現役為替ディーラーが、話題のアノ人と語り尽くす Trader’s対談|ゲスト 山中康司 後編[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄]

現役為替ディーラーが、話題のアノ人と語り尽くす Trader’s対談|ゲスト 山中康司 後編[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄]

【前編はこちら】

現役為替ディーラーが、話題のアノ人と語り尽くす Trader’s対談|ゲスト 山中康司 前編[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄]

大相場のときにはトレードを止める

井口 2020年3月19日現在、新型コロナウイルスの影響で相場が大荒れですが、このような大相場にはどのように対応したらよいのでしょうか?

山中 「休むも相場」という格言があるように、無理をしてはいけません。もし自分の思惑と違う方向に動いたら素直にあきらめることです。あきらめずにナンピンしてしまうのが最悪のパターンです。自分が間違ったらその間違いを素直に認めて止め、それは忘れて次に行きましょう。そして相場で何が起きているのか、なぜ動いているのかを把握しましょう。

 今の相場状況は単純です。世界の工場と呼ばれる中国から新型コロナウイルスの感染拡大が始まったことで、中国を中心に世界中のサプライチェーンがおかしくなり、次に人の移動がおかしくなりました。物も人も動かなくなった状況というのは何をやってもダメなので、今は耐え忍ぶときです。各国も景気対策をしていますが、すぐには良くならないと思います。

 今回の新型コロナウイルスは数年前の重症急性呼吸器症候群(SARS)のときよりも感染者は多いのですが、なぜか最初の市場は楽観的だったので、1~2月のNYダウが最高値をつけていたときも「理由なき楽観で株を買うのはやめろ」といい続けていました。それでも2月中旬までは上がり続けていたので不思議に思っていました。現在は逆に悲観がまん延している状況になっています。ただ、「悲観の中から強気相場は生まれる」と相場格言にあります。現在はそれに近い状況ではないでしょうか。そして、一番ショックだったのは米連邦準備制度理事会(FRB)が実質的に金利をゼロまで下げたことです。これは「大企業が破綻するかもしれないから備えよう」ということが考えられます。なぜなら、いきなりゼロまで下げることはめったにないからです。こんな状況のときは取引をやるべきではないですね。

井口 今はトレードをやるときじゃないと。

山中 「中央銀行や政府が頑張っているのだから元に戻るに違いない」と思うかもしれませんが、物や人の移動が戻らない限り、そう簡単には良くならないと思います。SARSのときを参考にすると、おそらくゴールデンウィークくらいに今やっている経済政策の効果が出てくると思います。一時期は株価が下がってドル円が上がっていることを不思議に思っていた人がいるかもしれません。流動性が低下しているときは、信用力がないと資金市場からドルが調達できなくなります。国や大企業ほどの信用力があれば別ですが、そうでない人はドルの調達ができません。一番簡単な方法はドル円でドルを買っておけば2営業日後にはドルが手元にきます。みんながそれをやっているので、円安に動いていました。これが反対に円高傾向になり始めたら、それは良いシグナルということになります。

井口 ドル円が下がったところが、もしかしたら株価も底になるかもしれないですね。

山中 今の相場をよく見ていると、全ての動きは説明がつきます。今は何の理由で株が上がっているのか・下がっているのか、ドルが上がっている理由は何なのかをきちんと突き詰めて考え、理詰めで説明できるようになることです。どんなときでも自信を持つための知識をつけて、取引のルールを決めましょう。そして、自分の証拠金を守るためにストップロスは必ず置きましょう。これらができていれば、今のマーケットも怖くはないと思います。ただ、変に欲を出して損をすることが一番ばからしいので、積極的にはやらない方がいいですね。

井口 もしかしたら今はバーゲンセール中なのかなという気がしますよね。

山中 暖かくなるころに良い流れが来ると思います。

2020年の日本は良くなっていくと予想

井口 山中さんは占星術についても造詣が深いですが、金融と占星術の関係についてお聞かせください。

山中 占星術はテクニカル分析なんです。一般的なテクニカル分析は方向性や値幅の分析には向いていますが、日柄の分析には向いてません。日柄分析に関して私は一目均衡表やフィボナッチのタイム・エクスパンションを使っていたのですが、そんな中で日柄の分析に占星術が使えると思ったことがありました。私と占星術の出会いは1990年代前半です。

井口 そんな昔からだったんですね。

山中 バンク・オブ・アメリカ時代に、シカゴ支店の人が占星術での相場分析について話していました。最初はばかにしていましたが、「知らずにこれはダメだ」と決めつけるのは一番いけないことだと思ったので、1993年から1997年の4年間、占星術について勉強しました。占星術に関するものだけで100万円は使いました。

井口 すごい金額ですね。

山中 これは使えるぞ、となったのが1997年です。勉強を始めてから約4年後に、ようやく自分なりの形ができました。今でもその当時のルールを一切変えずに使っています。いつ転換しやすいのか、いつ買われやすいのか、いつ売られやすいのかを日柄で測ります。例えば、RSIなどオシレーター系のテクニカル指標が明らかに売られ過ぎを示し、そろそろ買われるのではないかというときに、占星術での日柄が変化日であれば「買ってみよう」と最後に背中を押してくれるんです。あくまで参考ですけどね。

井口 最後の判断の5~10%を占めているんですね。

山中 日柄やサイクルは重要で、今年は株価にしても為替にしても、大きく株安・円高に動く年なんです。ちなみに、来年から日本は良くなります。

井口 そこまで分かるのはすごいですね。

山中 そういったことは占星術に限らずサイクルをよく見ていくと分かります。ドル円は変動相場制が始まった1973年2月14日から「12年サイクルの超円高の波」というものがあります。1973年の12年後の1985年にプラザ合意、さらに12年後の1997年はアジア通貨危機です。1年足りませんが、2008年のリーマンショック、その12年後が今年になるんです。

 長期の視点で捉えた場合、さらに大きなサイクルを見つけられます。例えば、来年に延期になりましたが、一般的にはオリンピックが終わると景気は悪くなるといわれています。ですが「60年サイクル」というものがあって、2020年の60年前を振り返ると1960年は前回の東京オリンピックの年で、1960~1980年代に高度経済成長期へ突入。その後の10年はバブルになりました。それを考えると2020~2040年は経済成長、2040年からバブル、2050年にバブル崩壊で景気が悪化と予測できます。この60年サイクルは、過去をさかのぼると江戸時代から240年間ずっと同じ動きをしているんです。

井口 すごく大きいうねりですね。

山中 この60年サイクルと12年サイクルを考慮しながら、実際の相場ではデイリーなものを見ていきます。さらに細かい動きを見ていくときは、誤差を8時間まで絞り、どこでドルが買われるか、どこでドルが売られるかを計算し、一致しているかをテクニカルやチャートを見ながら確認しています。

井口 60年サイクルとなると、一生に一度ですね。

山中 次のバブルは2040年からだと思うので、若い人は2040~2050年に期待して良いと思います。ただ、少なくとも2020~2040年の20年間も上昇期なので、これから良くなっていくのではないでしょうか。

井口 楽しみです。ちなみに占星術でこの日はボラティリティが出やすいなどのサイクルもあるんですか?

山中 水星の動きから計算で出てきます。あとはボラティリティが上昇しやすい、下降しやすいなどの変化のしやすさや、このレートに行きやすいという特殊な配置もあります。

井口 それはすごすぎます。

山中 金融占星術の世界には天才的な人が数人います。そのうちの一人にジーン・ロングという方がいるのですが、その人はトレーダーで、米国の投資家ウィリアム・ギャンの研究家でもあり占星術師でもあります。ギャンも金融占星術を使ってました。その手法は誰もよく分かっていませんでしたが、ロングさんは「ギャンが一体何を使っていたのか」を解き明かしました。ロングさんは、特定の日の価格を予想する手法を編み出していて、それが面白いほど当たるんです。当たらない場合には、当たらない理由とそれを調整する説明まであって、このやり方で6割は当てています。

 時間と価格の両方のバランスを見る「タイム&プライス」がテクニカルの奥義ではないかと思います。この日だからこうなるというようなテクニカルは他にもあるので、知らないよりは知っていた方が良いですね。

井口 最後の10%の自信につながるわけですからね。それにしても、占星術に100万円かけたのはすごいですね。

山中 「やる以上はその世界で一番になろう、なれなくても一番になるつもりでやろう」という心構えでいます。これはどんな場合でも大切なことだと思います。

掲載内容を参考にして自分の手法を編み出す

井口 最後に読者に向けてアドバイスをお願いします。

山中 FX攻略.comではいろいろな人がさまざまなことを書いていますが、どれが正しいとかどれが間違っているかは重要ではありません。専業トレーダーや元ディーラーが書いている記事の中から、自分が使えそう、役立ちそうなものを見つけて研究し、最終的に独自の手法を編み出せたら勝ちやすくなっていると思います。ある人から「FX攻略にはいつも同じようなことが書いてあるよね」といわれたことがありますが、逆に何千種類もの取引手法があったらそれはそれでびっくりです。何度も出てくる手法というのは、それだけ参考にしている人が多いということなので、そのような手法に注目すると良いのではないかと思います。

井口 まねでも良いからとりあえずやってみることですね。

山中 最初から自分の取引手法がある人はいません。まねしながら自分なりにアレンジして、最終的に自分のものにしていくことが重要です。何年の何月号でも構わないので、役立ちそうな記事を見つけ、そこに書いてあることを全て理解できるくらい勉強することをお勧めします。そのくらい見ていけば、いつのまにか自分の手法はできていると思いますよ。

井口 学び続けることが重要だということですね。ありがとうございました。

※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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井口喜雄(いぐち・よしお)

トレイダーズ証券市場部ディーリング課。認定テクニカルアナリスト。1998年より金融機関に従事し、主に貴金属や石油製品のコモディティ市場を中心としたカバーディーリング業務に携わる。2009年からみんなのFXに在籍し、「米ドル/円」や欧州主要通貨を主戦場にディーリング業務を行う。ファンダメンタルズから見た為替分析に精通している他、テクニカルを利用した短期予測にも定評がある。最近では、みんなのFXの無料オンラインセミナーにも登場し分かりやすい講義内容が好評を得ている。さらにTwitterでは、プロディーラーが相場についてリアルな意見を発信しているので要チェック。

公式サイト:トレイダーズ証券

Twitter:https://twitter.com/yoshi_igu

YouTube:みんなのFX|トレイダーズ証券

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山中康司(やまなかやすじ)

1982年バンク・オブ・アメリカ入行、1989年バイスプレジデント、1993年プロプライエタリー・マネージャー。1997年日興証券入社、1999年日興シティ信託銀行為替資金部次長。2002年アセンダント社設立・取締役。

公式サイト:アセンダント/山中康司 が提供する為替情報配信サイト

Twitter:https://twitter.com/yasujiy

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