サンドウィッチ間瀬さんが今のマーケットで気になるトピックについてを紹介。今回は日本円と並んで、「安全通貨」と呼ばれるスイスフラン。その特徴をスイスという国の特徴や中央銀行の政策から理由を紹介していただきます。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。
最強の安全通貨?
今回は、安全通貨とされるスイスフランを取り上げます。
あまり日本ではメジャーとはいえない通貨かもしれませんが、時に市場の注目を浴びる通貨でもあります。
スイスは永世中立国です。日本国憲法第9条に定められる「戦争放棄・戦力不保持」とは異なり、スイスは軍隊を保持し、そして自国の防衛などのためであれば武力行使も認められていますが、戦争といった地政学リスクとは縁遠い点から安全資産とみなされ、必然的に買われやすい通貨とされています。
また、スイスは経常収支に占める貿易黒字の割合が高いことも特徴です。経常収支とは居住者・非居住者間の取引における資金収支のことを指し、経常収支の構成要素の一つ、「貿易収支」が黒字ということは「輸出額>輸入額」という状態です。
輸出産業が盛んな国において、通貨高は歓迎されません。そのことからスイス中銀は、スイスフラン高を抑えるため、スイスフランの対ユーロレートを1ユーロ=1.2スイスフランを上限とする為替介入を2015年頭まで実施していました。
記憶に新しいスイスフラン・ショック
しかし2015年1月15日、マーケットに「スイスフラン・ショック」の激震が走ります。当時は、欧州中央銀行(ECB)による新たな量的金融緩和の導入検討がうわさされていました。前述の通り、スイス中銀はスイスフラン売り介入により1ユーロ=1.2スイスフランを防衛ラインとしたスイスフラン売り為替介入を実施していましたが、ECBが検討する量的金融緩和は強力なユーロ安圧力につながり、必然的にさらなるスイスフラン高圧力がかかることが予想されました。
このことから、スイス中銀はECBの量的金融緩和導入の決定を前にして「もうこれ以上の防衛ライン死守は無理だ」と、1ユーロ=1.2スイスフランの上限を撤廃する判断を下しました。その結果、猛烈なスイスフラン高へとつながってしまったのが「スイスフラン・ショック」です。
出所:Bloombergのデータより筆者作成
図①はユーロスイスフランの月足チャートです。月足ベースでも2000pips弱のスイスフラン高が進行しており、スイスフラン・ショック当日の為替レートは一時3000pips以上もスイスフラン高となりました。
新たな防衛ライン?
その後のユーロスイスフランは、1.2スイスフランと1.05スイスフランを挟んだレンジ相場で推移しています。「スイスフラン・ショックはスイス中銀の判断ミスに起因する」という指摘も根強いことから、スイス中銀は2度と同じ過ちを繰り返さないように引き続きスイスフラン売り介入を実施しています。スイス中銀の為替介入の様子は、外貨準備高の推移から確認することができます。
出所:Bloombergのデータより筆者作成
図②は、ユーロスイスフランのチャートと、スイス中銀外貨準備の増減額を示しており、「ユーロスイスフランレートがどの水準のときにスイス中銀による為替介入が実施されてきたのか」を知ることができます。これを見ると、1.05スイスフラン近辺で外貨準備の増加が著しいことが分かり、この為替レート水準においてスイス中銀がスイスフラン売り介入を活発に実施していることが分かります。
直近のユーロスイスフランを見るとスイスフラン安傾向にあり、スイス中銀としてはほっと胸をなでおろしているような状況でしょうか。
ただ、直近のスイスフラン安はコロナ禍による中銀の介入後にもたらされていると考えると、2020年以前のスイスフラン高局面にいつ戻ってもおかしくありません。依然としてスイスフランには買い圧力が高まり続けるものと考えられます。その際は再び「1.05スイスフラン」の攻防が市場でも意識されるでしょう。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、投資に関する断定的判断を提供するものではなく、情報提供のみを目的としており、いかなる種類の商品の売買も勧誘するものではありません。
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