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【FX対談】ヨーロッパ市場と通貨にチャンスあり![松崎美子×Sarah]

元外国銀行トレーダーでロンドンから政治や経済の最新情報を発信し続ける松崎美子さん。そして、本誌でおなじみのSarahさん。ふたりがトレード手法からニュースの大事さ、ユーロ問題のゆくえ、そして、アメリカの利上げ動向までと、未来を見通すために「今」に鋭く切込んだ異色の対談。

景気のいいイギリスでFXは?

サラ 松崎さんはイギリスに住んでらっしゃいますが、景気はどうですか。

松崎 イギリスはめちゃいいです。1970年代から始まったサッチャー政権では、持家制度を打ち出して、公営住宅を個人に売却するようになりました。それ以降は、それまで家をもっていなかった層がどんどん自分の家をもつようになり、その傾向は現在もずっと続いています。2014年なんか住宅バブル状態になりましたね。

サラ そんな景気のいいイギリスで、FXは人気がありますか。

松崎 つい5~6年前までは、もとディーラーが中心でしたが、最近は本当に少数ですが、ふつうの人もやり始めたようです。 娘の友だちがロンドンのFXを教える学校に通っているとか、うちの近所で犬の散歩をさせている人たちが儲かったとか損したとか話しています。

サラ 個人がけっこうやっているんですね。

英語がネックで日本市場が動かない

松崎 イギリスでは、日本のNISAと同じように、年間1万5240ポンドの上限で株が買えますし、上流階級は株の配当を資産の一部として役立てています。ただ、基本的に、株はその国の市場がメインですが、FXは世界を相手にします。何か起きた場合、5秒遅れても不利なのに、1分、2分遅れたニュースを見ていてはすっかり立ち遅れてしまいます。

サラ 美子さんのトレードにとって、ニュースってなぜそんなに重要なのですか?

松崎 ニュースは相場を動かします。日本人は「米ドル/円」をやる人が多いけど、実際には、為替取引のボリュームの40%はユーロで、流動性やボラティリティが違いますよ。日本人がユーロをやらないのは、迅速な情報を取りにくいからかもしれませんね。外国人が新しいポジションをつくらないこともあり、東京市場は日本人の実需玉がメインです。なぜそうなるかというと、ヘッジファンドや年金基金など大きな取引をする層は英語の情報を参考にして、欧州時間を待ってトレードをします。

当然、ボリュームも厚くなるロンドン市場オープンと同時に取引を開始し、次にアメリカ市場でということになります。日本では100本規模のポジションを動かす人が出てきていますが、英語の情報があると、突発的なリスクが避けられますね。

ヨーロッパ市場でヨーロッパの通貨をやるべし

サラ 世界と戦うには、日本市場でも「米ドル/円」でもないということですかね?

松崎 私は最近ブログと同じタイトルの『ロンドンFX』という本を出しました。そのなかで、「FXをやるなら円に縛られず、国際人としてポジションを取ろう」というような話をしています。マーケットが一番動くヨーロッパタイムは出来高が高く、とくに、ユーロやポンドの扱い量が多いので、約定がスムーズにいきます。そうなると損切りもいいレートでできるので、無駄な損失が出てこない。

日本人はどうしても円を絡めて取引しますが、英国の個人投資家がみんなポンドばかり取引するかといえば、そんなことはありません。自国通貨をやれば儲かるわけでもありません。今年1月のスイス・ショックで経験したように、流動性が厚いことは、マーケット参加者にとって一番重要です。そうなると、取引高が厚い「ユーロ/米ドル」は約定も損切りも滑らないので、取引する人が多いですね。

サラ ヨーロッパ時間のなかでも一番いい時間帯はありますか。

松崎 ロンドンがオープンしたばかりの東京時間の午後4時くらいがいいですね。ロンドンを含む欧州市場で世界の56%の取引があります。ニューヨークとアジアは、それぞれ20%のボリュームですから、いかにロンドン時間の取扱量がすごいかということです。

サラ ヨーロッパ市場でほかに大事なことはありますか。

松崎 値決めの方向性としてのロンドンフィックスが大事ですね。とくに、月末と3月、6月、9月、12月という期末が大事です。期末は締めとしての重要なポイントになりますから、市場動向が読めます。

利を伸ばすにはやっぱりファンダが大事なんです

サラ 本のなかではほかに何に力を入れていますか。

松崎 ファンダメンタルズに力を入れて書いています。たとえば、要人発言がどう影響して、それがどう市場を動かしたかなどに関して例をあげて書いてます。

ファンダで判断すると大きなトレンドがどっちを向いているかがわかるので、自分の予測した方向にトレンドがちゃんときていることが確認できて、早降りすることなく、大きく利益を伸ばせるんです。多少の上下動であわてることはなくなりますよ。それに加え、英語で情報が取れると、突発的な動きに翻弄されずに済みますね。

サラ でも、機関ディーラーさんたちと違って、個人トレーダーは、情報という面では、圧倒的に不利ですよね。

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ライブな情報が大事

松崎 たとえば、ECB 総裁のドラギさんがリアルタイムで話している内容とかですね。

サラ 私、平均的な日本人よりは多少英語ができるほうだと思うのですが、それでも英語での情報収集は面倒だと思っちゃうんですよね。微妙なニュアンスはわからないし。専門家が訳してくれたニュースを読むほうが確実で、楽だと思っちゃいます。

松崎 たとえばですが、日本人があまり重視していない中銀総裁の議会証言などがいい例です。総裁はドルが高いとか安いとか相場観をいってはいけないですが、議会証言では政治家が質問するから本音がぽろっと出ちゃう。それで大きく動くので、これを見ている人といない人では収益に差がでます。あと、私はツィッターやっていますが、非常に役に立ちます。次から次へ出てくるので、ほかの配信より3~5分早いのがいいです。

新しい情報ゲットはツイッターで

サラ ツィッターをやってるんですか。

松崎 はい、要人のフォローとかしていると、いい情報が早く入ってきますよ。

サラ なるほど! 要人のフォローくらいならできそうですね(笑)。私はニュースは随時チェックをしますが、ポジションを取るときはテクニカル指標しかみません。取引ペアは「ユーロ/円」「ユーロ/米ドル」と「米ドル/円」をメインにしています。私はニュースが出てからいったん市場が動いて、その次に出る第二波でとるから後出しじゃんけんですけど、それでもいいわけですよ。サクッとおこぼれを頂戴する感覚ですね。

松崎 たしかに、それでもいいですよね。でも、そういう場合はロットを大きくしてさくっともらう。

サラ はい。そんなイメージです。流れが変わって振り回される前に手を引きます。

松崎 短期取引の人で、1万通貨で取引した場合、30Pips動いても取れるのは3000円です。しかし、テクニカルにファンダを交えて取引した場合、長い期間ポジションを保有する自信がつきますので、とくに、ポンド関連ですと、1000Pipsとることも可能になります。

サラ 確かに1000pipsとれるまで保有し続けるには、ファンダメンタルに基づいた相応の裏づけが理解できていないと難しいかもしれませんね。スイングトレード派には、ファンダメンタル分析スキルは必要不可欠です。

松崎 日本人のFX取引って、ゲーム感覚が強いですよね。日本人は非常に頭脳明晰な民族ですが、ネックは英語です。英語ができれば、もっともっと情報が得られて、もっとチャンスが大きくなりますよ。それと、FXやるなら、できればその国にいってみることをお勧めします。トルコリラならトルコにいって、国の様子や人々の生活を見るとかです。その国の政治や文化が相場に思いがけない影響を与えることがあります。

サラ それは私も実践しました。2011年以前、ユーロが1ユーロ100円前後で推移していたとき、実際、景気はどうなんだろうと肌で感じたくて、毎年ヨーロッパに旅行したり。

本当にこわいのはイタリアの動き

松崎 ユーロですが、19カ国でひとつの金融政策というのは、かなり無理があると考えています。 ただし、ギリシャがユーロ離脱をした場合の脅威は安全保障の面ですね。ロシアがBRICSにギリシャも入れようと虎視眈々と狙っているとか、ガスのパイプラインがギリシャを横断するので、通過料を前払いするとか。なので、メルケルさんは安全保障の観点からギリシャは離脱させたくないといっています。

万が一、ギリシャがユーロ圏から離脱した場合、次に離脱する国が出ないという確信がもてるのなら、離脱もありかと思います。今までにドイツがギリシャ救済のために使ったお金は、ロイターによると、1600億ユーロ。あの国の国民総生産は3兆ユーロ以上あるので、金銭的損失は限定的だといえるでしょう。ただ、2017年は選挙なので、抜けるなら今のうちに抜けてくれないと、メルケル首相の再選が危うくなるということがあります。

サラ ギリシャが離脱して怖いのは連鎖反応ですよね。

松崎 問題はイタリアだと思います。ギリシャ国民は緊縮問題は別にすると、約8割がユーロにとどまりたいと思っています。でも、イタリアは国民の5割が離脱したい。この国の債務は2兆ユーロを超えています。ドイツのGDPが3兆6000億ユーロくらいですので、イタリアの債務に関してはドイツでも支えきれません。

サラ 何でイタリアなんですか。

松崎 ユーロ圏に入ってから生活水準が低くなった、物価が高くなったなど不満が多いです。離脱のしかたが問題ですが、ギリシャが出たら、最初はユーロ売りでしょうが、最終的には買いになると思います。でも、イタリアまで離脱することはないと確信できれば、ユーロは買われるでしょう。

いったん腰を沈めてからジャンプ

サラ となると、秋だとかいわれているアメリカの利上げはどうでしょう。

松崎 利上げをすればドル高になるでしょうから、発射台を低くしたいと思っているでしょう。それに、オバマ大統領は輸出の鈍化を懸念しているようです。私はギリシャや中国の問題で世界金融市場の安定が崩れない限り、9月に利上げすると考えています。そうなると、できれば利上げの準備が整う前にドルを若干下げておきたいのではないでしょうか? その場合は、反動でユーロやポンドが底堅くなります。

この前イエレンさんが記者会見で、年内利上げという本音をもらしました。ドルの実効レートも70から急激に100まで上げたのを、いったん90ぐらいまで下げることもあるということでしょう。アメリカの利上げが実現すれば、ドルは上昇して、128円くらいを目指して動くと思いますよ。

(対談収録日:2015年6月15日)撮影:早坂明

Profile:松崎美子(まつざき・よしこ)

松崎美子

まつざき・よしこ。スイス系銀行東京支店で見習いとしてトレイダー人生をスタート。1988年渡英、1989年よりバークレイズ銀行ロンドン本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年に同じくロンドン・シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ2000年に退職。現在はFX取引に加え、国内の個人投資家向けにブログやセミナーを通じて情報を発信。著書に『松崎美子のロンドンFX(金融の聖地で30年暮らしてわかった 日本人が知らない為替の真実)』(自由国民社)。

公式ブログ⇒【ロンドンFX】

Profile:Sarah(さら)

Sarah

Sarah(さら)。FXトレーダーとして、米紙ウォールストリートジャーナルや、テレビ東京『ガイアの夜明け』等メディアからの取材を数多く受ける。トレードをする傍ら、FXや暗号通貨(リップル)、九星気学のセミナー講師、コラムニストとしても活動中。著書『トレーダーsarahが教えるFX7つの成功☆レッスン』(宝島社)、『わたし、すっぴんジャージで億稼いでます。』(幻冬舎・新刊)

公式ブログ⇒【トレーダーSarahのFX日記】
公式サイト⇒【Sarah'sオフィシャルサイト】

※この記事は、FX攻略.com2015年10月号の記事を転載したものです
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