市場を覆う3つの不透明要因[雨夜恒一郎]

市場を覆う3つの不透明要因[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2020年10月26日号

先週のドル円相場は

新型コロナウイルスの感染拡大や、英国とEUの通商交渉が時間切れとなるリスクをにらみながら、クロス円とともに円高が進行し、一時104.34円と1か月ぶりの安値を示現。しかし米国の追加経済対策に関する協議や大統領候補の討論会などイベントを控える中、ドルを買い戻す動きも出て104円台後半へ持ち直した。

大統領候補の第2回テレビ討論会は、史上最悪と言われた第1回と比べてまともな議論が交わされたものの、両者引き分けとの評価が多く、波乱にはつながらず。市場にもほとんど反応は見られなかった。

大統領選挙は再度不透明に

いよいよ米大統領選挙まであと1週間少々となった。世論調査では依然バイデン候補がリードを保っているが、フロリダやペンシルバニアなど激戦州では互角との見方もあり、最後まで予断は許さない。

上院・下院も接戦となっており、バイデン候補が勝ち上下両院とも民主党が制する「トリプル・ブルー」から、トランプ氏が逆転勝利し上下両院も共和党が制する「トリプル・レッド」まで、どの組み合わせとなっても不思議はない。

出所:リアル・クリアー・ポリティックス

勝負の行方はまだわからない 出所:リアル・クリアー・ポリティックス

さらに悩ましいことに、今回は郵便投票と期日前投票が2200万人もいて、集計は困難を極めることから、接戦となった場合はかなり混乱することになりそうだ。トランプ氏が負けても選挙は無効だとして法廷闘争に打って出る可能性もある。

11月3日にすんなり大統領がどちらかに決まる可能性はむしろ小さいかもしれない。

一旦はバイデン勝利やトリプル・ブルーを織り込みかけていた市場も、ここにきて慎重な見方に戻りつつある。ここまで来たら、ギャンブルを避け大統領選の結果を見極めたいムードが広がり、今週は各市場とも模様眺めとなる可能性が高い。

米国追加経済対策の行方も不透明

追加経済対策について、トランプ政権のムニューシン財務長官と民主党ペロシ下院議長による協議が断続的に行われているが、本稿執筆時点ではまだ合意の兆しは見られない。政権側は1.9兆ドルの妥協案を示しているとみられるが、2.2兆ドル超を求めるペロシ下院議長は譲歩せず、協議は難航している模様だ。

電撃的に大統領選挙前の合意が得られれば、株高・リスクオンとなるだろうが、このまま物別れとなれば年内の成立は困難となり、市場にとって大きな失望となる。

こちらも現時点ではどちらかにベットするわけにはいかず、結果待ち・様子見ムードが強まりそうだ。

コロナウイルスとワクチン

新型コロナウイルスの1日あたり新規感染者数を見ると、米国は7万5千人を突破し7月のピークと肩を並べた。フランスは4万人、英国は2万人を突破、イタリアも2万人に迫る勢いで、いずれも過去最悪を更新中だ。これから冬を迎えるにあたり、さらなる感染者数の爆発的増加となれば、都市封鎖も現実味を帯びてくる。

一方で、新型コロナウイルス治療薬として、米製薬大手ギリアド・サイエンシズの「レムデシビル」がFDA(米食品医薬品局)に承認されたとのニュースがあった。ワクチンの治験も進んでおり、安全で有効なワクチンが開発されれば、コロナ感染も新たな局面に入ることになる。

結論:予測困難

このように、現在は①大統領選挙、②追加経済対策、③コロナウイルスと、少なくとも3つの不透明要因があり、いずれも予測困難だ。当面は各種報道に一喜一憂しつつも、3つの不透明が一つずつ晴れていくのを見極めていくしかない。

今週は強い方向感を持たず、104~105円を中心としたレンジで小刻みな売買に徹するのが賢明であろう。

雨夜恒一郎の写真

雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

Twitter:https://twitter.com/geh02066

FX力を鍛える有名人コラム | 雨夜恒一郎の最新記事
金融リテラシーが身につく YEN蔵の投資大学(アカデミア)|第9回[YEN蔵]
コロナ禍のなか消去法的に買われる通貨は?[雨夜恒一郎]
FXは借金してまでするべき? – 犬トレーダーがるちゅーぶFXX[Masato Shindo]
人工知能と相場とコンピューターと|第7回 Appleの登場[奥村尚]
期限の迫るブレグジット。合意は如何に[井口喜雄]
眞壁憲治郎のFX長者列伝<第三章> 第13回
ディーラー歴30年超のベテランから見たトレンド・レンジの実態[水上紀行]
バイデン勝利とワクチン期待によるドル上昇は一過性[雨夜恒一郎]
歴史的トレンド相場から学ぶトレンド攻略のハウツー[遠藤寿保]
インヴァスト証券サンドウィッチ間瀬が即解決!気になるFX Q&A|第6回 知ったかぶり卒業宣言シリーズPart3「量的・質的金融緩和」とは? その②
最初の武器(手法)の見つけ方[田向宏行]
バイデン政権で恩恵を受ける通貨は?[井口喜雄]
続けることに意義アリ!トレードノートの有効性[香澄ケイト]
FX初心者の勝率が鬼くそ上がる考え方 – 犬トレーダーがるちゅーぶFXX[Masato Shindo]
なにわのチャート博士・神藤将男の中間波動攻略メソッド!|第13回 ダブルトップ/ボトムの本質[神藤将男]