで買われ過ぎ・売られ過ぎをシンプルに見つつもダマシに注意する
◦出来高系は、価格がどこで均衡しているのか上下のバランスを知ることができる
◦前日の主要価格帯や最頻値と比較することでトレンドの発生や転換を察知できる
※この記事は、FX攻略.com2020年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
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