トレンドの加速であれ、トレンド転換であれ、これまでの値幅を超える大きな値動きが生まれた瞬間こそ、FX一番の稼ぎ時です。移動平均線を中央に、一定期間の平均的な最大値幅を上下に示した「ケルトナーチャネル」は、そんな強い値動きを察知するのに最適なトレンド系指標です。ボリンジャーバンド以上に分かりやすく、使いやすい点が魅力といえます。
※この記事は、FX攻略.com2016年9月号の記事を転載・再編集したものです
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・平均足、各種移動平均線
・ローソク足と酒田罫線
・200日移動平均線+一目均衡表+MACD
・移動平均線+RSI etc. トレンド系&オシレーター系の組み合わせ
・平均足+移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI
・ピボット+移動平均線、RSI、平均足、MACD
・ボリンジャーバンド+MACD、RCI、平均足、RSI
・フィボナッチ・リトレースメント&エクスパンション
チャネルからの“はみ出し”で強い値動き=トレンド加速や転換を察知できる
今回は、それほど知名度は高くないですが、順張りトレンドフォローに適したテクニカル指標として非常に使い勝手の良い「ケルトナーチャネル」を紹介します。
ケルトナーチャネルは、1960年代にシカゴ穀物市場で活躍したトレーダーのチェスター・ケルトナー氏が考案した指標です。
その仕組みは「移動平均線」(高値+安値+終値の3本値の移動平均)の上下に、その期間中の平均最大値幅(高値と安値の差の平均)をプラスマイナスした「アッパーチャネル」「ローワーチャネル」という2本の線を描き、合計3本の線で為替レートの値動きを「チャネル(水路、運河の意味)」として捉えるものです。
外為オンラインのブラウザ版では、この原型を進化させ、中央の移動平均線には直近の値動きを重視した「指数平滑移動平均線(EMA)」(期間20日)を用いています。期間中の平均最大値幅は、J・W・ワイルダー氏が開発した「ATR(アベレージトゥルーレンジ)」を使用しています(図1)。
「ATR」は当日の高値と安値、前日終値と当日高値、前日終値と当日安値という三つの値幅から最大のものを選び、そのn日間の指数平滑移動平均を計算したもので、ある期間中に為替レートが最大、どれぐらい値動きしたかの平均値をよりリアルに反映しています。
簡単にいうと、「ある期間中の為替レートの方向性と値動きの平均的な上限・下限レンジ」を示したのがケルトナーチャネルなのです。
FX投資の稼ぎ時は為替レートが従来以上の大きな値幅を伴って上か下か、どちらか一方向に大きく値動きするときです。ケルトナーチャネルは、この「強いトレンドの発生」や「トレンドの加速」を的確に教えてくれます。
具体的には、ケルトナーチャネルのアッパーチャネルやローワーチャネルからの“はみ出し”を強い値動き=トレンド発生と捉え、その値動きに順張りで便乗するのが基本戦略となります。
図2は、2014年後半から15年前半にかけて「ユーロ/円」が長期上昇トレンドから下降トレンド入りした時期の日足チャートに、ケルトナーチャネルを描画したものです。
ケルトナーチャネルを見るときのポイントは、
・チャネルが全体として上、下、横ばい、どちらに向かっているかでトレンド判断
・値動きがチャネル内に収まっているときはトレンド継続なので、トレンドに沿った押し目買い、戻り売りの目安に使う
・値動きがチャネルからはみ出したときは新たなトレンド発生もしくはトレンド加速を意味するので、その勢いに乗った追随取引を行う
という3点になります。
特に重要なのは、3点目のアッパーチャネルやローワーチャネルからはみ出すような強い値動きです。図2ではAやCのゾーンの上昇やBのゾーンの下落になります。
Aのゾーンでは、それまでの横ばい相場からいきなり大陽線aが出現して、「ユーロ/円」がアッパーチャネルから飛び出しています。これを強い上昇モメンタム発生と考えてエントリー。上昇の勢いが続く間はホールド。bの地点で、中央の移動平均線が横ばいになり、その移動平均線を為替レートが下抜けたあたりで利益確定するのが、ケルトナーチャネルの順張り追随取引の基本戦略になります。
むろん、為替レートが上下のチャネルからはみ出し続けるような強い動きが絶えず起こるとは限りません。図2のDやFのローワーチャネル割れは持続せずにダマシで終わっています。
ただ、この局面は明らかに下降トレンドが継続中ですから、ローワーチャネルより上値にある移動平均線や、さらに上値のアッパーチャネルまで一時的に上昇した後、失速して再び下降トレンドに回帰する瞬間を狙った戻り売りが有効です。
具体的には、中央の移動平均線に頭を押さえつけられて値動きが失速したdやfの地点で早めに売りエントリーすれば、かなりの下落幅を利益にできました。
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ボリンジャーバンドより簡単明瞭。オシレーター系と組み合わせて精度アップ
ケルトナーチャネルを見て、多くの人は「ボリンジャーバンドに似ているな」と思われたはずです。移動平均線を中央に、その外側にバンドやチャネルを配置する構造はまさにそっくりです。
FXの指標としてはボリンジャーバンドの方がポピュラーで愛好家も多いですが、その弱点は「±2σで順張りするか逆張りするか」の判断が難しいことです。
その点、ケルトナーチャネルの「アッパーチャネル越え、ローワーチャネル割れ」はトレンドの加速や転換を狙った完全な順張りシグナルと割り切って考えられるので、地味ではありますが売買判断が単純明快といえます。
図3は「米ドル/円」の週足チャートにケルトナーチャネルとボリンジャーバンドの±2σのバンドだけを表示したものです。
一見して分かるように、±2σのバンドに比べ、アッパー&ローワーチャネルの幅は急激に膨張・縮小したりせず、滑らかに為替レートの近くで推移しています。
図のAの地点で「米ドル/円」はアッパーチャネルを突破し、急上昇を開始。まさにトレンドの加速に乗る典型的な順張り追随買いのポイントになりました。Aの地点以降では±2σラインも急激に拡大し、その後は為替レートが+2σ上で動く「バンドウォーク」が発生しています。しかし、Aの地点で今後もボリンジャーバンドがエクスパンションし続けるか、判断するのはかなり難しく、「アッパーチャネル越えなら買い」というケルトナーチャネルのシグナルの方が分かりやすいはずです。
逆に図のBの地点以降は、為替レートがローワーチャネル割れして下降トレンドが明白です。ローワーチャネルが上値を阻む壁として機能しており、非常に鮮明に売り継続を教えてくれています。むろん、ボリンジャーバンドでも—2σの内側の「バンドウォーク」を根拠に順張りの売りで勝負できますが、シグナル発生が遅くなっています。
統計学的な処理を行って求めたボリンジャーバンドの「標準偏差(σ)」やその2倍の2σに比べ、現実の値動きの平均値幅であるチャネルの方が、為替レートの実際の支持帯や抵抗帯として機能することが多いのも事実です。
手堅く順張りトレードに徹するなら、ケルトナーチャネルの方がエントリーポイントも、売買シグナルが当たりなのかダマシなのかの見切りも、より素早く行えるといえるでしょう。
むろん、実戦では単独で使うのではなく、オシレーター系指標も併用して値動きの強さや勢いをダブルチェックすべきです。
図4は「米ドル/円」のここ1年の日足チャートにケルトナーチャネルとRSIを描画したもの。
ケルトナーチャネルが右肩下がりで、長・短RSIもおおむね50ライン以下の「売られ過ぎ」ゾーンで推移していることから、ここ1年間の「米ドル/円」が下降トレンドであることは明らかです。
この場合の戦略は、
・ローワーチャネルを割り込んだところで追随売り
・中央の移動平均線やアッパーチャネルまで反転上昇した後に再下降に転じたら戻り売り
の二つになります。エントリー後の利益確定は「為替レートがローワーチャネルを越えて反転上昇した地点」や「短期RSIが上昇に転じた地点」「短期RSIが長期RSIとクロスした地点」などに設定します。
図を見ると、直近の「米ドル/円」はアッパーチャネルまでは反発上昇するものの、決まって失速して急落しており(図のAやBの地点)、ケルトナーチャネルが示す平均値幅の上限が抵抗帯としてしっかり機能していることが分かります。
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レンジ相場や順張りなら平均足、トレンド加速や短期売買ならDMIとの相性抜群
ケルトナーチャネルにはFX初心者が陥りがちな「トレンドに逆らった逆張り取引」を“矯正”する効果があるので、同じく順張りシグナルしか発しない「平均足」と組み合わせるのも有効です。
図5はここ1年の「ユーロ/米ドル」を平均足で描き、ケルトナーチャネルとMACDを表示したものです。全体として見るとレンジ相場で推移していますが、図のA、B、Cの地点では、アッパーチャネルを越えた後に平均足が陰転しており、売りの好機でした。
ケルトナーチャネルのアッパーチャネルやローワーチャネルは過去20日間の値動き幅の平均値であるため、レンジ相場の場合、強力な抵抗帯、支持帯になります。
A、B、Cの地点ではMACDのデッドクロスも発生しており、「平均足陰転」「アッパーチャネルからの反転下落」とともに三つの売りシグナルを確認した上で、安心して売りエントリーすることができました。
買いについても図のDの地点のように、「ローワーチャネルからの反転上昇」と「平均足陽転」、「MACDのゴールデンクロス」がトリプル点灯した地点でエントリーし、その後は平均足が陽線連続の間はホールド。たとえ、一時的に陰転しても、為替レートが中央の移動平均線を割り込んだり、MACDがデッドクロスしたりしない限り、ホールドすれば利益を伸ばせます。
これまでの平均値幅を超える強い値動きを察知できるケルトナーチャネルは、同じく為替レートの上昇力・下降力・値動き自体の強さを指数化した「DMI(方向性指数)」との相性も抜群です。
DMIは為替レートの高値更新力を示した「+DI」、安値更新力を示した「—DI」、両者を比べてトレンドの強さを計算した「ADX」の三つで構成されています。
「+DI」は、ある期間中に当日の高値が前日の高値を上回ったときの値幅(高値更新値幅)を全体の値幅で割って求めますが、その計算にはケルトナーチャネルでも使われている「TR(最大値幅)」が用いられています。
DMIの基本的な売買戦略は、
・上昇力を示す+DIが下降力を示す—DIを突き抜けて上昇したら買い
・—DIが+DIを突き抜けて上昇したら売り
・一方向に向かう値動きの強さを示すADXが下落から上昇に転じたらトレンド発生なので、トレンドフォロー。上昇から下落に転じたらトレンド失速→エグジット
となります。
図6は「米ドル/円」の1時間足チャートです。短期売買の基本は一方向に振れた強い値動きに便乗することですが、
・ケルトナーチャネルのアッパーチャネル越え、ローワーチャネル割れ
・DMIの±DIのクロス
が同時点灯した地点(図のA、B、C)は絶好のエントリーチャンスになっています。
その後の利益確定ポイントとしては、為替レートがチャネル内に戻り、中央の移動平均線に接した地点や、ADXの上昇が失速し下降に転じたあたりが適切です。
トレンド系指標でありながら、平均値幅を超える強い値動き(モメンタム)も察知できるケルトナーチャネルは、トレンド転換やトレンド加速に便乗した追随取引にも、トレンド再加速を狙った押し目買い・戻り売りにも通用する、非常に分かりやすい指標です。ボリンジャーバンドに比べると地味で、あまり注目されていませんが、確かに稼げる指標なので、ぜひ使いこなしてみましょう。
※この記事は、FX攻略.com2016年9月号の記事を転載・再編集したものです
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スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
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