女性トレーダーとしてトップクラスの人気を誇るえつこさんと、6万人以上の一般投資家が受講する投資の学校代表の高橋慶行さんの対談が実現。FXで結果が出る人と出ない人の違いについて、大いに語っていただきました。 聞き手:鹿内武蔵(編集部)
※この記事は、FX攻略.com2017年12月号の記事を転載・再編集したものです
対談者プロフィール
黒背景に緑のグラフ 何か運命を感じた
鹿内 まずはお二人がFXの世界に飛び込んだきっかけを教えてください。
高橋 もともと両親が教師だったので、自分も同じように学校の先生になろうとしていました。教育業界について広く考えたとき、資格学校や予備校など、大人向けの教育もいろいろあるなと思いまして。「今後の日本はお金に関する教育が重要になってくるな」という考えに至り、投資教育に携わることにしました。
えつこ 私の場合、家族や友人で既にFXをやっている人がいて、勧められたのがはじまりです。元々コンピュータ関係の仕事をしていたので、黒背景に緑の線で描かれたチャート画面を見て「お、なじみのある画面だぞ」って運命を感じたのも大きいかな(笑)
デモトレードで試しにやってみたら、一回目のエントリーで35万円プラスになったんです。普段仕事をしていても、一瞬で35万円の利益を出せることはなかなかありませんし、自宅でできて経費もかからない。これはやれるんじゃないかと思いました。
鹿内 デモトレードの成功後、実際のトレードでも順調に利益を上げていったんですか?
えつこ そう簡単にはいきませんでした。実戦に移ってからは、「常にトレードしていなきゃ」という気持ちが強くて。息子を保育園に預けて一日中やっていたんです。そしたら負け続けて資金がどんどんなくなってしまいました。
鹿内 負けが重なる中でどのように自分のFX手法を確立したんですか?
えつこ 逐一記録を取るように努めました。タイムテーブルを作り、市場が動く時間帯、注目したい指標発表の内容と動いた結果の因果関係をつかむため、チャートが動く時間帯に丸をつけるようにしました。すると、似た発表の内容でも、相場が動く発表と動かない発表があると分かってきました。そこからルールを確立できて、利益が取れるようになりました。
鹿内 記録を取って法則を見つけて、自分の勝てるやり方が見つかったということですね。
高橋 FXを一つの収入源、「仕事」としてやっているトレーダーは、えつこさんのようにきちんと記録を取る人が多いです。逆に、簡単に儲けることができるギャンブルとして中途半端にトレードしてしまう方は、ほぼうまくいかないですね。
決めたルールを守り着実に利益を積む
鹿内 えつこさんは既に専業トレーダーとして活躍されていますが、副業から専業になろうと思ったのは、どのようなタイミングですか?
えつこ 初めてのデモトレードで35万円勝ったときから「この投資、いけるな」とは思っていました。でも、本当にプロとしてやっていけるなと感じたのは、「記録に基づいて取引する」という自分のルールが利益につながったことが大きいですね。テクニカルが完成されていない状態でも、自分が積み重ねた記録に基づいて取引をすれば利益が上がっていきましたので。
高橋 初心者で負け続けてしまう人は、ルールを守ることができていないですね。どうしても自分のアレンジを加えたがって、結果失敗してしまう。
鹿内 決められたルールや手法を守って取引できるかどうかも、FXを仕事と位置付けるかギャンブルと位置付けるか、スタンスの違いが影響していそうですね。
えつこ ルールを守ってコツコツやれば失敗は少ないです。現に私が今使っている手法も、さまざまな通貨ペアで15分足を見てトレード、という方法ですが、着実に利益は増えています。
鹿内 初めてチャート画面を見たときの予感は間違いではなかったということですね。
FXで利益を出す人はここが違う
鹿内 FX攻略.comは今年で創刊9年。時代の変化でFXに取り組む環境もめまぐるしく変わっていき、便利なツールも増えています。その中で利益を上げる人がいる一方、利益が出せない人もいまだに多くいます。
えつこ 利益が出せる人は素直な方ですね。こちらが教えたことを素直に吸収しようとする方は伸びるのが早いです。いわれたことを守ってコツコツと実行していく生徒さんからは、嬉しい報告がたくさん届きます。
あとは、私が初心者時代やっていたように、自分で記録を残す人。記録するだけで、発見をしながらたくさんのことが学べるんです。
鹿内 逆に、利益を出せない人が抱える原因は何だと思いますか?
えつこ 何も分からないまま、軽い気持ちでエントリーする人が多いと感じています。例えば指標発表一つとっても、その発表の内容と動きがどうリンクするか分かった上でエントリーすべきです。それを深く考えず、単に「指標発表があるからエントリーしとこう」だと意味がないですし、失敗してしまいます。
今までの生徒さんを見ていても、一度損をしてしまうと繰り返し損をする方は多いですね。
高橋 最初の負けを取り戻そうと次々エントリーしてしまうんですよね。
えつこ そう、心理的なものなんです。最初から100万円とか200万円とか、まとまった金額を入れてしまう。で、その中の50万円が減ったら、誰だって動揺しますよね。そこからドツボにはまっていく方を、これまで大勢見てきました。
失った分を取り返そうとして賭けに出て連敗するんです。なぜ負けたのか、なぜ利益が取れないのか分からないまま続けてしまうから利益につながらない。FXを教える側としては、その人が負ける原因を解決できるような指導を心がけています。
鹿内 一度負のスパイラルにはまってしまって、原因が分からないまま一発退場にもなり兼ねませんよね。
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自分にとっての「豊かな人生」を考える
鹿内 高橋さんから見て、利益を出せない人は何が原因だと思いますか?
高橋 他力本願だったり、この人に学べば百戦百勝だ、と考えてしまうところにあると思います。どんな手法でも、生かすまでにはある程度の勉強時間が必要です。どんなプロでもうまくいくときとそうじゃないときがあります。全てを一発勝負で捉えずに、トータルでプラスになることを目指さないと脱落しますね。
鹿内 手法を生かして実際の利益につながるまで、時間がかかることは念頭に置くべきですね。となるとモチベーションの維持も重要ですよね。
高橋 意欲を保つためには「自分がなぜFXをやるのか」について深く考えることですね。これは利益を出せていない人や、FXを始めたばかりの人はすぐにでもやっておいた方が良いです。
私の個人的な考えですが、FXをやる究極の目的ってお金を稼ぐことではなくて、自分の可能性を広げていくことだと思っているんですよ。「可能性を広げる」といってもいろいろな手段がありますけど、手段の一つとしてお金を稼ぐことがあるし、FXでの成功が自分の自信につながったり、自由な時間が増えることにつながったりしますから。
FXをやって損をしてしまう方の多くは、金額を闇雲に追ってしまうんです。もっと楽に稼げる方法はないかと手法探しに走って、流されるがまま自分に合わないものを取り入れたりして。
お金ばかり追っていると、正当な方法から外れても良いから、とにかく稼げるやり方を追い求めるようになります。おかしなやり方なので周りからあまり良く思われないし、投資仲間も離れていく。結果的に自分の可能性を狭めることになります。これでは、せっかく投資をやっても人生は豊かにならないです。相場は戦いなので、共に戦う仲間と出会いながら自分の可能性を広げるのも、豊かな生活を得る一つの方法だと思います。そういった意味でも、自分がなぜ投資をするのか、どのぐらい、何のためにお金が必要なのか、具体的に目的を決めてから臨んでほしいですね。
瞬間的に稼ごうとするのではなく、長くじっくり取り組んで、トータルで勝つことが大事。趣味、家庭、仕事でやりたいことを追いながら、できる投資方法を自分のルールでやっている方は、安易な儲け話に飛びついたりしませんので。
鹿内 ギャンブル的に、今すぐ稼ごうと思っている方は、ノウハウばかり追ってしまいますね。
高橋 手法を追うだけの人は結果的に疲弊していきます。そうではなくて、投資をやったら利益が出せた、ちょっと良いランチを食べられたみたいな、自分にとっての幸せって何だろうなと思うところをFXの出発点にすることをお勧めします。
鹿内 自分のライフスタイルや、自分にとっての幸せの定義に合ったやり方を、えつこさんのようなプロトレーダーを見ながら学ぶ、という姿勢で勉強し始めるのが良いかもしれませんね。
「待つ」ことがFXで利益を上げる近道
鹿内 えつこさんは「待つ」ことをご自身のスタイルとして確立していますよね。自分の得意なパターンが相場に現れるまで耐えることは、初心者にはかなり難しいことだと思います。そのあたりについてアドバイスなどあればお聞きしたいです。
えつこ 2017年は特に3月から8月まで相場が動きませんでしたので、手を出さないようにしていました。ただ、この時期に手を出してしまい数千万円なくしてしまったという初心者の方もいました。相場で耐える、待つというのは、慣れないうちは特に大変なことです。
長い間トレードをしていると、1年のうち数か月は動かないこともよくあると分かってきます。そのときに資金を無駄にしてしまうと、今度はトレンドが出始めたときに使えるお金がなくなってしまうんですよね。だからこそ、動かない時期は待ち、動き始めたら手を出す、この意識を最初に持ってもらう必要があります。
鹿内 お二人がFXを教える立場として心がけていることはありますか?
えつこ ルールを守ることを徹底してもらえるような指導を大切にしています。チャートが右上がりなのに、大きなレンジ相場に見えて逆張りで売ってしまう人がいますけど、長期的に見るとそんなことはない。勘に頼らず、「待つ」ことを意識してほしいです。
逆張りはギャンブルなので勧めたくないですね。慣れないうちは避けるべきだと思います。順張りじゃないと利益はなかなか出せない。トレンドラインがあっても、きれいにローソク足がつながっていないと取れない。安定した動きに乗ることが大切です。
高橋 投資の学校を経営する立場としては、「いつでもどこでも簡単に勝てます」と言い張っている勢力を倒したいです。中途半端な知識で教えてはダメ。えつこさんがおっしゃるように「基本は待つ」という姿勢は特に初心者には大事だと思います。レンジ相場には手を出さないことを教えれば損しにくいですから。
えつこ 「今日はトレードしちゃいけない日、待つんだよ」ということを教えるのは大事ですね。
少額からコツコツと。稼げない時は「待つ」
鹿内 お二方、本日はありがとうございました。それでは最後になりますが、読者の皆さんに一言ずつお願いします。
えつこ FXの口座に最初から大きな金額を入れるのは止めてください。
FXをやっている皆さんはお金を増やすためにやっているはず。だからこそお金を失う可能性がある投資ということを意識してほしいですね。
FXは超複利。小さい金額から始めて良いんです。技術がつけば、1か月に2〜3回のトレードでも十分生活できます。既に大金を口座に入れている方は、まず口座から出してください。
高橋 長くFXをやっていると、調子が良いときと悪いときが出てくるかと思います。悪いときに闇雲に手を出す必要はありません。稼げないときはFX以外の好きなことをする時間で良いと思います。常にパソコンに張り付いていても、それが利益に直結するわけではないですから。調子の良いときには利益を上げて、悪いときには待つ、凌ぐ、で良いんです。
この雑誌の読者の皆さんはFXに関するたくさんの知識が頭に入っていることでしょう。あとは何に取り組むかです。自分の無理のない範囲で長く続けられる手法を使いながら、投資以外の自分の時間も楽しみつつ充実した日々を送っていただけたらと思います。
※この記事は、FX攻略.com2017年12月号の記事を転載・再編集したものです
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