トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
米ドル/円は週末にかけて重要な米経済指標の発表が少なく、引き続き米長期金利の動向を意識した展開となります。米ドル/円は米長期金利が急ピッチで上昇していることで調整する場面も見られ、足元はさすがに一服感が出ています。
ただ、米国の大規模景気刺激策への期待感を背景とした米金利上昇、ドル高圧力は続くとの見方は強く、トランプラリーは来年の新政権誕生まで続くと考えています。調整に注意しつつも基本的には押し目買い姿勢で臨むマーケットと言えます。
ECB量的緩和の継続は如何に
明日は21時45分にECBの金融政策発表、22時30分からドラギECB総裁の定例記者会見が予定されており、今週のメインイベントとなります。今週のECB理事会は現在の月間800億ユーロペースでの購入規模を期限延長することがコンセンサスとなっている一方、今までの量的緩和策を終了することを検討しているのではといった報道が伝わるなど、不透明感が強くなっています。量的緩和終了といったシグナルが読み取れないのであれば引き続きドルのトランプラリーと、ユーロの戻り売り優先には変わりありません。
しかし、量的緩和終了を思わせる月額の買い入れ枠の縮小や、緩和が無限ではないことを言及するなどはっきりしたシグナルがあれば、ユーロは大きく買い戻されることになります。
今回のECBは今後のユーロ相場のターニングポイントとなる可能性が高く、その内容はしっかりと確認しておきましょう。
FOMCでは利上げペースが最大のポイント
来週行われるFOMCが今年最後のもっとも大きなテーマとなりますが、利上げは100%確実な状況です。
そのため、イエレン議長が今後の経済見通し、利上げペースについて何を語るかが、最大のポイントなります。
昨日からブラックアウト期間(当局者が発言できない期間)に入ったため、直前に発言のあったFOMCメンバーの発言はヒントになりそうですが、なかでも影響力の高いダドリーNY連銀総裁らの発言はかなり重要となります。
ダドリーNY連銀総裁の発言を抜粋すると「財政拡張なら利上げペースを若干加速させるだろう」「金利の上昇については遅すぎたぐらい」としております。更に現状でドル高が進んでいることに対しても問題ないとも発言しており、金利高&ドル高の流れを許容している様にも感じられます。市場の思惑以上に利上げペースの加速が意識された場合、ドルは上値を伸ばすことになりますし、その可能性も高いと思います。
今週のテクニカル分析
11月は月足が大陽線で終わっています。ここまできれいな大陽線はなかなかお目にかかれないほどです。
榊原財務官のもとで円売り協調介入が行なわれた1995年や、アベノミクススタートで無制限金融量的緩和を明言した2012年以来の大きさです。
そしてこの大陽線の翌月はいずれも上昇をしており、その後も断続して上昇をしています。大きな時間軸でテクニカルを見た場合米ドル/円は明確な上昇トレンド入りしたと考えるのが自然で120円を上抜け大相場になる可能性もあります。
短期的な目途として上値は引き続き114.70~80円前後が強めの上値抵抗となっており、その上の115.00円が週末向けたターゲットとなりそうです。
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