リスク回避のドル売り円買いは長続きしない[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2020年2月3日号

先週のドル円相場は

新型コロナウィルスの感染が急速に拡大する中、リスク回避の円買いが強まり、ドル円は一時108.30円まで下落。世界保健機関(WHO)は、新型コロナウィルスの感染拡大について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と宣言した。中国の保健当局は2日、新型コロナウィルスによる肺炎の患者の数が1万4380人になったと発表。2002年11月から2003年7月にかけて中国で発生した新型肺炎SARSの感染者数(約8千人)を大きく上回った。中国本土の死者の数は300人を超えた模様。感染拡大が最も深刻な湖北省では、大型連休の期間をさらに13日まで延長する。

株式市場も動揺が続いており、NYダウは金曜日に600ドルあまり急落。史上最高値からの下げ幅は1000ドルを超えた。恐怖指数VIXは一時20%程度まで上昇し、市場の先行き不安感は最高潮に達しつつある。日経平均も本日は2万3千円を大きく割り込んでいくだろう。

ドルは安全通貨

しかし冷静に考えると、中国の経済活動が停滞し、景気が悪化するとなると、中国以外で最も経済的打撃を受けるのは欧州だ。ユーロドルは感染が拡大し始めた1月中旬から200ポイント近く下落したが、事態が深刻化すればユーロはさらに売られてもおかしくない。一方米国は中国経済に依存しているわけではなく、地理的にも離れているから、ドルは逃避資金の受け皿となりうる。本来こうした不確実性の中では、安全通貨のドルは少なくとも売りではない。

円は果たして安全か?

円はドルと同様、市場では安全通貨とみなされているが、日本経済も中国景気悪化の影響は避けられず、中国人が春節の旅行先に最も好むのは日本であることも勘案すると、避難行動として円を買うのは間違っている。円の安全神話の根拠であった貿易黒字もいまや過去の話で、昨年1年間の日本の貿易収支は1兆6438億円の赤字(2年連続)である。現在、三極通貨を弱い順に並べるとユーロ<円<ドルになるはずで、市場がリスク回避と称してドル円を売るのは一種の脊髄反射的行動であり、長続きはしないはずだ。

週前半にもセリングクライマックスか

本日2月3日からは、春節で休場となっていた中華圏の株式市場が再開する。中国株の大幅下落は避けられず、今週前半は恐怖感のピーク、いわゆるセリングクライマックスを迎える可能性が高い。株安・リスク回避の流れでドル円も一旦108円台を割り込む展開も想定しておく必要があるだろう。しかし恐怖に駆られた狼狽売りが一巡した後は、相対的に安全なドルが買い直される展開になるのではないか。今週は米国1月のISM景況指数や雇用統計も発表され、市場の関心が比較的良好な米国経済に戻ってくる可能性も高い。セリングクライマックスこそが絶好の買い場となるというのが経験則である。

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雨夜恒一郎(あまや・こういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

Twitter:https://twitter.com/geh02066

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