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イエレン議長、最後のジャクソンホール講演となるか[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2017年8月21日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、北朝鮮が米領グアム近海へのミサイル発射を見合わせたことを受けて安堵感が広がり、一時110.95円まで回復した。しかしトランプ大統領が2つの経済政策助言機関(製造業諮問委員会と戦略・政策フォーラム)の解散を発表したことや、7月のFOMC議事録でインフレの下振れリスクが指摘されたことをきっかけに、株安・債券利回り低下・ドル安の展開に。米シャーロッツビル衝突の余波やスペイン・バルセロナで発生したテロ事件の影響もあり、一時108.60円と4月以来の安値を示現した。

市場が最も恐れていること

トランプ政権が発足してからすでに7か月が経過したが、いまだに続く政権メンバーの辞任や更迭、そしてトランプ氏本人の舌禍。先週金曜日にはトランプ大統領の上級顧問・首席戦略官を務めるスティーブ・バノン氏が事実上更迭(同氏は極右思想を掲げるニュースサイト「ブライトバート」の元会長)されたことで、一連の混乱が幕引きになるとの楽観的見方もあるが、多くの主要メンバーを失ったホワイトハウスの立て直しは容易ではない。トランプ大統領の指導力が低下し政策が迷走すること、そして米国債の発行上限引き上げ問題がこじれ10月にもデフォルト危機が現実化することを、市場は何よりも恐れている。

加えて、FRBの金融政策への影響もないとは言い切れない。FRBが描く「9月バランスシート正常化決定、12月追加利上げ」のタイムスケジュールは、下手をすれば上記の米国債発行上限問題、デフォルト懸念の時期とまともにぶつかり、市場の不安を増幅することになりかねない。来年2月に任期満了を迎えるイエレンFRB議長が、再指名のために政権におもねる形で決定を先延ばしする可能性もないとは言い切れない。そのあたりの空気を読み取ってか、FF金利先物が織り込む12月までの利上げ確率は38%まで低下し、わずか2.5%ではあるが「利下げ」の可能性すら織り込み始めている。


FF金利先物が織り込む12月までの利上げ確率は4割を切った 出所:CME FedWatch

今週の注目はジャクソンホール会議

そのイエレン議長の胸中を推し量るうえで注目されるのが、今週後半に開催されるジャクソンホール会議だ。イエレン議長の講演は25日金曜日、日本時間午後11時に予定されている。筆者は、さまざまな地政学リスクや政治的不透明要因が渦巻き、インフレも一向に上向かない中、イエレン議長は少なくとも利上げに積極的な姿勢は示さないだろうと予想している。もしイエレン議長のスタンスがハト派的と受け止められれば、市場は一気呵成にドル売りを仕掛けてくる可能性が高い。今週もドル弱気スタンスを維持し、108円台を割り込んでいく展開を想定しておきたい。

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