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FX力を鍛える有名人コラム

FOMCはバランスシート正常化発表へ 年内利上げ確率も急上昇[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2017年9月18日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、北朝鮮やハリケーンに対する警戒感が後退するとともに下値を切り上げる展開。米議会共和党指導部とホワイトハウスが今月の最終週に税制改革のガイドラインを公表すると発表したことや、米消費者物価指数が予想を上回ったこともあり、111円台へ上昇した。金曜日早朝には、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことに反応して109.56円まで急落する場面もあったが、ある程度予想されていた事態であることと、ミサイルが日本列島の上空を通過し被害がなかったことからすぐに買い戻しが入り、111.33円まで一段高となった。

先週の当コラムでは「北朝鮮とハリケーンに対する懸念でドル円は弱気トレンド再開」と予想したが、全く逆の展開になってしまった。読者の皆様にはまことに申し訳なかったが、ここ数週間、筆者の見通しはことごとく外れてしまっており、相場や市場心理を読むことの難しさを改めて痛感している。今週は持論や過去の予想との整合性を一度取っ払い、相場観を白紙から立て直す必要がある。

北朝鮮とハリケーンを市場はどう見ているか?

まず北朝鮮情勢だが、ここまでの値動きを観察する限り、市場は米朝の軍事衝突のリスクは低いと見ていることが分かる。米国株式市場は連日史上最高値を更新しているし、直接の脅威にさらされている日韓ですら株価は大幅に反発している。国連安保理事会は北朝鮮を徹底的に追い詰めるまでの制裁措置は取らなかったし、北朝鮮も日本列島には万が一にも落下せず、米国の領海(グアム島近海)にも届かない軌道・方向でミサイルを発射している。米朝がブラフの応酬の段階にとどまっている限り、過度の警戒は不要というのが今の市場の見方なのだろう。もちろん楽観は禁物だが、「北朝鮮で何かあったら円高」という固定観念に囚われていてはチャンスを逸する。

ハリケーン「ハービー」と「イルマ」による被害は米8月の小売売上高の下振れ(‐0.2%、予想+0.1%)として数字に表れてきたが、市場はさほど悲観していないようだ。米国景気は堅調であり、ハリケーンが原因で腰折れになることはないという信頼感があるうえ、ハリケーンシーズン終了後は復興需要も出てくる。トランプ大統領の経済政策や議会対策にもプラスだろう。米国10年債利回りはこの一週間で20ベーシス近く上昇している。これはドル円にとって強い支援材料だ。

今週開催のFOMC、注目するポイントは?

そして今週火・水曜日にはいよいよFOMCが開催される。政策金利は1.00-1.25%に据え置きがほぼ確実だが、バランスシート正常化については具体的な計画が発表される見通しだ。イエレン議長の会見内容やメンバーの金利予想(ドットチャート)によっては年内の利上げ期待が高まり、金利上昇・ドル高の流れが一段と強まる可能性がある。FF金利先物が織り込む12月までの利上げ確率は一週間前の31%から58%まで急騰しており、市場の見方がこの一週間で大きく変化したことが分かる。皮肉にも筆者が弱気トレンド入りを唱えた先週末が市場心理のボトム、いわゆる「陰の極」だった可能性が高く、今週は流れが強気に傾いたかどうかを見極める週としたい。

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