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金融リテラシーが身につく YEN蔵の投資大学(アカデミア)|第14回[YEN蔵]

金融リテラシーが身につく YEN蔵の投資大学(アカデミア)|第14回[YEN蔵]

※この記事は、FX攻略.com2021年3月号(2021年1月21日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

米新政権誕生と年初の注目日程

 この原稿は(編注:2020年)12月22日ごろ書いていますが、激動の2020年が終わり、この号が出るころは既に2021年がスタートしています。直近の状況を振り返ると、11月4日の米大統領選挙を通過して株高・ドル安の流れが始まり、それが12月終盤にかけても続いている状態です。12月第3週には各国中央銀行の決定会合が集中しており、この週で2020年のイベントはほぼ終了しました。

 12月第3週は15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、17日にスイス国立銀行(SNB)、イングランド銀行(BOE)、ノルウェー中央銀行、メキシコ中央銀行、17~18日に日本銀行の政策決定会合が行われました。

 多くの中央銀行で政策金利は予想通り据え置きの結果となりましたが、一番注目されたのはFOMCでした。FOMCでは予想通りフォワードガイダンスの強化を行いました。資産買い入れの年限延長や資産買い入れ額の増額などの追加緩和は見送られましたが、数値ではなく定性的な結果ベースのフォワードガイダンスを導入しました。ある意味、結果に対してコミットメントしたともいえます。事前の予想でも、フォワードガイダンスの強化があるのではないかといわれていました。

 現状では金利を変更したり、資産買い入れ額を増加させたりといった追加緩和が必要な状況ではありません。しかし、FOMCが現状の金融政策をいつまで続けるのか、あるいは経済が通常に戻って今の金融政策が必要でなくなったときにどのように出口に向かうのか、というガイダンスが現状では不明になっています。

 現在のように経済がまだ通常に戻っていない状況では、出口戦略に関して述べるのはもちろん時期尚早です。そんなことをすればマーケットが驚いて株安・ドル高のリスクオフになってしまいます。しかし、いつまで続けるのかという大まかなガイダンスがあれば、マーケットをより安心させて中央銀行の政策を浸透させることができます。今回のフォワードガイダンスの強化は、そのような意味を持っています。マーケットがそれを求めていたので、FOMCが答えたという格好です。「目標である最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展があるまで、現在の資産買い入れペースを継続する」とコミットしました。

 米連邦準備制度理事会(FRB)の二つの大きな使命は、この物価の安定(インフレ率2%)と完全雇用です。インフレ率に関しては、どれを利用するか悩みますが、FOMCでは「PCEコアデフレーター」を重視しています。10月分は前年比1.4%となっており、目標の2%からはかなり遠い状況です。

 完全雇用に関しては、それを示す明確な指標がありませんが、かつては失業率が5%を切るレベルといわれていました。新型コロナウイルスの感染拡大前は3.5%まで低下しており、これは歴史的に見ても非常に低い水準でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による経済のロックダウンなどによって、4月に14.7%まで上昇してしまいます。その後は徐々に回復していき、11月には6.7%まで低下しています。

 具体的に、雇用情勢とインフレ率の達成目標から資産買い入れの継続時期が示され、これが達成されるまでは緩和を続けるとしています。現状はこの目標に程遠いわけですが、四半期に一度発表されるFRBスタッフの経済見通し(SEP)によると、9月のときの予想と比べて2021年の国内総生産(GDP)は4%→4.2%、失業率は5.5%→5%、PCEインフレ率は1.7%→1.8%、コアPCEインフレ率は1.7%→1.8%と、それぞれ経済見通しを改善しました。このFOMCの経済見通し通りに経済が推移するまで、現在の資産買い入れペースは継続するという宣言をしたのと同じです。テーパリング(金融政策を中立方向に戻す)に向かうのは、それらが達成された後という解釈をして良いでしょう。

 結果としては金融緩和の継続が確認され、その後、株価は高値圏で推移しています。

SEP(FOMCスタッフの経済見通し) ドットプロットチャート(FOMCメンバーによる政策金利の見通し)

コロナワクチン接種の広がりが大きな材料に

 年末は独特の動きを見せることがあります。海外の年末にはクリスマス休暇があり、クリスマスを挟む24~25日前後は外国人が休暇を取るため、外国人のフローがほぼなくなるからです。外国人はクリスマス明けから徐々にマーケットに戻ってきて、新年からは本格的にマーケットに参加していきます。日本以外の多くの企業は12月が決算で1月から新年度になりますから、新年度に入ると外国人投資家が積極的に参入してきます。そのため、1月年初からマーケットが大きく動くことがたびたびありました。

 年末年始は東京市場が休みになりますが、その間も海外市場は動いていることが多く、三が日を過ぎたころに参入する日本人投資家は出遅れてしまいがちです。しかし、2020~2021年の年末年始は東京市場が休場かつ海外市場が開いているのは12月31日だけで、新年は東京市場も海外市場と同じ日にスタートするため、日本人投資家も出遅れないで済みそうです。

 2021年がスタートとして最初に注目されるポイントは、新型コロナウイルスのワクチンが普及しているかどうかでしょう。米国や欧州では医療関係者に向けたワクチン接種が12月から始まりました。今のところのスケジュールでは、3~4月ごろに欧米でワクチンの接種が広がり、日本では6~7月ごろになるとの予想が出ています。

 ワクチン接種の広がりと共に経済活動が通常に戻っていくことになりますが、この普及が早まれば当然経済活動の回復も早まります。2021年の第1四半期ぐらいまではワクチン接種の広がりがマーケットの大きな材料になるでしょう。

バイデン政権が中国にとるスタンスに注目

 2021年の米国では大統領選挙と議会選挙の結果を受け、新政権が1月20日の大統領就任式をもってスタートします。その前に1月3日から上下両院で新たな会期である117会期が始まります。また、1月後半に行われる大統領の一般教書演説はバイデン政権の方向性が示されるので、大きな注目を集めます。

 2月には米中の貿易協定に関する点検会合が予定されています。2020年に締結された米中貿易協定では、半年に一度の点検会合の開催が決められています。前回は2020年8月に行われましたから、通常であれば2月の開催が予定されます。

 現状ではバイデン政権の中国に対するスタンスはまだ分かりません。ある程度決まっているかもしれませんが、正式な発表はまだです。バイデン大統領のここまでの発言等から推察すると、国際ルールに基づいて懲罰的な関税などを課すことはせずに、中国と貿易問題を解決していくのではないでしょうか。

 バイデン政権が今後、中国に対してどのようなスタンスをとるのかは非常に重要なテーマです。貿易問題だけでなく、国防問題、外交問題、エネルギー関連の問題などさまざまな面で、バイデン政権が中国に対してのスタンスが注目されます。

 また、日本の菅首相は2月に訪米する予定があります。お互いに新政権ということで、ここからの日米関係にとっての重要な会談になります。ここで中国とのスタンスがどのようになるのかが話し合われるでしょう。

 同盟国に対しても米国ファーストを貫いたトランプ大統領に対し、バイデン政権は同盟国との関係を重視すると発表しています。菅・バイデン会合は今後の日米関係を占う上で注目の会合になります。

2021年1~2月に予定されている注目の米国イベント

 1~2月は現在このような予定になっています。トランプ大統領のことですから、土壇場に何が出るか分からないという不安もありますが、バイデン政権が1月20日に誕生する前提でマーケットは動いています。

 また、前年に米大統領選挙がなかった年でも、1月後半の大統領の予算教書提出には注目が集まります。米国の会計年度は10月から翌年の9月までになります。2021年会計年度は2020年10月から2021年9月までです。

 米大統領は、毎年2月の最初の月曜までに予算教書を議会に提出します。この予算教書は翌年度の財政収支の見通しだけではなく、向こう10年分の財政収支の見通しなどについても述べられています。ただし、米大統領は法案を提出することはできませんから、この予算教書というのはあくまで政権が適切だと考える予算の内訳と基本的な方向性を議会に示して勧告するというものです。

 執筆時点で上院はまだ共和党か民主党か体制が決まっていません。政権と議会が異なる政党で、ねじれが起こる場合は、両者で異なる意見を持つことになります。ただ、議会で通過した法案に対して大統領は拒否権を行使できるので、妥協が生まれて予算教書の内容を歳出法案に反映させることは可能です。今回、議会は総額9000億ドル規模の追加コロナ対策で合意しています。2021年度の本予算も可決されました。

 採決された追加コロナ対策と本予算は、トランプ大統領の署名を経て成立する状況です。しかし、執筆時点でトランプ大統領は追加コロナ対策の修正を求めて、現行案のままならば署名を拒否するとしています。現時点ではここまでの状況ですが、無事に法案が成立すれば、次はバイデン政権の予算教書が注目されます。

※この記事は、FX攻略.com2021年3月号(2021年1月21日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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えんぞう。米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。現在はトッププロトレーダーとして為替、日経平均、日経オプション、個別株の取引を行う。投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨を始めとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。 ・メルマガYEN蔵 リアル・トップ・トレーディング
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