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3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析

外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|「ボリンジャーバンド」で見るコロナショックの衝撃と為替変動率】

外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|「ボリンジャーバンド」で見るコロナショックの衝撃と為替変動率】

欧米の感染者・死者はピークアウトしそうになっているものの、新型コロナウイルスの蔓延がいまだ世界経済と金融市場を席巻しています。変動率マックスの相場分析に役立つ指標といえば「ボリンジャーバンド」。95%以上の確率でその中に値動きが収まるといわれる±2σバンドなどを使って、「驚き」といえるドル円横ばい相場など、コロナショック下の為替市場の現在を分析してみましょう。

ドル円の短期乱高下相場を制するのはボリンジャーバンドのバンドウォーク

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大はとどまるところを知らず、感染者400万人、死者30万人越えは確実の情勢です。

 米国が世界一の感染地になったことで、金融市場で注目されるようになったのが、米労働省が毎週木曜日に発表する「週間新規失業保険申請件数」です。申請した失業者の数は3月中旬から4週間で2200万人に達し、過去10年で創出した雇用がたった1か月で消失してしまうという凄まじい状況になっています。2月時点では3.5%と過去最低水準だった失業率が20%超に跳ね上がるという最悪のシナリオが現実になりそうです。

 4月中旬に国際通貨基金(IMF)が発表した世界経済見通しも大幅に下方修正。2020年の世界全体の成長率は-3.0%と予測されています。これは2009年のリーマンショック後に記録したマイナス成長を下回り、1929年の大恐慌以来の大幅な落ち込み。国別でも日本-5.2%、米国-5.9%、ユーロ圏-7.5%と特に落ち込みが激しくなっています。

 2021年についても、日本は+3.0%とプラス成長を回復するものの、ユーロ圏の+4.7%、米国の+4.7%と比べ回復力が弱く、V字回復は難しいという予測です。さらに新型コロナウイルスの感染拡大が終息しないと、2年連続でマイナス成長になる可能性もあるとIMFは警告しています。発生源の中国も2020年第1四半期の国内総生産(GDP)が史上初めて-6.8%減まで落ち込みました。

 まさに衝撃的な経済指標の低迷が続き、まったく先が見通せない状況です。そんなとき役立つのが変動率(ボラティリティ)の面から値動きを見る「ボリンジャーバンド」。テクニカル指標シリーズ第4弾の今回はボリンジャーバンドを使って、一寸先は闇と化した為替市場を検証します。

コロナショックとドル円のボリンジャーバンド

 チャート①はドル円の昨年10月からの日足チャートです。ボリンジャーバンドは統計学の理論を使った指標で、中央の移動平均線からの為替レートの平均的なばらつき具合(平均値と期間中の為替レートの平均的な差)を「標準偏差=1σ」として求めます。期間中の値動きが平均値から大きく離れて分散していると、標準偏差も大きくなり、バンドの幅が拡大します。チャート①には25日移動平均線に対する標準偏差の2倍の±2σ、3倍の±3σを表示しています。

 為替変動が一定なら±1σ内にレートが収まる確率は68.2%、2σ内に収まる確率は95.4%、3σ内に収まる確率は99.7%とされています。しかし、この説明を鵜呑みにして「2σからはみ出す確率は5%以下だから、反対方向に逆戻りするだろう」と、うかつに逆張りすると痛い目に遭うことが多いので厳重注意してください。

 チャート①を見てもわかるように、昨年10月以降、レンジ相場の上限・下限と重なるように、107円~110円台で穏やかに推移していた±2σのバンド幅は3月に入り急拡大。0.3%以下の確率でしか起こらない−3σ突破まで発生しました。

 さすがに−3σ越えは短時間で終了していることから、もしボリンジャーバンドを逆張りに使うなら±3σを目安にしたほうがいいでしょう。とにかく波乱の相場展開では為替レートが確率5%以下の±2σの外側を、どんどん一方向に向かうのは日常茶飯事。±2σは逆張りでは使わず、順張りでその勢いに乗る「バンドウォーク」を狙うべきです。

 チャート①の日足からわかるのは、ドル円がこれまでのレンジを下方ブレイクして−2σ前後をどんどん下落するバンドウォーク中は売り継続、−3σ越えからの戻りで利益確定。−2σのバンドが急激な下向きから横ばいに転じたあたりで打診買い、といった戦略といえるでしょう。

バンドウォーク、レンジブレイク、RSIを組み合わせて「勢いのある値動き」に乗る方法

ドル円1時間足チャート ボリンジャーバンド、RSI

 チャート②は3月の乱高下が収まった4月前半のドル円1時間足に期間25時間のボリンジャーバンドとRSI(期間14)を表示したもの。ボリンジャーバンドを順張りで使うときは、レンジ相場が続いたあと、為替レートがレンジ上限や下限を突き破る「レンジブレイク」と組み合わせると精度が高くなります。

 買われ過ぎ・売られ過ぎ指標のRSIも順張りで使い、RSIの安値・高値にもラインを引いて、70前後で上下動している間は買い継続で、その下限ラインを割り込んだら利益確定。売られ過ぎ圏の30前後で推移しているときは売り継続で、過去の安値や高値を越えて上昇したら利益確定、というように組み合わせるといいでしょう。

 当然、ボリンジャーバンドが縮小から拡大に向かう局面はエントリーチャンスとなり、拡大から収縮に向かうところはエグジットの目安になるなど、バンド幅の拡大・収束にもしっかり注目して、「勢いのいい値動き」だけを狙った取引を行うことが大切です。

 変動率が激しい乱高下相場では、ボリンジャーバンドでその勢いに乗る。コロナショックがまだまだ続きそうな2020年は、こうしたブレイクアウト手法が好成績を上げるために最適な手法といえるかもしれません。

 日足チャートではジェットコースターのような値動きをしてきたドル円ですが、長期チャートを見ると様相はまったく変わります。チャート③はドル円の週足チャートに期間52週、すなわち約1年間のボリンジャーバンドを表示したもの。テクニカル指標はパラメーターを変化させることで見え方がまったく変わることもあるので、その時点の相場展開や自分なりに「この期間(たとえば1年、半年、3か月など)の動きを見たい」といった基準で、パラメーターを積極的に変えてみると効果が上がります。

ドル円週足チャート ボリンジャーバンド

 チャート③を見ると、バンドの計算には週の終値が使われるため、週足の±2σバンドは105円~111円台で推移し、2019年の6月~10月と比べても逆に狭くなっているほどです。

 右上に直近のドル円月足チャートも表示しましたが、こちらも3月の値動きが結局、上ヒゲ・下ヒゲの極端に長い十字線で終わったこともあり、バンドは収縮したまま横ばいで推移しています。これは非常に驚きです。

 通常、「〇〇ショック」と呼ばれるリスクオフの局面では、急速な円高が進むのがここ30年近い為替相場の「常識」でした。しかし、今回のコロナショックは金融危機というよりも、経済活動が世界的に全面停止し、企業の売上高や個人の収入といったお金が瞬間蒸発する「金欠」を生み出しています。そのため、「世界のお金」といえる米ドル現金に対する需要が非常に高まっていることが、緊急事態にもかかわらずドル円相場が静まり返っている理由の一つといえるでしょう。

 同時に、上述のIMFの見通しでも示されたように、今後の日本の景気回復力は欧米に比べて見劣りします。日本の人口減少は拡大の一途で、新型コロナウイルスの影響がなくても、今年も90万人が生まれて140万人が亡くなっていくと推計されています。コロナショックでさらに人口減少が拡大する恐れもあり、これらは将来の「円安要因」と考えられることも円高が思ったほど進まない底流になっているのかもしれません。

 コロナショック対策で拡大する日本の財政赤字を考えると、2020年代は「日本売りの円安」がどんどん進むという選択肢も視野に入れないといけない時代なのかもしれません。

ドルと円が2強の状況でユーロ円、そして豪ドル米ドルの下降トレンドは継続する!?

 とはいえ、現状の為替市場で起こっているのは、ドル高と円高の同時進行です。ドルと円が為替市場の2強通貨となっているため、ドル円相場だけが行きつ戻りつ、105円~110円台という狭いレンジで推移。そのせいで、長期ボリンジャーバンドもまったく拡大せずに横ばい推移を続けているのです。

ユーロ円週足チャート ボリンジャーバンド

 チャート④はユーロ円の週足チャートに期間52週のボリンジャーバンドと一目均衡表の雲を表示したものです。ユーロ円は2015年6月高値の140円台からブレグジット決定の2016年6月に109円台まで下落。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和終了期待で2018年1月に137円台まで上昇しましたが、欧州景気の低迷で2019年9月には115円台まで下落しました。

 欧州で新型コロナウイルスの感染者・死者が激増する中、4月下旬現在、115円台で踏みとどまっているのは驚きですが、ドルとは違い、長期的には円高ユーロ安トレンドが継続中です。目先、119円台を下限に、右肩下がりで重く垂れ込めた一目の雲が強力な抵抗帯になるでしょう。

 気になるのは、ボリンジャーバンドの−2σのラインが横ばいに転じたこと(Aのゾーン)。これは下方向への変動が一時的に鎮静化している証拠です。ただし、チャート④のBで示した2015年4月~11月の期間にも、−2σがほぼ横ばいで推移する時期があり、このときはその後、バンドが下方向に急拡大して下落が再加速しています。

 欧州圏のコロナショックが長期化したり、欧州の景気後退が日本以上に深刻化した場合、今後、ユーロ円が下向きに転じた−2σ上をCのゾーンのようにバンドウォークして急落する可能性がないともいえません。コロナショックで経済活動が停滞し、ともに金融政策面での緩和余地が少ない日本と欧州は似たり寄ったり。「不気味な静けさ」ともいえる−2σの横ばいはその状況を反映しています。

豪ドル米ドル週足チャート ボリンジャーバンド

 では、中国経済の支配力が非常に強い豪ドルはどうでしょうか? チャート⑤は豪ドル米ドルの週足チャートに52週のボリンジャーバンドと一目の雲を表示したもの。豪ドル円も同じような形状になっていますが、豪ドル米ドルは2月以降、−2σを割り込む大きな急落に見舞われました。1豪ドル0.55ドル台で長い下ヒゲをつけたあと、−2σの位置する0.62ドル台の内側に再び戻ってきています。

 今後は、2月初旬までのレンジ相場の下限0.66ドル台が抵抗帯として機能しそうです。しかし、いったん拡大に転じたバンドがすぐに収縮するとはなかなか考えられません。

 中国は、新型コロナウイルスの発生源ながら、いち早く感染者を減らしました。しかし、経済活動の再開で今後、2次感染が広がるリスクがあります。さらに、今回の新型コロナウイルス蔓延で明らかになった中国政府の情報隠蔽体質や世界経済の中国への過度の依存に対する反発は、新型コロナウイルス終息後も欧米各国や日本で渦巻きそうです。豪ドルの下落トレンドはまだ始まったばかりなのかもしれません。4月下旬には原油の限月間近の先物価格が備蓄基地が満杯ということで前代未聞のマイナス価格に転落。豪ドルなど資源国通貨の下降トレンドは少なくとも新型コロナウイルス終息まで続きそうです。

 当初はすぐに終息すると楽観視されたコロナショックですが、各国中央銀行が矢継ぎ早に打ち出した量的緩和や財政出動が機能せずに世界経済が混乱の度合いを深めるようなら、歴史に残る転換点となる可能性もあります。それはリーマンショック以降続いてきた「いざとなれば中央銀行が救ってくれる」という金融市場にはびこる「信仰」の終焉であり、米国と中国経済を成長源に発展を遂げたグローバル資本主義の崩壊と再創造を意味しているのかもしれません。

※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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