新型コロナウイルス感染拡大で見えたこと[内田まさみ]

新型コロナウイルス感染拡大で見えたこと[内田まさみ]

米国の新規失業保険申請件数が急増中!

 週間ベースで発表されている米国の新規失業保険申請件数は、328万件から661万件へと、過去に例のない規模で急増しています。急激に増え始めた3月21日終了週の数字が発表されたその瞬間、テレビの生放送を担当していた私は、入ってきたニュースの桁が間違えているのではないかと、恐る恐る探るようにその数字を伝えていました。

 多様性のある働き方を進めているとはいえ、まだまだ終身雇用が当たり前の日本にいると、この失業者の急激な増加を“ドライ”に感じてしまいますが、米国では従業員が自由に企業を辞めることができると同時に、企業もいかなる理由、もしくは理由がなかったとしても社員を解雇できる雇用形態になっています。だからこそ、今回のような緊急事態が起きた場合、企業は柔軟に人員整理を行うことでコストを削減し体力を温存しながら、事業環境が好転するタイミングを待つことができるのです。もし、事業環境が良くなれば、働く側もさらなるキャリアアップのチャンスを求めて、より良い環境の企業へと積極的に転職することができるのですから、いわばウィンウィンの関係が構築されているといえます。

「景気が上向くと雇用者数が増加し、消費が増える結果、企業業績がさらに好転して消費者の所得金額の増加も期待できる」というサイクルが米国では生じやすい一方で、雇用は維持されるものの所得が増える期待が持てない日本でこのサイクルが生まれにくいのは、こういった雇用形態の違いも影響しているのかもしれません。

 そうそう! 失業保険を申請する際、ハローワークに行って求職を申請するなどの手続きが必要な日本に対して、米国ではオンラインもしくはFAXで簡単に申請することができ、申請が済むと数日でお金が振り込まれるシステムなのだそう。そう聞くと、今回の新規失業保険申請件数の急増は米国企業が次の成長に向けてジャンプするために、大きく身をかがめている状態のような気がしてきませんか。

「今の状態を保ち続けるだけでは負けと同じ。企業には成長し続ける使命がある」。これは、日本のある経営者が話してくれた言葉です。今回の新型コロナウイルスの感染拡大が、日本企業の在り方すら変えてしまうかもしれませんね。

※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

内田まさみの写真

内田まさみ(うちだ・まさみ)

1998年にラジオNIKKEIへ入社。「経済情報ネットワーク」「東京株式実況中継」等の株式情報番組を担当し、その後はフリーに転身。現在はラジオNIKKEIや日経CNBCの番組パーソナリティを務める他、ライターとして複数のメディアに記事を執筆するなど、多方面で活躍中。2017年11月には、初の著書となる『FX億トレ!7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』を刊行した。
ラジオNIKKEIで出演中の番組/ザ・マネー(月~金15:10-16:00 毎週月曜日担当)、投資戦略ラジオ きらめきの発想(毎週火曜日14:30-15:00)、シグナルトレードファクトリー(毎週火曜日16:00-16:30)、ザ☆スマートトレーダーPLUS(毎週木曜日16:00-16:30)、夜トレ(金曜日21:30-22:30 隔週で担当)。 日経CNBCで出演中の番組/夜エクスプレス(月~金21:00-22:40 毎週木曜日担当)、不動産投資ラボ(20:15-20:45 毎週金曜日他) 現在連載中の雑誌やサイト等/『Forbes JAPAN』(リンクタイズ)、『東洋経済オンライン』(東洋経済新報社)、『All About(FX担当ガイド)』(オールアバウト)

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