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FX力を鍛える有名人コラム

「ユーロ/スイスフラン」攻略法[松崎美子]

とうとう9月に入りました。私は為替だけでなく、株価指数の取引をするため、1年のうちで最も株価が落ち込みやすい9月は、非常に神経を使います。最近になって、著名なヘッジファンド・マネージャー:ソロスさんが、米株式指数S&P500のプット・オプションを大量に保有していると報道されましたが、ソロスさんは個別株は相当ロングになっているので、株価指数のプット(売りの権利を保有する)オプションは、あくまでも個別株のヘッジという位置づけであると考えられます。ですので、それぞれの報道を表面的に鵜呑みしないよう、気をつけています。

マーケットの安全性のバロメーター「ユーロ/スイス」

最近FXを始められたばかりの個人投資家さんにとって、「ユーロ/スイス」という通貨はあまり馴染みがないかもしれませんね。しかし、長年為替の世界に従事している私にとっては、朝起きて一番最初にプライスをチェックするほどの最重要通貨ペアです。理由はたくさんありますが、特に「有事のスイス」「安全資産(セーフヘブン)のスイス」として有名であるため、この通貨が強くなっている場合は、何かが起きている、または起きようとしているので要注意!と考える癖をつけています。

スイス中銀の決定

ブログでも似たような記事を過去に書きましたが、この通貨の基本情報を最初に書きます。

・2011年春〜夏まで

2009年に発覚したユーロ圏債務危機の悪化に伴い、ユーロ加盟各国、とくに、周縁国から投資資金だけでなく、富裕層の資産までもが、安全性を求めてスイスへ逃避。一気にスイス高が加速。

・2011年9月6日

スイス中央銀行(以下、SNB)は、スイス高回避のため、対ユーロでのスイス・フランの上限(フロアー)を、1.2000に設定。1.2000が割れそうな場合は、無制限の介入をすると宣言。

・2012年9月

SNBが正式に認めている最後の実弾介入。

・2013年春〜夏

SNBは定期的に外貨準備高を公表していますが、この時期に大幅に増加したことが発覚。

最近のスイス高の背景

今年4月からのスイス高になりやすいできごとを拾ってみました。

5月頃までは、1.22台 ⇒ ウクライナ大統領選あたりから、徐々に下げ基調(スイス高) ⇒ 7月は1.21台での推移 ⇒ ジャクソンホール経済シンポジウム以降、一気に1.20台へ。

スイス中銀総裁発言

ウクライナやシリア情勢に代表される地政学リスク、それに加えジャクソンホールで量的緩和策(QE)導入の可能性を示唆したドラギECB総裁。先週はその2つの要因が混ざり合い、「ユーロ/スイス」はずっと1.20台での推移に徹していました。あと50ポイント少しで、スイス中銀が介入してくる筈の1.2000です。そんなタイミングのなか、この週末ジョーダンSNB総裁は現地の新聞のインタビューで、こう語っています。

The Swiss National Bank stands ready to intervene in the foreign exchange market to defend its cap on the franc and could take further measures to ensure price stability
(スイス中銀は、スイス・フランの(対ユーロ)上限(1.2000)を防衛するために、市場で介入する準備があるし、物価安定を維持するためにも金融政策の変更もありえる)

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為替への影響

① 今週木曜日のECB理事会でQE策導入が決定した場合

QE策導入 ⇒「ユーロ/ドル」下落 ⇒当然だが、「ユーロ/スイス」も下がる ⇒「ユーロ/スイス」が1.2000近くまで下がると仮定 ⇒ そのタイミングで、SNBがユーロ買い/スイス売り介入をするのは、ほぼ間違いない ⇒ 介入により、「ユーロ/米ドル」も戻す。つまり、ECBのQE策で売られたユーロは、SNBのユーロ買い介入で必然的に上昇する可能性が出てきます。片方ではユーロ売り、もう片方ではユーロ買いとなるため、ユーロの部分は相殺されます。結果としては、それぞれ残った部分の【ドル買い/スイス売り】が一番効率のよいポジションになりますね。しかし、このポジション作成がうまく出来そうにない方は、SNBの介入で「ユーロ/米ドル」が上昇したところを、丁寧に売る行為を繰り返すのが安全かもしれません。

注意したい点は、SNBが最初の介入で、「ユーロ/スイス」をどのレベルまで吊り上げるつもりなのか?が重要です。もし、150ポイントくらいしか上昇しない弱い介入であれば、「ユーロ/スイス」はもう一度1.2000をめがけて売られると思います。その場合は、「ユーロ/米ドル」の戻りは、しっかり売りたいです。しかし、350〜400ポイントくらいの強烈な介入になった場合は、「ユーロ/米ドル」でもユーロ売りはお休みし、「ユーロ/米ドル」のショート・カバーで戻るところまで戻ってから、あらためて売りで参戦するつもりです。QE策が導入された場合、どのくらいの規模になるのかにもよりますが、1.3000が抜けるとは、今のところ考えておりません。それくらい、このレベルは重要でしょう。

② 今週木曜日のECB理事会でQE策導入がない場合

ユーロ売りの巻き返しで、ユーロ上昇 ⇒ 1.33台くらいまで戻ってくれると嬉しい ⇒ それが無理なら、1.3280辺りから売りで攻める。この場合は、損切りは少し遠いですが、1.3480くらいを意識しています。

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