トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
先週の米雇用統計では雇用者数変化、平均時給と共に市場予想を上回り申し分ない数値となりました。ただ、2か月連続でここまで文句のない数値が出た割には米ドル/円の上値が重い印象があり、ここで103円レベルに定着できないようでは、やはり米ドル/円上昇のシナリオは描けません。事実米長期金利も上げきれず、最新の米利上げ観測も9月で18%、12月でも42%と米雇用統計発表後から微増したにとどまっています。
なかなか上がってこない米利上げ観測については、8月26日にジャクソンホールで予定されているイエレン米連邦準備理事会議長の発言が分岐点となりそうです。世界的な景気減速や、米大統領選を考慮すれば、米利上げのハードルは高くなりますが、米経済だけをみればインフレ懸念もあり、そろそろ利上げに関し何かしらヒントを出すのではないかと考えています。
ただ逆に言えば、明確な米利上げのシグナルが出ない限り、日銀金融政策の限界、米利上げペース鈍化、トランプリスク、欧州や中国リスクと円高材料には事欠かない状況下であります。米ドル/円は100円割れを意識しつつ、弱気バイアスをもって臨むのがよさそうです。
チャートをみても上値が重く、日足一目均衡の雲下限が機能しており、102.50円から102.80円のレベルでは強固なレジスタンスとして意識されそうです。この水準を上抜けると基準線のさしかかる103.70円が見えてきますが、少しハードルは高いでしょう。一方サポートは101円、100円といった心理的な節目が意識されるものの、ブレイクした時のスピードを考えるとテクニカル的にはダウンサイドリスクが高いと言わざるを得ません。
また、マーケット参加者の多くが夏季休暇入りする中で徐々にリクイディティが低下しており、薄商いのなか仕掛け的な動きがでる可能性は高くなります。今朝も9時過ぎにAIなのかわかりませんが、日経平均の株安に反応して米ドル/円で80PIPほど下にスパイクするなど、週末から来週にかけて特に東京市場では注意が必要です。対応策としてはストップをタイトにするのがいいですが、スパイク後の反発を狙ってみるのも面白そうです。
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