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対ドルレートが分かると為替がもっと面白くなる[中里エリカ]

対ドルレートが分かると為替がもっと面白くなる[中里エリカ]

 新型コロナウイルスにより荒れたマーケットが一時的に落ち着きを見せるようになったが、相場が動いていないときにも気をつけたいのが、ユーロスイスフラン、ポンド円のような一見ドルと関係ないように見えるクロス取引の動向である。

「関係ないように見える」というのは、クロス取引が実は対ドルレートをベースに計算されているためである。日本で暮らしていると、例えばユーロ円の取引をする際に、ホームカレンシーの「円」を中心にユーロ円が上がったとか下がったとか理解しがちである。

 しかし、ユーロ円はあくまでユーロドルとドル円が合成されたプライスに過ぎない。インターバンク市場では「ドル」を中心に「(ドルが)上がった、(ドルが)下がった」を判断するし、インターバンク市場のユーロドルとドル円のトレーダーは違うので、当然思惑もそれぞれ異なってくる。

 クロス取引の場合は、対ドルをベースにクロスレートを割り出す以上、対ドルベースの動きが無視できないだけでなく、対ドルレートから今強い通貨は何であるかを理解することができる。米国より金利が高い通貨が上昇しているのであれば、市場では金利が話題になっていることが分かるし、豪ドルやカナダドルが対ドルで上がっているのであれば、資源国通貨に興味が持たれていることが分かる。

 国際決済銀行(BIS)の通貨別取引高(図①)を見れば分かる通り、為替取引はやはりドル中心だ。つまり、豪ドル円やポンド円で円を見ているだけでは相場を正しく理解できない。

通貨別取引高

 対ドルレートからクロス取引を求める計算式は、ユーロや英国系(豪ドル、NZドル)なら掛け算、スイスフランや円なら割り算で出す(FX会社が顧客に提示する際には調整していることもあるが、平常時であれば近似値が出てくる)。

対ドルレートからクロス取引を求める計算式

 ドルを中心に相場を見ることにより、今の世界の流れをしっかりつかみたいものである。

※この記事は、FX攻略.com2020年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

※当コラムは執筆者の個人的見解に基づいて書かれたものであり、所属先の考えを反映するものではございません。

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