FRBのイエレン議長、ECBのドラギ総裁、日銀の黒田総裁といった要人の発言は、しばしばFXの相場を大きく動かします。この記事ではそのメカニズムに迫ります。
中央銀行とマーケット
中央銀行とは、「銀行の銀行」と呼ばれています。国・地域の金融機構の中核的な存在です。中央銀行は、基本的には、物価の安定を目的としていますが、米FRB(連邦準備制度理事会)のように、国によっては、景気刺激も合わせて目的としているところもあります。
したがって、本来中央銀行は、内外問わず権威ある存在だといえます。 しかし、中央銀行の対応によって、マーケットが中央銀行に従順である場合もあれば、ヒステリックな拒絶反応を示す場合もあります。 どうして、マーケットの反応に違いが出るのかを考えてみたいと思います。
マーケットは、臆病な巨象
私は、マーケットとは、臆病な巨象だと考えています。ワッ! と驚かせてしまうと、手がつけられないほどパニックを起こしてしまいます。良い例が、1987年のブラックマンデーという、ニューヨーク株式市場で起こった過去最大規模の暴落です。
この暴落の原因のひとつが、ドイツの中央銀行である、ドイチェ・ブンデスバンク(ドイツ連銀)と米政府との衝突でした。ブンデスバンクは、ドイツが第一次大戦後ハイパーインフレ(急激なインフレ)を経験したことから、インフレ退治を目的として、伝統的に利上げ志向の強い中央銀行です。この年も、ブンデスバンクは、利上げをしようと目論んでいました。一方、米政府は、ブンデスバンクの利上げに猛反対しました。
アラン・グリーンスパン元FRB議長
出典:wikipedia
この両者の衝突に、マーケットは臆病な巨象のようにおびえ、株式市場は大暴落となりました。しかし、このとき、アメリカには救世主がいました。それが、当時のグリーンスパンFRB議長でした。
同議長は、株式市場の暴落を止めようと、短期金利市場で、大量の資金を間髪入れずに注入し、それを受けて、長期金利も急低下し、株の暴落は沈静化しました。そして、それにより、マーケットは、グリーンスパン議長に絶大な信頼を置くことになりました。同議長のその後のマーケットへの対応は、さらに臆病な巨象を安心させました。
マリオ・ドラギECB総裁
出典:wikipedia
その対応とは、マーケットに語りかけるということでした。なにか金融政策に変更が必要なとき、彼は、前もってマーケットに、これこれこういう理由で、金融政策を変更しますよと語りかけました。それを聞いたマーケットは、唐突な変更ではないことから、前もって心の準備ができ、従順に同議長にしたがっていきました。グリーンスパン議長は、さながら、名調教師といえると思います。また、最近、とても似た人物が現れました。
それは、ドラギECB総裁です。彼は、リーマンショック以降の欧州危機など、ユーロ圏をとりまく難題をうまく片づけてきたと思います。彼もまた、グリーンスパン議長と同じように、マーケットに語りかける姿勢に、マーケットが応えているのだと思います。 彼も、名言をいくつも残しています。
なかでも、印象に残るのは、2012年7月、欧州の金融危機でユーロが売りまくられているときに発した「ユーロを救うためなら何でもする、私を信じてくれ」という言葉でした。このひとことで、相場は反転し、ユーロは危機を脱しました。
このように、グリースパン元FRB議長も、ドラギECB総裁にも、相通ずるところは、中央銀行の権威を背に上から目線でマーケットを見るのではなく、マーケットと共に歩もうとする姿勢です。これがあるかないかで、臆病な巨象の反応は、まったく違ってくるわけです。
対応を間違えれば…
スイスのベルンにあるスイス国立銀行本店
出典:wikipedia
今回、1月のスイスショックは、まさに反面教師です。SNB(スイス国立銀行、スイス中銀)もまた、権威ある中央銀行でした。
そのSNBが、2011年9月に、「ユーロ/スイスフラン」のフラン上限を1・2000に設定すると、一方的に宣言しました。権威あるSNBの宣言に、多くのマーケット参加者がしたがい、1・2000を壁にしてスイスフランを売りました。それから4年間、SNBはスイスフラン売りユーロ買い介入を続けたものの、スイスフラン安ユーロ高にはなりませんでした。
そして、今年の1月、折しもECBが追加の量的緩和をする可能性が高まり、それがさらなるスイスフラン買い呼ぶことを恐れたSNBは、1・2000の上限撤廃を一方的に表明したことから、スイスフランは30分間で、推定、「ユーロ/スイスフラン」で3950ポイント、「米ドル/スイスフラン」で3000ポイント、「スイスフラン/円」で47円もの急騰をし、多くのマーケット参加者が犠牲となりました。
このことから、相場を人為的に止めることは、いかに中央銀行でも、困難であることを確認したと共に、対応を間違えると、多くのマーケット参加者の中央銀行に対する信頼を失うことがわかります。中央銀行は、確かに絶大な権威はありますが、このように、マーケットに対する対応の良し悪しで、中央銀行に対する、臆病な巨象の反応は大きく異なってくることを忘れてはならないと思います。
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