いかにシンプルにトレードできるか
こんにちは、いいだっち先生です。為替相場というのは規模が大きいので情報も多く、そしてIT技術の発達で、さまざまな高機能ツールも多く出現しています。しかし、相場の世界において聖杯は存在しません。それは相場の歴史が証明しており、本当に聖杯が存在するならば相場の資金を独占することが可能なはずです。それが起きていないということは、「聖杯はない」ということ。つまり、どんなに高機能なツールでも「効果的なときもあればそうではないときもある」ということであり、あれこれ手を出しても「迷いが増えるだけ」で成果は大して変わらないのです。いかにシンプルにするかという方向へかじを取る方が効率の良いトレードを実践できるようになります。
効果的か否かで対処法は異なる
チャートにおける全てのツールやインジケーターは、効果的なときもあればそうではないときもあるという言葉に集約されます。したがって、効果的なときはどう対応し、そうではないときはどう対処すれば良いのかという問題に行きつくのです。これを解決するのが、「損小利大」という考え方です。効果的なときは利益を大きく伸ばし、そうでないときは損失を小さく抑えるという対応をするべきなのです。
損小利大の方法論
損小利大をどのように実現させるかという方法論は、大きく二つに分かれます。一つは、1回のトレードで損小利大を実現させる方法です。成功した場合に利益を大きく獲得し、失敗トレードの損失を小さく設定して損切りします。
そして二つ目は、複数回のトレードで実現させる方法です。こちらは、成功トレードの利益が小さくても確実に積み重ねていくことが重要で、失敗トレードの損失が多少大きくなってもそれを上回れば問題ないという考え方です。コツコツドカンでもコツコツが上回る方法論となります。
それぞれに一長一短がありますので、しっかり理解して自分の目指す方向を定めてください。
1回のトレードで損小利大の場合
いいだっち先生が推奨するのは、1回のトレードで損小利大を実現させる方法です。いわゆるコツコツ損切りしてガッツリ利食いするパターンです。勝ちパターンを+50pips以上に設定し、負けパターンを-30pips未満に抑えるやり方です(図①)。
この場合だと勝率が5割に満たなくても利益が出ます。しかし、利益になりやすいエントリーポイントを見極める技量や利益を伸ばす技量、利益が伸びないと判断して早々に見切りをつける技量が必要となります。また、損失の許容範囲が狭いので技量が不足すると損切り貧乏に陥りやすくなる危険性があります。
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複数回のトレードで損小利大の場合
もう一つの複数回のトレードで損小利大を実現させるやり方ですが、勝ちパターンを+30pips、負けパターンを-50pipsに設定すれば、1回負けても勝ちが2回でプラスになります(図②)。つまり、コツコツドカンでもコツコツを確実に積み上げていってドカンを上回れば良いというやり方です。利益を無理に伸ばすようなやり方をあえて排除し、着実に利食い機会を増やして利益を積み重ねていきます。1回の負けは大きくても負けの回数が減り、必然的に勝率が上がります。また、多少の含み損でもプラスへ転じる可能性が高くなることにも期待できます。
利益を伸ばすにはポジションを持ち続ける必要があり、リスクを抱えることになるため、コツコツと利益を積み重ねる方がやりやすく感じる方も多いでしょう。しかし、こちらの方法は勝率が高いことが前提で成り立っている点に注意しなくてはなりません。また、必然的にトレードの回数が増えることにも注意です。そして最大の落とし穴は、「含み損は大きくなると損切りしにくくなる」という事実です。いいだっち先生を含め、誰しも損はしたくありません。故に含み損は膨らむ前に処置した方が良いと思います。
極論をいってしまえば、「利益になるならばどちらでも良い」のです。この二つの方法論は、「稼ぐ」という目的のためのアプローチが異なるだけで、どちらが正しくてどちらが間違っているということではありません。最終的に稼げれば何でも良いのです。
ただし、稼ぎ続けるためにはどうすれば良いのか自身でしっかりと方向性を定める必要があります。いいだっち先生は10年以上相場の世界で生きているからこそ分かるのですが、高い勝率を維持し続けることは困難です。この先10年、20年とトレーダーとしてやり続けていくのであれば、目先の利益だけを追い求めるようなやり方はお勧めできません。やはり、経験値の高いトレーダーから、大局観に立ったトレード理論を学ぶ必要があるでしょう。
※この記事は、FX攻略.com2020年3月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。