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日銀追加緩和への期待が剥落!株安・円高の負の連鎖に備えよ[雨夜恒一郎]

先週後半は、HSBC発表の中国PMIが好不況の分岐点である50を半年ぶりに割り込んだことをきっかけにリスク回避の動きが広がり、円ショートが急激に巻き戻される展開。

アルゼンチンペソなど新興国通貨が急落したことや、株式市場が連日の大幅安を記録したことから、「米ドル/円」は一時102.00円と12月上旬以来の安値へ下落した。

また、「ユーロ/円」が140円台を割り込み、「豪ドル/円」が90円台を割り込むなど、クロスでも安全通貨の円が独歩高の展開となった。

中国景気指標の悪化や、「伏兵」アルゼンチンの出現はもちろん大きなネガティブサプライズであったが、実は円高の伏線は水曜日の日銀金融政策決定会合にあった。

日銀は今年と来年の物価上昇率見通しをそれぞれ+1.3%、+1.9%に据え置き、「消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動の影響を受けながらも、景気は緩やかな回復続ける」と楽観的な見通しを示した。

さらに、黒田総裁は会見で「14年度後半から15年度にかけて物価は目標の2%に達する可能性が高い」と物価目標達成に自信を示したのだ。

海外投機筋の間では、4月からの消費税引き上げに対応して日銀が追加緩和に踏み切るとの期待感が強かった。昨年末からの「米ドル/円」の105円台への急上昇は、早ければ1〜3月にも予防的緩和があるとの思惑をはやしたものだった。

しかし、日銀のシナリオ通り景気が緩やかな回復を続け、2年で2%の物価目標が達成されるとするならば、日銀は追加緩和を検討する理由がない。

消費税引き上げ後に景気が幾分悪化するとしても、それがハードデータとして入手できるのは早くて6月だ。つまり、1〜3月はもちろん、4〜6月も日銀の追加緩和はないと見るのが妥当なのだ。先週の急激な円高は、そのことを悟った投機筋が円ショートを一気に縮小した結果と考えられる。

円高になれば、円安を前提に上昇してきた株価も大きな調整圧力を受けることは避けられない。先週金曜日のシカゴ日経平均先物は、大証終値からさらに465円安の14975円で引けている。今週は日経平均15000円台割れを覚悟し、株安・円高の負の連鎖に備える必要がある。

通貨先物の取組を見ると、投機筋の円ショートは昨年12月24日の14.3万枚をピークに4週連続で減少した。

しかし、それでも、直近1月21日時点の円ショートはなお11.5万枚と、ピークから2割減にとどまっている。日銀の追加緩和がもはや期待できないとなれば、残りのポジションが一気に巻き戻されるリスクがある。

昨年5月のバーナンキショックの際には、投機筋の円ショートが半減し、「米ドル/円」が103円から93円台まで急落したことを想起しておきたい。

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