今回からは自動発注型、いわゆるリピート系とも呼ばれる一定の注文を繰り返すタイプの自動売買(シストレ)について、SEASON2ならではの視点から解説していきます。今回は含み損が膨らんだ際の対処法について詳しくまとめていますので、既に運用している方も含め、ぜひお読みいただけますと幸いです。
※この記事は、FX攻略.com2017年9月号の記事を転載・再編集したものです
【システムトレードで資産運用!season2】
第1回 選択型シストレ・ストラテジーの選び方[ゆきママ]
第2回 MT4を利用したシストレ運用[ゆきママ]
第3回 選択型シストレの運用テクニックと考え方[ゆきママ]
第4回 含み損が膨らんでしまったときの対処法[ゆきママ]
第5回 ループ系シストレにおける通貨ペアの選び方[ゆきママ]
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避けられない含み損!三つの対処法とは?
リピート系シストレの宿命ともいえるのが含み損です。あるレンジ内に注文を仕掛け、一定の注文を何度も何度も繰り返すことで利益をコツコツと積み重ねるスタイルの自動売買ですから、相場が逆行すればナンピン的なトレードが続き、必然的に含み損が膨らむことになります。
ただ、含み損が発生していればしているほど、仕掛けた方向に相場が進んだときに含み損ポジションが一斉に含み益に変わり、利益確定・解消されて大きな利益を得ることになりますから、むしろチャンスでもあるんですけどね。
というわけで、運用を開始する前にどれぐらいの含み損が発生するかあらかじめ想定し、相場変動にも絶対に耐えられるような注文をすべきではありますが、そうはいっても含み損が増えれば増えるほど不安になるものです。そんなとき、対処法を知っているだけで冷静になれることもありますから、ぜひ以下の3点を覚えておいていただければと思います。
含み損対処法① 証拠金を追加する
最もシンプルな対処法ですが、証拠金を追加して冷静さを保つのも方法の一つです。仮にスタート時に20円幅のレンジに耐えられるように注文を仕掛けたとすれば、スタート時の証拠金と同額を投入することで40円程度のレンジ幅の値動きに対応できます。こうすればかなりの余裕を持つことができますし、想定よりちょっと値動きが外れるぐらいなら全く問題なく運用を続けることが可能となります。40円幅の変動に耐えられるなら、リーマンショック級の値動きがあったとしても問題ないでしょう。
しかしながら、これは運用資金以外の余剰資金がなければ成り立たない方法であり、資金面がネックになることは明らかです。事前に最悪を想定して余剰資金を残しておくか、運用開始後に少しずつ積み立てておくことなどを考えておくと良いでしょう。
含み損対処法② 注文を修正する
相場が勢いよく逆行するなど、当初の想定よりも大きな値動きにつながりそうな場合、注文を修正することで、より広い値動きに備えることができます。既に保有しているポジションはともかく、まだエントリーされていない注文に関しては、注文のレンジ幅を広げる、あるいは注文数を減らすことによって資金に余裕を持たせることが可能となります。
ただし、注文の修正は早めに実行しなければあまり意味をなしません。遅すぎると注文を修正する余地が少なくなってしまいますので、想定している最大保有ポジションの3分の1を超えた段階で、相場状況などを踏まえながらこのまま運用を続けて大丈夫かどうかを検討するようにしたいところです。
含み損対処法③ 両建てでヘッジする
※イメージ図:上昇局面ではリピート系シストレ注文が利益に(赤矢印)、下落局面では裁量ヘッジトレードが利益に(青矢印)
さらに、リピート系シストレ注文と反対方向に自身で裁量トレードを仕掛け、両建てのヘッジを行うことは含み損対策として非常に有効です。こうすることでシストレ注文に対して相場が逆行しているときでも、利益を出すことが可能となります。
仮にシストレ注文がロング(買い)で仕掛けられている場合、相場が下落している局面では利益は出ませんが、自分がショート(売り)でエントリーして流れに沿ってトレードを続ければ稼ぐことができるというわけです。
ちなみに、この場合もヘッジトレード用の運用資金があることが前提となりますので、事前に確保しておきます。また、トレードをする際には以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
ポイント1 ポジション量をしっかり調整すれば損切りしなくてもOK!
裁量でヘッジトレードをする際のポジション量については、シストレ注文がこれまで積み上げた利益に加え、一直線に出口に到達した際の利益などから決定していきます。
例えば、1ドル=101円〜120円の範囲に1円幅に20本、1本あたりのポジション量が1万通貨、利食い幅50銭で買いのリピート系の注文を仕掛け、1ドル=110円から右肩上がりに相場が進んで出口に達した際の利益は、50銭×11本×1万通貨=5万5000円となります。そして出口に達した瞬間、ヘッジトレードの含み損が5万5000円を下回るようにポジション量を調整しておけば、ヘッジトレードは損切りを行わなくてもトータルで利益が出ることになりますから、これを基にポジション量を決定しましょう。
この場合、出口のレートは1ドル=120.50円ですから、5万5000÷(120.50−110.00)≒5238となり、大体5000通貨前後でヘッジトレードを仕掛ければ良いことになります。また、シストレ注文で積み上げた利益があれば、もう少しポジション量を増やすことも検討しておきましょう。ヘッジトレードのポジション量を求める式は以下のようになります。
ポジション量=(これまでの運用益+これから出口に一直線に達したときに得られる運用益)÷(出口の為替レート−現在の為替レート)
これで損切りを一切心配せず、裁量のヘッジトレードに取り組むことが可能となります。ただ、出口に達した時点で決済することになるため、理論上では一直線に出口に到達するとトータルの損益はプラスマイナスゼロとなってしまいます。
とはいえ、現実的にはそれなりに上下してもみ合う場面が必ずありますし、実際に値動きの7〜8割はレンジ相場といわれており、それはまずあり得ませんから心配する必要はないでしょう。
ポイント2 利食いは早めで毎日何回もトレードすることを心がけましょう!
それから、利食い幅を小さめにして負担を減らしつつ、隙間時間があれば何回でもトレードすることを常に意識しましょう。ヘッジトレードにおける利食い幅を大きくしてしまうと、チャートと向き合う時間が長くなってしまい、せっかくの放ったらかしというシストレの利点が失われてしまいますから、その点には注意です。ですので、おおむね10〜30分以内の時間軸で終わるような値幅を狙いたいところです。これは通貨ペアやその時その時の相場状況によっても異なりますが、ドル円であれば5〜20銭程度で取り組むと良さそうです。
短い時間でトレードが済めば、通勤時間や帰りの電車の中といった、ちょっとした空き時間にトレードをすることもできますからね。損切りしなくても大丈夫ということを念頭に置いて、気軽に、そして大胆に裁量トレードを楽しんでいきましょう。
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基本は資金管理を徹底した長期運用!
今回は含み損が膨らんだときの対処法について解説させていただきましたが、リピート系シストレは資金管理を徹底した長期運用が基本となりますので、できることなら対処しなくて済むような余裕のある注文を行いたいところです。
ヘッジトレードに関してはシストレの良さを損なう可能性がありますから、一定の注意が必要です。損切りしなくてもマイナスにならないようなポジション量ではありますが、目的は利益を上げることですので相場に柔軟に対応しましょう。また、当然ではありますがトレードセンスも問われますから、裁量が苦手という方はあまり無理せず、慣れるまではポジション量を減らして取り組んでいただければと思います。
※この記事は、FX攻略.com2017年9月号の記事を転載・再編集したものです
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スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |