トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
昨夜パウエル議長は下院金融委員会で初の議会証言に臨み、イエレン氏が就任以来標榜してきた緩やかな利上げ路線を継続する意欲を公言しました。内容に新鮮味はありませんでしたが、米経済の強さを再確認し継続的に利上げしていくと発言しました。また、ドルの伸び悩みの要因となったインフレ率も低調が一時的なものであったと強調したうえで、今後インフレ率は2%へ上昇すると発言しております。マーケットもややタカ派ととらえたようでドル円は一時的な上昇となりましたが、はたしてこのまま上昇していくでしょうか。週末に向けて欧州イベントも控えており、今一度戦略を練っていきましょう。
マーケットのテーマは米国の通商政策に回帰か
パウエル議長の議会証言ですが、新鮮味はなくここからドル円上昇燃料となるには材料不足に感じました。逆に「米金利上昇→NYダウ下落→ドル円下落」という前回ドル円が急落したイメージの方が想像しやすいです。ドル売り攻めの第2ラウンドが開始する可能性も否定できません。
さらにマーケットのテーマは米金融政策から再度米通商政策や米財政赤字拡大にシフトしていくとみています。トランプ大統領は、支持率や影響力が低下するなか、今年の中間選挙に向けてアピールするにはここしかないといった具合に攻め込んでくることは容易に想像できます。こちらの材料も引き続き上値を重くするでしょう。
チャートを見ると21日移動平均線がきれいに機能しており、戻り売りの目安になりそうです。
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週末のイタリア選挙戦は波乱要因か
3月4日にイタリアで首相選挙が行われます。3党が混戦模様の戦いを演じており、世論調査では単独過半数を取れる政党はないようです。混沌としたなか、現在の支持率トップはポピュリスト政党の「五つ星運動」です。
今欧州全体でポピュリズムは減退傾向にあり、「五つ星運動」もユーロ離脱を公約には掲げていませんので政治不安という面では幾分後退しています。とはいえ安定政権樹立までは不確定要素が高く、トピックスには乱高下しそうな展開です。
また、同じく3月4日にドイツではCDUとSPDの連立協定に対して党員の投票結果が公表されます。ここでようやく連立政権スタートとの見方が示されています。ただし、反対が上回り連立政権決裂の可能性もゼロではありません。イタリアの選挙も踏まえるとやはりユーロ系通貨の週末持越しはリスクが高くなりそうです。
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