トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
本日はトランプ大統領の演説、明後日はイエレンFRB議長の講演が予定されています。今年前半のマーケットを予想するうえで非常に重要な週になりますのでしっかりとポイントを押さえておきましょう。
トランプ大統領は講演で具体策を示すことができるのか
NYダウは連騰、FRBはタカ派スタンス、さらに好調な米経済指標でも米ドル/円の上値が重い要因はトランプ大統領の不確実要素にあります。その不確実要素を払拭できるか本日11時より予定されているトランプ大統領の演説に関係者の注目が集まっています。
トランプ大統領からは「驚くべき税制改革」「インフラに大きく支出する」という漠然とした内容は伝わってくるものの、その詳細や具体策はわかっていません。まさに本日の講演でのポイントは明確な具体策を出すことができるのかにつきます。
主なポイントとしては下記が挙げられます。
- 税制改革→法人税減税15%-20%まで引き下げ
- 巨額のインフラ投資→1億ドル規模
- 国境税→輸出免税・輸入課税
- 規制緩和→ドット・フランク法見直し
- 米経済成長率→4%まで引き上げ
仮にこれらの経済政策について具体策が示されればトランプラリー復活です。特に法人税減税では国境税を財源として具体案を示し、ポジティブな内容となれば115円を目指す展開となります。中期的には年初来高値の118円を再トライの線もなくはありません。
しかし、財源をどうするのかなど明確な道筋が見えて来ず、相変わらず大風呂敷を広げているだけであればもうマーケットが甘い顔をすることはないでしょう。そのほかの経済政策に関しても具体策に乏しい内容となれば失望売りから110円割れも想定しておくべきです。
総合的に判断するとマーケットはネガティブになりやすく、ポジティブ側にサプライズがあると見ております。仮にポジションをとるならショートでストップはタイトに入れておきます。とはいえ現段階でトランプ大統領の発言は予測不能なため、できればポジションはスクエアにして内容が明確になってきたら相場に入る方が無難ではあります。レンジが続いているだけにレンジブレイクした場合の勢いはあるので、トレンドを確認してからのエントリーでも十分間に合うと思います。
高まってきた3月利上げ説!? FRBは本当に上げられるのか
昨夜ウィリアムズサンフランシスコ連銀総裁が「3月利上げを真剣に協議すると予想」と発言、ダドリーニューヨーク連銀総裁も「利上げの主張はより説得力のあるものになっている」と発言しており、FOMCメンバーのタカ派スタンスが加速しています。
フェドウォッチの3月利上げ確率も60%まで急上昇しており、にわかに3月利上げ説が現実味を増してきました。
そうしたなか、明後日3月3日のイエレンFRB議長の講演は3月15日FOMC前の最後の発言となるため、3月利上げの手掛かりをつかむには非常に重要となります。イエレンFRB議長が3月利上げを本気で考えているならば超タカ派発言が聞こえてくるはずです。
しかし、マーケットにサプライズを与えることを嫌うイエレン議長なら最低でも80%は織り込みたいはずです。来週からブラックアウト期間に入るので時間はあまり残されていません。いまのところ3月15日のFOMCで次回(5月か6月)利上げを明確にするパターンが本線かと思っていますが、明後日の発言の内容次第では3月利上げも考えなくてはなりません。とにかくここがターニングポイントとなることは間違いないでしょう。
今週のテクニカルは?
トランプ大統領とイエレンFRB議長の講演もあり、強いファンダメンタルが出た場合にテクニカルはあまり機能しないのであくまで参考程度で考えています。
チャートを見ると今月に入り持ち合いが続いており、今月の高安となる111.60-115.00円を上下先にレンジブレイクする方向が重要になってきます。ブレイクすればシンプルについて行けるよう準備しておきます。
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