かなり以前から、日本中のいたるところで、携帯型の小型ゲーム機に熱中している人たちを、よく見かけるようになりました。電車のなか、ファミレス、公園のベンチ、中には歩きながら、ゲーム機の操作に没頭している人もいます。一心不乱にゲームに取り組んでいる彼らの姿は、まるで「ゲーム中毒」と呼んでも過言ではないでしょう。
しかし、これは決して他人事ではありません。われわれが日々取り組んでいるFXも、ゲームに劣らず人を虜にする魔力を秘めています。油断をすると、一人前の大人が、FXにハマって抜け出せなくなるのです。FXにハマった投資家の運命は、果たしてどうなるのか。今回の記事では、FX中毒について私見を述べたいと思います。
FXの魔力とは
読者の皆さんは、通勤中に携帯電話で通貨レートのチェックをしたり、仕事中にこっそりトイレで注文を出したりしていませんか。仕事中でもFXのことが頭から離れないとしたら、あなたは立派なFX中毒かもしれません。そんなあなたに限らず、FXで生計を立てている専業トレーダーの多くは、とことんまでFXにハマった経験があるようです。
私もFXにハマって10年以上になりますが、一日中トレードのことばかりを考えて暮らしています。まるで、ゲーム機に熱中する子どもと同じように、食事中や友人とお酒を飲んでいるとき、散歩をしているとき、そして、家族と旅行の最中でさえも、携帯端末でチャートをチェックすることを欠かしません。平日は朝から深夜まで、15時間以上はPCに張りついてトレードを繰り返し、寝るときでさえ、ベッドのすぐ横にはiPadでチャートを出して、眠りにつきます。為替相場が閉まっている土日には、トレード履歴の精査や、チャート分析など、多岐にわたる検証に一日中忙しくしています。
こんな生活を何年も続けて、疲れ果てていやになるかというと、全然そんなことはありません。家族にいわせると、私は間違いなくFX中毒だとのことですが、これが私の日常であり、ふつうのことなのです。もっとも、私のようにFXトレードが仕事の場合は、大きく負けない限り、FXにハマることが問題になることは少ないでしょう。しかし、負け続けている人の場合は、まったく事情が異なります。
FX中毒とは
FX中毒、つまり、FXにハマる程度が極めて重症な場合、その典型的な症状がいくつかあります。
代表的な例は、朝から晩までFXのことが頭から離れず、四六時中チャートや通貨レートのチェックをすることがあります。ある意味では、研究熱心とも受け取れますが、それも程度によります。本業の合間に、隠れるようにこそこそトレードしたり、たとえば、家族や友人、恋人などとの大切なプライベートのときにまで、FXのことばかり考えているとしたら、これはかなりの重症です。
また、FX中毒によく見られる症状に、自分で決めた売買ルールを守れず、チャンスを待てずに、エントリーしてしまう、いわゆる「ポジポジ病」があります。この場合、遅かれ早かれ口座資金を失う結末を迎えることになり、大好きなFXを続けられなくなる可能性が大です。
そして、もっとも危険なのが、FXでどんなに負けても、キッパリとやめることができないという症状です。FX中毒が末期症状を迎えると、口座資金をほとんど飛ばすほどの大きな損失を出しても、ある程度の投資資金が貯まると、嬉々としてFXに復帰してきます。そして、再び無謀とも思える取引を繰り返し、口座資金の大半を飛ばすのです。今度はさすがに懲りて、FXをやめるかと思いきや、また、資金を貯めては復活し、また口座資金を飛ばすという、笑えない「無限ループ」に陥ります。こうなると、本人にとってはもちろんのこと、家族がいたらさらに悲惨で、最終的に生活が破綻することは間違いありません。
FX中毒の原因は
FX中毒に限ったことではありませんが、そもそも中毒というのは、楽しいとか気持ち良いという快感からハマり込んでしまい、自力では抜け出せなくなる状況を指します。薬物中毒はもちろんのこと、ニコチン中毒、アルコール中毒、ギャンブル中毒、仕事中毒など、中毒にもいろいろありますが、どれも強い満足感で満たされるため、気がついたときにはやめられなくなっているのです。ですから、日頃から自分は自制心がないと実感している場合は、FX中毒にならないように、細心の注意が必要です。
私の個人的な考えですが、FXの場合の中毒は、トレードという非日常的なドキドキ感と、短期間に大金を稼げる可能性によって、引き起こされるのではないでしょうか。実際、投資書籍やFX雑誌、投資ブログには、短期間に大金を稼いだという話が満載で、投資家の射幸心を煽っているのが実情です。
確かにFXは、小額の投資資金から気軽に始められ、大金の夢を追いかけることができます。しかし、FXの魅力と危険性は表裏一体で、不可分のものです。FXでドンドンお金を失っているにもかかわらず、なかなか止められないとしたら、いずれは社会生活が立ち行かなくなります。FXにハマり込んだ以上、勝てるようにならなければ、待っているのは悲惨な人生であることを、肝に銘じなければなりません。
FX中毒にならないためには
FX中毒にならないためには、どうしたらよいでしょうか。もっとも効果的な対策は、大きな資金でやらないこと、言い換えれば、大きな利益を追い求めないことだと思います。
FXでもっとも強い快感に満たされるのは、リスクが高いトレードに成功して、大きな利益を得られた瞬間ではないでしょうか。また、エントリーして大儲けか大損かの結果が出るまでの、日常生活では到底味わうことのできない期待と恐怖。これもFXの快感を、より一層盛り上げてくれる要素です。しかし、胸がドキドキするような取引を繰り返していると、いつかはFX中毒の領域に足を踏み入れることになります。したがって、FXでハイリスク・ハイリターンを目指すことには、よほど慎重になる必要があるのです。
え? 「そんなFXはつまらない」ですって? ドキドキもしないし、楽しくもない、つまらないローリスクの投資だからこそ、FX中毒にならずに済むのです。また、明確な売買ルールの作成に加えて、FXは一日に最長何時間までにするとか、最大損失額はいくらまでなどのルールを決めておくことは、FX中毒にならないための有効な手立てだと思います。
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FXに涙やガッツポーズはいらない
現実問題として、ローリスク・ローリターンの趣味的なトレードでは、上手くいっても、お小遣い程度を稼ぐのがやっとのはずです。読者のなかには、「FXだけで生活したい」とか、「FXで資産を築きたい」と願い、真剣にFXに取り組んでいる方も多いはずです。そのような方に申し上げたいことですが、FXで長期的に勝ち続けるためには、トレード時に胸がドキドキするとか、大負けしたら涙目になったり、大勝ちしたら思わずガッツポーズをするような、そんなギャンブル的なトレードをやっていてはダメだと思います。
そんなトレードでは、パチンコや競馬などのギャンブルと同じです。徹底的な検証もせずに、勝つか負けるかわからないところで、運に任せてエントリーするのは、偶然性に賭けるギャンブルに他なりません。
勝っているトレーダーは皆、値動きのもつランダム性をできるだけ排除するために、徹底的な検証を繰り返しています。そして、確率的に優位性がある手法を見つけたら、その売買ルールを一貫して繰り返し続けるのです。少なくとも、私にとってのFXは、生活の糧を得るためのビジネスであり、売買ルールに従って、単調なトレードを繰り返すのが仕事です。そこにはドキドキもワクワクも、涙もガッツポーズもありません。
夢実現のための確かな一歩
FXは学歴や年齢、性別などの社会的制約に関係なく、努力によって夢を実現できる、数少ない場になる可能性があります。しかも、何度退場を余儀なくされても、投資資金とやる気さえあれば、夢実現への道は開かれています。つまり、チャンスは誰にでも、そして何度でもあるのです。あきらめなければ、いつか夢を実現できるという可能性が、FXで何度退場させられても、立ちあがる原動力になります。
皆さんもよくご存じの通り、世の中にはリスクを取ることを徹底的に避け、何も失敗しない代わりに何も得ることのない、「石橋をたたいて渡る」日々を送っている方が少なくありません。もちろん、そのような人々を批判するつもりはありませんし、それが堅実な生き方だといわれれば、その通りかもしれません。
しかし、自分の夢を追いかけて、FXで積極的にリスクを取り、そのリターンを得るために必死に努力すること。そして、その厳しさのなかから自己実現を果たすという生き方も、あってもいいはずです。FX中毒者というのは、言い換えれば、「夢をあきらめずに努力している努力家」なのかもしれません。たとえわずかな可能性であっても、夢の実現のために日々邁進するその姿勢は、充実した人生の確かな一歩になるに違いないと、私は確信しています。(月刊FX攻略.com 2013年12月号掲載)
「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
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取り上げているFX会社は、金融商品取引業の登録をしている国内FX業者です。口座開設は基本的に無料ですので、まずは気になったところで2〜3つ口座開設してみて、実際に比べてみてはいかがでしょうか。
\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |