トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
今週は27日にFOMC、29日に日銀政策決定会合と2つのビックイベントが行われます。
今夜のFOMC予測
まず、今夜のFOMCですが金利は据え置きがコンセンサスです。イエレン議長の発言も予定されていないため、声明文の内容から9月もしくは11月、12月に利上げがあるかどうかが読み取れるかが焦点になります。現時点でFedWatchの利上げ予想をみると9月が22%、11月が23%、12月が45%となっており、年内の利上げ確率は五分五分と言ったところです。
声明文では、Brexitによる世界経済の減速を織り込みつつも、雇用指標を筆頭とした堅調な米経済指標を背景に、ややタカ派よりの内容になることを予測しております。値動きは限定的かもしれませんが、年内に1回の利上げすら織り込んでいない向きもあり、前向きな姿勢が示されればドルは底堅く推移すると予想します。また、日欧英豪のほか、主要国が利下げ方向のなか、アメリカは唯一利上げ方向に動いており、長期的にみてドルに優位性があるのは確かです。
とはいえ、実際の利上げに関していうと米大統領選前の9月、11月は多分ないでしょう。やるとしても12月ですが、不透明要素が多すぎるため、現段階では積極的に買い進むイメージでもなく、もう少し様子を見たいと思います。
日銀政策金利決定会合、最大の焦点は?
さて、FOMCのあとはいよいよ日銀政策金利決定会合です。最大の焦点はマーケットが期待する追加緩和が出るか、それとも現状維持で梯子を外されるかになります。
先週の黒田日銀総裁がヘリマネの可能性を否定したことでややトーンダウンしていますが、依然としてマーケットは追加金融緩和を前提とした相場が続いているようです。事実、国内外の銀行やエコノミストの多くは金融緩和シナリオを用意しています。
マイナス金利はー0.2%~-0.3%、ETF増の買い入れ増額、国債買い入れ額70~100兆円、このあたりが予想されますがマイナス金利など副作用が大きく、今回も日銀へのハードルはかなり高いように思います。
期待通りの緩和になれば、米ドル/円で2円~3円上昇のインパクトはありますが、その後は材料出尽くしの売りに押される可能性もあります。また、日銀は今でも限界に近い金融政策をとっており、大規模金融政策が本当にできるのかという疑問もあるため、現状維持という選択をする可能性も否定できません。仮に現状維持となれば緩和期待で上昇する前の100円にトライすることになるでしょう。
今週のテクニカルは参考程度に
チャートを見ると強いファンダメンタルに振らされる結果となったものの、75日移動平均線に跳ね返された形になっており、同線のさしかかる106.80レベルは今後強固なレジスタンスとして意識されます。
また、もう1つのレジスタンスとして上値を抑えられる格好となっているのが、日足雲下限です。雲は右肩下がりの形状となっているため、値を保っていれば自然と雲下限上抜けますが、明日には103.70レベルまで下がる同水準に抑えられるようだと下向きのトレンドが再現しそうな展開です。
しかし、ビックイベントを控えるなかテクニカルでは全く歯が立たないこともあり、今週のテクニカルは参考程度になるでしょうか。
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