こんにちは トレイダーズ証券の井口喜雄です。
今週末は、金曜日の米国雇用統計を意識した展開となります。先週行われたFOMCで年内利上げの可能性を示唆する内容となり、雇用改善が利上げの鍵となるため、今回の米国雇用統計は、しっかり準備をして臨みたいところです。
今週前半の相場振り返り
それでは、今週前半の相場を振り返ってみたいと思います。
週末のビックイベントを控え静かな展開ではありますが、米ISM製造業景気指数や、米建設支出がともに予想よりやや強い結果となったほか、米10年債利回りの上昇も相場の支えとなり、ドル円は121円台に乗せるなど堅調な展開となっています。
さて、今週は週末にかけドル円はさらに上値を試すことができるかが重要なポイントとなります。先週のFOMC声明文では世界経済や金融の動向が、米経済活動の抑制や短期的なインフレの下押し圧力になりえるとの文言は消えたほか、前回2004年の利上げ前に使われた文言「solid」(堅調)というキーワードが使われたこともポジティブ要因で、FOMCメンバーは12月の利上げに前向きだと解釈しています。また、今週のISM製造業景気指数が50.1と微増ではあるものの、分岐点となる50を上回ったことも米利上げに向けては好材料です(今までISM製造業景気指数が50以下で利上げしたケースはありません)
また、本年8月24日に中国の景気後退を背景に株が暴落しましたが、米経済単体で見れば経済は堅調で失業率は5.1%と2004年に利上げした水準ですし、来年には米大統領選を控えているため、経済指標が大きく下振れしない限り、FOMCは年内に利上げしたいはずです。
このような背景もあり、今回の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想通り+18.0万人前後で、平均時給も市場予想通り前年比+2.2%から+2.3%への上昇と、指標結果が予想通りであれば12月利上げ確率が高まったと捉えられ、ドルが買われる展開を考えています。
因みに、本日21:15に予定されているADP雇用統計ですが、ここ最近同指標結果は労働省発表の米雇用統計との乖離があるため反応しづらいです。ADPの結果から深追いは禁物かもしれません。
出典: みんなのFX 日足チャート(USD/JPY)
テクニカル面では三角持ち合いの上値をブレイク後に新たな上昇トレンドができており、下方トレンドチャネルが下値の強いサポートになりそうです。上値は直近で75日移動平均が機能しているのでこの水準を上抜けられるが短期的なポイントになります。仮に75日移動平均線の差し掛かる121.30円付近を明確に上抜けることができれば、本年8月24日スパイク後の高値121.60円、そしてチャネル上限の122.50円までは上昇余地があると見ています。
売買比率
ドル円は昨日121円台に乗せたことで利益確定の売りも散見し売買比率は拮抗しています。ユーロ円はややバーゲン・ハント的な買いが入り「ブル」、ポンド円は「スクエア」、オセアニア通貨はこの水準ではバイ&ホールドと考える参加者が圧倒的で約80%が買いポジションとなっています。
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