FXにおいて時間的な要素を重要視しているという川崎ドルえもんさん。本企画はそんなドルえもんさんに統計的なアプローチから具体的なトレード戦略を教えていただきます。
時間的な傾向を利用したトレード
こんにちは、川崎ドルえもんです。私はトレードにおいて、時間的な傾向を重要視しています。為替はさまざまな国や人が動かしており、各国の休日や昼休みなども影響します。例えば、年末年始は各企業が休みに入るため持っているポジションを徐々に決済し始めますし、日本にある海外企業などは決算のために、日本円を自国の通貨に戻す傾向があります。そのため、年末は円安になりやすいといわれています。
また、8月のお盆前の時期は国内の企業やトレーダーがお盆休みを取るためにポジションを閉じ始め、外貨を日本円に戻す傾向があります。つまり、お盆休み前は円高になりやすいのです。
そこで、私はこの傾向をより分かりやすくするために過去の月足などから季節ごとに統計を取り、価格がどのように動きやすいのかをトレードの参考にしています。
表①~③は2000年以降の各通貨ペアの月足を調べ、陽線と陰線の数を月ごとにまとめたものです。クロス円の8月を見ると、陰線がつきやすい(円高になりやすい)傾向にあるのが分かります(表①)。
1月の月足統計からトレード戦略を考える
今回は本誌が12月末発売なので、1月の月足統計に注目したいと思います。各通貨ペアの1月を見てみると、ユーロポンドの陽線数が6回に対して陰線数が14回と、陰線の数が多くなっていることが分かります(表③)。また、ポンドスイスフランの陽線数が13回、陰線数が7回と陽線の数が多くなっています。このことから1月の為替相場は、ポンド高もしくはユーロ安・スイスフラン安になりやすいと考えられます。
本当にこの傾向があるのかを他の通貨ペアからも確認してみます。ドルストレート(表②)で1月の傾向を見てみると、ユーロドルの陽線数が8回、陰線数が12回とわずかにユーロ安の傾向が出ています。そしてドルスイスフランも陽線数が12回、陰線数が8回とスイスフラン安の傾向が出ています。したがって、1月のポンド高もしくはユーロ安・スイスフラン安になりやすい傾向は統計的に有効といえそうです。
しかし、注意してほしいのは実際のローソク足には「ヒゲ」があることです。陽線・陰線は始値から終値の実体ベースであり、下ヒゲや上ヒゲは含まれていません。なので、この時間統計の傾向を活用するのであれば、月初めに一気にポジションを持つのではなく、月初めから半ばまで細かくポジションを追加していき、月末に向けて徐々に決済していくのが良いでしょう。ただし、この時間統計論はあくまで傾向であり、必ずしもその通りに動くわけではありません。今回、紹介したユーロポンドも過去20年で6回は陽線がついており、必ずしも陰線になっているわけではありません。なので、損切りポイントを必ず設定しておきましょう。
また、単純に「ユーロポンドが陰線をつけやすいのでショート」という戦略を立てるだけではなく、ポンド高、ユーロ安・スイスフラン安を広く活用して、ポンドスイスフランやドルスイスフランをロングしたり、ユーロドルもショートでポジションを持つなど、複数の通貨ペアを取引してリスクの分散を行いましょう。
複数通貨ペア取引でリスクと利益を管理
あくまで参考にですが、もし私がトレードするのであれば、年始休業が終わった1月6日ごろからユーロポンドをショートして10pips逆行するごとにポジションを追加していきます。損切りは200pips上、もしくは前回の高値とし、1月20日ごろに決済のポイントを探していくと思います。なぜ20日ごろかというと、ユーロポンドの2月の月足には陽線がつきやすい傾向があるため、早めに決済したいからです。それと同時に、ユーロドルのショートポジションを持って、同じく10pips逆行するごとにポジションを追加し、損切りは150pips上か前回高値で、25日を目安に決済ポイントを探します。さらに、ドルスイスフランのロングポジションを持って、10pips逆行するごとにポジションを追加、損切りは150pips下か前回安値で、25日ごろを目安に決済ポイントを探します。
このように三つの通貨ペアで取引をすれば、どれか一つが損切りになっても他二つの利益との合計でプラスになる場合もあります。たとえ損切りになったのが二つでも、一つの通貨ペアが大きく伸びれば利益の可能性が生まれてきます。一つの通貨ペアにこだわらずに、複数の通貨ペアでトレードを行ってリスク管理をしていきましょう。
※この記事は、FX攻略.com2020年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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