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貿易戦争はドル売り材料にあらず[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年7月9日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、米国独立記念日の休場を挟んで動意薄となり、110円台での一進一退が続いた。週初には111円台をうかがう場面もあったものの、週後半は米中貿易摩擦の深刻化への警戒感が高まり、上値が重くなった。

貿易問題では、米国が6日から中国への制裁関税を発動し、中国も同規模の報復に踏み切ったことにより、「米中貿易戦争勃発」という見出しがメディアに躍った。筆者も含めて、「ぎりぎりで落としどころを見つけて決着がつく」との楽観的な見方が少なくなかっただけに、市場への悪影響が心配されたが、意外にも、為替市場ではほとんど反応は見られず、米国株式市場は逆に上昇した。市場が貿易問題を重視せず「ノイズ」として処理したことの証左であろう。米国の対中政策の狙いは単なる貿易赤字削減ではなく、ハイテク分野での長期的な覇権争いにあり、単純な売買の材料としては扱いにくくなっていくのではないか。

米中貿易戦争の為替市場への短期的影響は?

そして、しいて言えば貿易戦争の勝者は米国である。追加関税の対象は340億ドル相当の中国からの輸入品だが、米国通商代表部(USTR)は、一定の条件を満たした製品を制裁関税の対象から外す方針を示している。340億ドルのうち、米国企業が中国で製造した製品はかなりの比率を占める。これらの製品に高率の関税をかければ、米国の国益に大きな損害をもたらすため、実際には除外される可能性が高い。つまり、米国企業や米国経済へのインパクトは実はさほど大きくなく、失うものがより大きいのは中国となる可能性が高いのだ。

したがって、米中貿易戦争の為替市場への短期的インプリケーションは「ドル買い・人民元売り」が正しく、実際相場もそのような動きになっている。これは日本やEUに対しても構図としては同じである。貿易戦争を短絡的にドル売り・円買い材料と受け止めるべきではない。

米国の労働市場は引き続き堅調

一方、先週金曜日に発表された米国6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が+21.3万人と予想の+19.5万人を上回り、過去2か月分も計3.7万人上方修正された。失業率は4.0%と前回の+3.8%から上昇したが、これは労働参加率が高まったことが主因と考えられ、心配は無用だ。平均時給は前年比+2.7%と、予想の+2.8%に届かなかったとはいえ前月と同じ水準であり、これも失望する必要はない。米国の労働市場は引き続き堅調であり、利上げ期待は継続している。FF金利先物が織り込む9月と12月の利上げ確率は小幅ながら上昇している。

ドル堅調の地合が鮮明に

今週は木曜日に発表される米国6月の消費者物価指数が注目だが、総合が+2.9%(前年比・以下同)、コアが+2.3%と、前回の+2.8%、+2.2%を上回る見通し。今週は貿易摩擦がらみの話題が下火となり、日米の金利差やファンダメンタルズ格差を背景としたドル堅調の地合が鮮明になってくるだろう。

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