トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
米ドル/円は大幅急落
先週のレポートで仮に日銀が「現状維持」を発表した場合、米ドル/円は107円迄急落する可能性があると記述しましたが、さらに下抜けて一時105円台をつけるまで下値を拡大しました。マーケットが完全に日銀の金融緩和を織り込んでいた背景がありましたので、ネガティブサプライズが起こるのであれば、ここまでの下落予想はあまり難しくはありませんでした。
当然政府日銀も「現状維持」を発表すれば急落することはわかっており、夏の参議院選挙を控えたアベノミクス政権の生命線である「円安・株高」を死守するため、この局面であればなりふり構わず金融緩和をしてくると思っていました。
日銀が金融緩和できなかった理由
では、なぜ日銀は緩和のカードを切れなかったのでしょうか。おそらく日銀は金融緩和したかったが、できなかったのだと思います。日銀は「これ以上のスピードで突き進むと取り返しがつかなくなる」と判断したのでしょう。
つまり、ここまで走ってきた金融政策の限界を認めたのかもしれません。黒田総裁の会見も追加緩和について従来の強気スタンスを維持する回答をしていましたが、この文言は毎回使うテンプレートのようなもので目新しい発言はありませんでした。
日本が監視リスト入り
また、米財務省の半期為替報告では、中国、日本、韓国、台湾、ドイツが為替政策の「監視リスト」に加えられました。
①対米貿易黒字が200億ドル超
②経常黒字がGDP比3%超
③一方的な為替介入による外貨純購入額が12ヵ月間でGDP比2%超
という3つ水準が、不公正な為替政策を判断する基準として用いられ、日本は①②の条件に該当しており、この米監視下のなか、米当局者から「米ドル/円相場の現状は秩序的」であり、G20およびG7の為替政策に関するコミットメントを順守することが重要だとして介入を牽制しています。
先週末に麻生財務相が「米報告書には制限されず一方的で偏った投機的な動きは必要に応じて対応」と発言しておりますが、今月26日と27日に伊勢志摩で開催されるG7まで、政府日銀は動きづらいのは確かです。
仮に105円を割れて100円近くまでスパイクするような場面では流石に黙っていないとは思いますが、どちらにせよ介入への催促相場から下値を模索する値動きとなりそうです。仮に中途半端な介入で上昇した場合も格好の戻り売りポイントとなり、よほどのタイミングでない限りリバウンドは狙えません。
ドル上昇の希望は強い米経済から6月利上げのシナリオとなりますが、先週の1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率プラス0.5%で2年ぶりの低水準になり、利上げへの雲行きは怪しくなってきました。また、今週金曜日の米雇用統計はここ数カ月好調な数値が続いているだけに良い数字がでてもドル買いは限定的になり、こちらも戻り売りポイントになってしまうかもしれません。
目先は105円を試す展開か
チャート的には踏ん張りどころです。
前日の下ひげで一旦下値攻めが落ち着いたようにも見えるほか、2011年の最安値75.56円から昨年高値125.84円までの上げに対する38.2%押しの水準が106円のミドルとなっており、このあたりで反発すると考えることもできます。
しかし、日足一目均衡表を見ても三役逆転の状況にあり、下値リスク軽減には下を向いた基準線が水平まで戻る必要がありそうです。高値から6円以上の大幅下落だったため反発はしていますが、目先は心理的なサポートである105円を試す展開が予想されます。
<長期展望>
米ドル/円は、中国を始めとした世界的な先行きの不透明感からリスクオフ地合いが簡単に払拭されるとは考え難く、円高に振れやすい地合いが続くと見ています。また、米利上げペースの鈍化、日銀金融緩和への限界などネガティブな材料は多く、長期的なターゲットとして100円付近までの下値を想定しています。
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