先週の「米ドル/円」相場は、122円台ミドルへ急反落。黒田日銀総裁が10日の衆院財務金融委員会で、「ここからさらに円安に振れていくことはありそうにない」との見解を示したことを受けて、円の買い戻しが殺到した。わずか一行のコメントで2円も円高になったことについて、「黒田逆バズーカ」「黒田ブラックマジック」と評する向きもあった。
もっとも「円安が進みそうにない」のは「米ドル/円」というわけではなく、「実質実効為替レート」の話である。日銀が算出している実質実効為替レートをみると、円は1973年以来約42年ぶりの円安水準にある。したがって、実質実効ベースでさらに円安に振れていくことは、ふつうに考えると、なかなかありそうにない、ということだ。
出所:日本経済新聞
では、実質実効為替レートとは何か。まず、実効為替レートとは、通貨の貿易上の対外競争力を示す指標で、さまざまな通貨に対する交換レートを貿易額に応じて加重平均したものだ。これを内外のインフレ格差を用いて実質化したものが、実質実効為替レートだ。1973年の円相場は、名目ベースでは今よりはるかに円安だったが、当時から現在までの内外の物価上昇率の格差を加味すれば、現在の相場は同じくらい円安ということになるらしい。
実質実効為替レートというのは日銀マンが好んで使う概念だが、市場目線で見れば、はっきりいって屁理屈だ。為替相場は物価だけで決まるものではないし、実質実効為替レートを参考にしながらトレードをする者はまずいない。何もかも物価高だった当時と今が同じ為替水準といわれて、ピンとくる人も少ないだろう。これと似た概念で、為替レートの理論値とされるPPP(購買力平価)と現実の相場がほとんど一致することがないのと同じである。
黒田総裁のこの発言は、民主党の前原議員の質問に答えたもので、明確な「口先介入」の意図があったかどうかは定かではない。あとで甘利経済再生担当相に対し「趣旨が若干曲解されて市場に伝わってしまった」と釈明していたところを見ると、これ以上の円安は断固阻止するというほどの本気度はなかったように思われる。日銀が掲げたインフレ目標達成の目途がまったくつかないなか、円高に逆戻りしてしまえば、苦しくなるのは日銀だからだ。意図があったとすれば、市場の過熱を冷ますための牽制球だったのではないか。日銀としては、適度の円安水準で安定的に推移してくれるのが一番都合がいい。
もしそうであれば、いったん上昇トレンドに乗った「米ドル/円」相場が簡単に崩れるとは考えにくい。むしろ、先月までの抵抗線だった122円がしっかりサポートされたことで、適度のガス抜き調整となった可能性もある。今週はFOMCと日銀金融政策決定会合が控えており、市場の関心が再び日米の金融政策に向かう公算が大きい。黒田発言後の下落分を全戻しする可能性があり、ドルの買い場を探すイメージで臨みたい。
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