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陽和ななみと一人前のトレーダーを目指す!ななみんと学ぶFX |第8回 テクニカル分析の基礎③

陽和ななみと一人前のトレーダーを目指す!ななみんと学ぶFX 第8回 テクニカル分析の基礎③

女優・投資家である陽和ななみさんがトレード成績向上を目指してFXのスペシャリスト山中康司さんからFXで利益を出すために必要な全てを皆さんと共に学んでいきます。今回もテクニカル分析の基礎について教えていただきます。

メインチャートのテクニカル指標

陽和 山中先生にさまざまなテクニカル分析を教えていただいていますが、今回のテーマはメインチャートに表示するテクニカル指標です。

山中 テクニカル指標は計算を自分で行ってみることも重要です。私は自分で計算しないと納得できなくて、ときどきテクニカル指標の計算が間違っているものを見つけたりもします。

陽和 安易に信じきるのはいけないということですね。

山中 あとは、どのような計算でテクニカル指標が成り立っているのかを知ることによって見えてくるものがあります。慣れてきたら自分のテクニカル指標ができるようになりますよ。「ななみん移動平均線」とか良いんじゃないですか?

陽和 NMAといった感じで作りたいですね(笑)

2本の移動平均線

山中 まずは移動平均線からです。一般的には短期と長期の移動平均線の2本を見ることが多いと思います。最初に長期の移動平均線の傾きで、トレンドを判断します。次に、どこが買い場・売り場なのかを探します。有名なのがゴールデンクロス(GC)とデッドクロス(DC)ですが、ここではなるべく定義を厳密にして「長期の移動平均線が上向きのときに短期の移動平均線が下から上にクロスすることをGC」「長期の移動平均線が下向きのときに短期の移動平均線が上から下にクロスすることをDC」とします。

陽和 単に長期と短期の移動平均線がクロスするだけだとダマシも多いとよく聞きます。

移動平均線の主な売買パターン

山中 主な移動平均線の売買パターンを図①で解説します。長期の移動平均線を点線、短期の移動平均線を実線で示してあります。厳密なGC・DCは①です。②は広義のGC・DC、③はクロスしないで乖離するパターンです。④は2本の移動平均線の乖離からの戻りを狙うパターンですが、判断が非常に難しいのでボリンジャーバンドなどで補助して確認しましょう。

陽和 ③は近づいて離れていくのですね。これは押し目、戻り目のような感じですか?

山中 タッチ&ゴーパターンといいます。このように離れていくパターンでは、前回説明したコンティニュエイション(継続)パターンのペナントやフラッグも多く現れます。

3本の移動平均線

山中 次に、3本の移動平均線を見ていきます。2本の移動平均線ではトレンド、GCやDCで買い場や売り場が分かりました。では3本だと何が分かると思いますか?

陽和 もみ合いですか?

山中 正解です。古くからある「アレンの4・9・18日手法」でドル円の日足チャートを確認します(チャート①)。

ドル円日足2019年5月〜8月

出所:TradingViewによるUSDJPYチャート

陽和 4・9・18はあまり見ない数字ですね。

山中 よく使われるのは5・10・20日ですが、これらの数字よりも早め早めに動きます。

陽和 人より早く売買できるのがメリットですね。

山中 ダマシをなるべく回避するため、トレンドの判断には短期線、中期線、長期線の順番を確認します。短期線が一番上で長期線が一番下になるのが上昇トレンドです。逆に、下降トレンドは短期線が一番下で長期線が一番上になります。この並びが乱れているときはもみ合いで、トレンドがない状態です。さらに、3本の移動平均線でも、中期線を考えなければ2本のときと同じ見方ができます。チャート①では4日が青、9日が赤、18日が緑の移動平均線です。青と緑を見ると、緑がずっと下がっていて青の線が近づいては離れているところがあります。

陽和 先ほど勉強したタッチ&ゴーパターンですね。

山中 ここの前後の価格を見るとフラッグがあります。タッチ&ゴーパターンが移動平均線で見る継続パターンになります。

 次に、2019年7月の終わりから8月初めの動きを見てみます。右側の赤と緑の関係を見てみると、ダマシが起きています。

陽和 上向きの長期線を中期線が上抜けてGCになっていますね。

山中 しかし、その後に大きく陰線が出ています。ここは米中の貿易摩擦が激化したことで、直前に買いで入った人が売り続けたので、このようなローソク足になりました。

陽和 三日連続で陰線ですね。

山中 すぐに赤が緑を上から下に抜いています。これはDCパターンです。正しい見方をしていてもダマシはあります。そのようなときに三つの移動平均線を見ると、短期・長期・中期の並びが乱れていることが多いです。

陽和 その前から3本の線がぐちゃぐちゃになっていますね。

山中 より長い目で見ると、もみ合いと判断することができます。順番がきれいに整っているのはチャート左端の部分ですね。下から青、赤、緑なので典型的な下降トレンドです。

 移動平均線は多くのトレーダーが参考にしているテクニカル手法だと思いますので、最初に勉強して使い方をマスターすることをお勧めします。

見やすい期間や設定を使い続けることが大事

山中 すごく大事なことですが、設定は使いやすく変更しましょう。見にくいチャートを使っても意味がありません。先ほどのチャートの移動平均線の青、赤、緑は私が絶対に変えない色の順番です。個人的には常に短期は青、中期は赤、長期は緑にしています。このルールをずっと守っていると、線が入り交じっていても迷わなくなります。

陽和 パッと見ただけでも分かるようになるんですね。

山中 そうです。どんな組み合わせでも良いので、自分なりのルールを決めて変えないことです。5年、10年と続けていると見て迷うことがなくなります。常に同じ色を使うことを絶対にやるべきだと思います。

 あとはパラメーター期間も重要です。デフォルトのまま使っている人が多いと思いますが、最初に設定されている数値が正しいとは限りません。変えた方が使いやすい場合もあります。ただし、変更してみて良さそうと感じたら頻繁に変えずに使い続けることです。そうすることで、ダマシになりやすい状況まで見えてきます。

陽和 継続は力なり、ですね。

山中 本来の目的は取引で、チャートはツールに過ぎません。とにかく使いやすい設定にすることが重要です。

陽和 確かにチャートが見にくいとチャンスを逃してしまいそうです。

山中 期間の数字に関しては、日足では1週間の5、1か月の21の値が、週足では1年の52、半年の26の値がよく使われます。カレンダーサイクルから値を持ってくるパターンですね。あとはフィボナッチ数列の3、5、8、13、21……などの数字を使うのも手です。

陽和 5や21などは、どちらにも共通していて使い勝手が良いですね。

山中 今挙げた数字は悩んだときに選べば良いでしょう。また、好みの分析をしている人が設定している値を使うのでも良いと思います。大事なのはあまり変えすぎないことです。

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ボリンジャーバンド

山中 最後にボリンジャーバンドです。ボリンジャーバンドは非常によくできたテクニカル指標です。期間は20が一般的ですが、パラメーターを変えることよりも、ボラティリティの変動率が標準偏差として指標に組み込まれていることが重要です。ドル円でもポンド円でも株価でも全て同じパラメーターでよく、投資対象を問わず使えます。

 ボリンジャーバンドは形の変化を見るだけで、いろいろなことが分かります。スクイーズはバンド幅が狭い状態を指し、もみ合いを表します。スクイーズには定義があり、考案者のジョン・ボリンジャーさんは日足でチャートを過去125日間振り返った中で、そのバンド幅が最も低位にあればスクイーズといっています。そして、バンド幅が広がってくる(エクスパンション)とトレンドが出てきます。バンド幅が最大(ボージ)になると反転パターンになります。

陽和 バンド幅がそのままボラティリティ、値幅を表しているんですか?

ドル円4時間足

出所:TradingViewによるUSDJPYチャート

山中 そういうことになります。最も簡単な使い方は、価格がバンドを超えたら順張りで売買して、反対側のバンドの形状変化で決済とします。ドル円4時間足チャートで確認してみます(チャート②)。下にバンド幅が表示されています。バンド幅が狭いスクイーズが確認でき、もみ合いから価格が下に抜けたので順張りの売りで入ります。次に、抜けた方向と反対側のバンドを見ます。反対のバンドの形が変わったところで買い戻す、という考え方が一番簡単な使い方です。

陽和 売りでポジションを持って、反対のバンドが向きを変えたタイミングで決済ですね。ただ、バンド幅が最大かどうかの判断は難しく、少し時間がたたないと分からないですね。

山中 反対側の線が向きを変えたら、というのが比較的短期で分かる方法です。その次のバンド幅を抜けたところでは、以前と比べてもしっかりしたスクイーズがなく、違う動きなのが分かると思います。

陽和 もみ合いからの動き出しを見るのが有効ということですね。

山中 そうです。ボリンジャーバンドは基本的にはもみ合いのスクイーズから抜け出していく動きを探して、反対のバンドの向きが変わったところを確認することになります。

 ボリンジャーバンドだけでも紹介が多くなるので、今回は基本的なものと重要なものを説明しました。あとは自分で研究していただくと良いと思います。ちなみに、ななみんはどんなチャートで分析していますか?

陽和 私は移動平均線とMACDが好きでよく見ています。

山中 移動平均線も2本より3本、3本より5本となってくると、いろいろと見るべきところが多くなります。後講釈には都合が良いですが、今の相場状況を判断する場合にはなるべくシンプルにした方が良いですね。

陽和 とことん突き詰めて、チャートをシンプルにしていくのもかっこいいですね。次回はサブチャートに表示するテクニカル指標になります。山中先生ありがとうございました。

※この記事は、FX攻略.com2020年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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