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新興国懸念、株安連鎖、米国金利低下で「米ドル/円」100円割れも?[雨夜恒一郎]

先週は、アルゼンチンペソなど新興国通貨の混乱が続くなか、日米の株式市場は昨年11月以来の安値へ下落。

米国10年債利回りも2.7%台を割り込み、昨年11月以来の水準へ低下した。

リスク回避型の円買いと、米国金利の低下を受けたドル売りが同時進行し、「米ドル/円」は101円台へ下落した。

もっとも、先週の当コラムでも述べたとおり、今回の株安・円高の流れは1月10日に発表された米国12月の雇用統計が起点となっている。

非農業部門雇用者数(NFP)の大幅下振れは悪天候が原因であることは間違いないが、1月に入っても寒波は衰えておらず、雇用は引き続き影響を受けた可能性が高い。

今週金曜日にはその1月の雇用統計が発表される。

NFPの予想は+17.5万人と前回(+7.4万人)ほど悪くない数字となっているが、果たしてその程度で済むかどうか。

もし2カ月連続でNFPが大幅下振れとなれば、個人消費や住宅着工など幅広い経済活動に影響が波及することは避けられず、特殊要因によるものとはいえ看過できなくなってくる。

また今週は雇用統計に先立ってISM製造業・非製造業景況指数やADP雇用報告など重要指標の発表が目白押しだけに、市場参加者は緊張を強いられることになるだろう。

先週開かれたFOMCでは、12月に続いて資産買い入れを100億ドル縮小することが全会一致で決定された。

声明には経済活動や雇用市場に対する楽観的な見方が記される一方、寒波の影響や新興国の懸念に関する言及はなかった。

今月からスタートするイエレン体制の方針は現時点では明確でないが、雇用市場の先行き不透明感が浮上するなかで、今後もQE縮小を推し進めれば、株式市場や債券市場の拒否反応を招く可能性がある。

また先週金曜日に発表された日本の12月消費者物価指数(生鮮を除くコア)は、前年比+1.3%となり、前回の+1.2%からジワリと上昇した。

日銀は今年度中の物価目標(2%)達成に一段と自信を深める可能性が高く、追加緩和期待はますます後退するだろう。

ちなみにIMM通貨先物の取組(1月28日時点)を見ると、投機筋の円ショートは8.6万枚と一気に10万枚を割り込み昨年11月以来の水準へ急減した。

投機筋が、日銀の追加緩和を先取りした円ショートに見切りをつけていることが見て取れる。

もうお気づきのように、日米の株式市場、米国債利回り、IMMの円ショートといった「先行指標」は軒並み「昨年11月以来」の水準まで低下している。

昨年11月ごろからの円売りを牽引してきた日銀の追加緩和期待もすでに剥落した。

それと比べると「米ドル/円」の調整はまだ不十分といえなくもない。

昨年11月前半、「米ドル/円」は97〜100円台での推移であったことを考えると、「米ドル/円」は今後100円割れまで下落しても不思議はない。

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