為替(FX)はハッキリしたトレンドが出る相場もあれば、もみ合うレンジ相場もあります。比較的予想しやすく、勝ちやすい相場がある一方で、先行きが不透明で勝ちにくい時期もあり、その見極めが大事です。今回は、不動修太郎さんにどのような相場が勝ちやすいのかを教えてもらいましょう。
為替(FX)相場のテーマを知っておく
多くの相場関係者が注目し、相場を大きく動かすニュースを「相場のテーマ」といいます。そのようなテーマは、FX業者が発行するメルマガ、ホームページなどでも繰り返し報じられます。今年の為替のテーマは、英国の欧州連合(EU)離脱、米大統領選挙の他に、主要国の政策金利の利下げでしょう。これまでも政策金利は為替を大きく動かしてきましたが、特に昨年から今年は各国の利下げの時期がこれまで以上に注目されています。2019年は多くの国が金利を下げましたが、2020年も米国、ユーロ圏共に利下げを行うでしょう。
ドルは国際決済に使われる基軸通貨であり、ユーロは多くの国で使われている共通通貨です。それらが政策金利を簡単に上げ下げしてしまうと世界各国の経済に大きな影響を与えます。したがって、ドルやユーロの金利を変えるためには、国内総生産(GDP)の変動などファンダメンタルズの理由づけが必要になり、金利変更時期は金融当局トップの発言や重要指標からある程度推測することができます。ですから経済的な理由で為替が動く時期、その方向が予想できる相場は「勝ちやすい相場」といえます。
戦争・紛争には注意
戦争・紛争が起きると当事国だけではなく、近隣の国や経済的に密接な関係がある国の通貨も急落するケースが多いです。例えば、中近東で紛争が起きると地理的に近いトルコリラ関連が下がる、という具合です。国際情勢が不安定な時期は、通貨の中で比較的安全資産といわれてきたスイスフランと日本円が上がる傾向があります。また、景気の先行きが不透明になると、特定の国や地域の影響を受けにくい金の価格が上がる傾向にあるので、金の値動きは為替、株式相場の参考になります。
戦争・紛争では、当事者双方が自らの正当性と正義を主張し、危険な紛争地域の報道は制限されるので正確な状況を把握するのは難しいです。また、軍事行動は相手の不意をつく場合もあるので、ニュースで報道された内容と大方の予想が外れることも珍しくありません。
ここで、昨年末から今年にかけてのドル円チャート①をご覧ください。米国がイランのソレイマニ司令官を殺害した1月3日からドル安円高に大きく動きました。続いて1月8日にイランが米国に対してミサイルによる報復攻撃を行ったと報道されると、為替は107.63円まで急激なドル安円高になりました。ところが、その報復攻撃で米国軍にほとんど被害がなく、その直後のイラン、米国のコメントから双方が紛争の拡大を望んでいないと受け取られると一転して急激なドル高円安に動きました。このように戦争・紛争はいつどのような展開になるかの予想が難しいため、為替が急激に動き、直後に反転する場合が多いです。ですから、私は経済から予想できない戦争や紛争、あるいは伝染病などで為替相場が動く時期は、「勝ちにくい相場」であると捉えています。
近年の相場傾向
2019年のドル円相場は、年初の1月3日に突然大きく円高に動きましたが、その後は1年間を通じてボラティリティ(変動幅)が小さかったですね。近年のメジャー通貨ペアは、はっきりとしたトレンドがある相場よりも、少し上がったかと思えばすぐに下げるレンジ相場の期間が長いです。ほとんど動かない相場では利益を出すことはできませんが、ある値幅の中で同じような動きを繰り返すレンジ相場では小刻みな売買により、小さな利益の積み重ねを狙うことは可能です。
その一例として、ドル円チャート②を見てください。ローソク足と長期の移動平均線が重なっている黄色い部分は相場がもみ合っているので、相場を見守って売買は控えましょう。買いでエントリーする場合には、チャート上の赤い部分のように移動平均線が右肩上がりで、ローソク足が移動平均線よりも上にある時期を選びます。相場は前回の高値である109.6円の辺りで再び下落に転じる可能性が高いとみて、そのレートよりも少し下で利益確定するのが得策です。
為替が大きく動いた後に
その他にも、要人発言や指標発表でのサプライズ(予想外の発表)で為替相場が大きく動く場合もあります。仮に、指標発表の内容が事前予想よりも悪く、為替が急落したとしましょう。その後は少しずつ上昇しますが、そのような戻しの局面では、値動きの方向性は予想しやすいです。私は、このケースのようにサプライズで大きく為替が動いた後の落ち着きつつある戻り相場で利益を狙います。
※この記事は、FX攻略.com2020年5月号の記事を再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
10年以上にわたってFX月刊誌を出版してきた老舗FXメディア「FX攻略.com」編集部が、FX用語を知らない人でもわかるようにFX会社、取引口座のポイントを解説しました!
取り上げているFX会社は、金融商品取引業の登録をしている国内FX業者です。口座開設は基本的に無料ですので、まずは気になったところで2〜3つ口座開設してみて、実際に比べてみてはいかがでしょうか。
\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
---|---|
約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |