トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
膠着状態を抜け出せるか
ドル円は108.50を中心に方向感が出せていません。長期化必至の米中貿易戦争や、FRBによる米利下げ観測はドル円にとってネガティブ要因ですが、米利下げ観測からの株価上昇がポジティブ要因となり強弱材料の綱引きから膠着が続いています。また、トランプ相場も健在でツイート1つで相場の流れが変わるため、怖くてポジションを大きく傾けられないことも膠着要因としてはあるでしょう。イベントでは今夜21:30に予定されている米消費者物価指数は注視しています。FRBが米利下げスタンスを鮮明にするなか、インフレの最重要指標の結果次第で利下げが加速するか、後退するかに注目です。
カウンター覚悟で下値攻め
不透明要因が多くドル円はどちらかに偏ったポジションは危険ですが、トランプ大統領の場当たり的なツイートを見ているとやはりリスクオフに警戒しなくてはなりません。足元のツイートでも「今月末のG20で米中首脳会談が実現しなければ全輸入品に関税を課す第4弾を直ちに実施する」と語っています。しかし、米中首脳会談は現段階で何も決まっていません。G20まで残り時間が少ないなかで米中首脳会談の開催のあるなしを別にしてもここから何らかの合意にもっていける確率は低いのではないかと考えています。
また、ここ数日米利下げ期待から株価が上昇していますが、こちらも上昇が一服すれば米利下げの催促相場となり、ドル安再燃もシナリオとしてはあるでしょう。テクニカル面では足元できれいにワークしている21日移動平均線の差し掛かる109.15円付近がレジスタンスとして意識される一方、下値は今月に入って4回サポートされている107.80-90円が急所となりそうです。基本スタンスはこのレンジ下限に向けて下値を攻めていく方針です。
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