雨夜恒一郎

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    2014年7月14日
    「米ドル/円」が年初来安値に接近!今週はレンジの下放れリスクに注意[雨夜恒一郎]
    先週は、ポルトガルの大手銀行バンコ・エスピリト・サント(BES)の経営不安が浮上したことをきっかけに、株安連鎖・米国債利回り低下・円買いの流れが強まり、「米ドル/円」は一時101.07円と5月21日以来の安値をつけた。 問題が表面化したのは、財務が悪化したBESの持ち株会社が短期証券の償還を見送り、債務の株式化を検討していると報じられたことが発端だが、BESの財務問題は昨日今日急に降ってわいた話ではなく、5月ごろから親会社である複合企業ESインターナショナルで不正会計が発覚するなど悪評が出ていた。 ドイツやフランスなどユーロ圏の中核国ならともかく、PIIGSの一角ですでに信用が失墜していたポルトガルでの事案であることから、ユーロ全体の金融システムを揺るがすことは考えにくい。 ポルトガルの局地的な問題、もしくはBESの個別問題として考えるのが順当であり、これをきっかけにユーロ圏が再び信用不安の大波に見舞われることはおそらくないだろう。 ただし、ボラティリティーが極限まで低下し、誰もが動かない相場に賭けていたドル円相場においては、ちょっとした動きがオプションの売り手の損失を拡大させ、急激な…
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    2014年7月7日
    米雇用統計上振れでも利上げには程遠い[雨夜恒一郎]
    先週発表された米国6月の雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が+28.8万人と予想の+21.7万人を大幅に上回り、失業率も6.1%と予想6.3%を下回り、約6年ぶりの水準へ低下した。 この結果を受けて「米ドル/円」は102円を突破し、一時102.27円まで上昇。 「ユーロ/米ドル」も1.36ドル台を割り込むなど、ドルが全般に上昇した。 また、NYダウは1万7000ドルの大台を初めて突破し、米国10年債利回りも一時2.68%と2か月ぶりの水準へ上昇した。 しかし、これだけ強い数字が出たにもかかわらず、「米ドル/円」の上昇幅はわずか30銭程度。 しかも、翌金曜日には早くも失速し、一時102円割れまで押し戻されてしまった。 前日のADP雇用調査の上振れ(+28.1万人)である程度反応済みだったこと、また、米国市場の3連休を控えていたということを考慮しても、もの足らない結果である。 先週の当コラムで述べた通り、雇用統計直後が当面の戻り高値になる嫌なイメージが脳裏をよぎる。 NFPと失業率は確かに大きく改善したが、イエレンFRB議長が重い腰を上げるには内容的に力不足との見方も少なくない。 議…
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    2014年6月30日
    米国雇用統計で高値づかみパターン続くか?[雨夜恒一郎]
    今週の注目材料は木曜日に発表される米国6月の雇用統計だ。 失業率は6.3%と2008年以来の低水準が続く見通しで、非農業部門雇用者数(NFP)は+21.0万人と5カ月連続の20万人超えが予想されている。 米国景気の緩やかな回復を裏付ける数値となりそうだ。 しかし、過去を振り返ってみると、米国雇用統計が好結果となったにもかかわらず、「米ドル/円」は上昇の波に乗れず、むしろ下がってしまうという展開が続いている。 良好なNFPを見て飛びつくと、ことごとく高値掴みとなってしまっているのだ。 その理由は、労働市場の量より「質」を重視するイエレンFRB議長のハト派スタンスにある。 議長は今月17-18日のFOMC後の記者会見で、「失業率は下がったが、労働市場の劣化がなくなったことを反映しているわけではない」と慎重な姿勢を示した。 労働市場の劣化とは、労働参加率の低下、長期失業者の割合の増加、「非自発的パートタイマー」を含む広義の失業率の高止まりなどを指している。 イエレン議長が注視している雇用関連指標、いわゆるイエレン・ダッシュボードの9項目のうち、リセッション前の水準(2004-2007年の平均…
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    2014年6月23日
    米ドル・円・ユーロは三すくみ。注目はポンド![雨夜恒一郎]
    先週の当コラムでは、「動きが鈍い『米ドル/円』のトレードはいっそあきらめ、高金利通貨に着目するのも一計」と述べた。今週の見通しもこの一言に尽きる。「米ドル/円」は当面は動きそうにない。 先週の「米ドル/円」のレンジは101.72〜102.36円と上下わずか64銭。今や「米ドル/円」の1カ月物ボラティリティ(予想変動率)は5%台を割り込み、過去に例のない低水準となっている。乱暴ないい方をすれば、こんなベタ凪相場で上がるか下がるかを論じても時間の無駄だ。米ドル・円・ユーロのG3通貨が三すくみの団子レースを続けるなか、市場の関心は値動きが軽い高金利通貨や資源国通貨に向かっている。 現在特に注目すべきはポンドだ。 先々週にカーニー英中銀総裁が「利上げは市場の期待以上に早まる可能性がある」と発言して以来、早期利上げ観測がにわかに高まっているからだ。先週公表された英中銀議事録(6月4・5日開催分)には、「市場が年内利上げの可能性を低く見積もっていることには意外感」と記されていた。英中銀は、5月15日に発表したインフレ報告で、利上げ時期は来年第2四半期との認識を示したばかり。それから1カ月もたたない…
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    2014年6月16日
    歴史的な低ボラティリティを背景に高金利通貨が優位に[雨夜恒一郎]
    「米ドル/円」相場は膠着感が一段と強まってきた。 今年も約半分が過ぎたが、1月上旬に105円台、4月上旬に104円台をつけた以外はほぼ101-103円台で推移しており、とくに、ここ2カ月は102円前後の狭いレンジでほとんど動かない状況が続いている。 先週オプションのボラティリティ(予想変動率)は1カ月物で5%台前半と過去最低を更新した。 あらゆる情報がネットを通じて瞬時に拡散する現代の市場において、情報の非対称性というものは存在しない。 どんな大ニュースや突発的な事案が出ても、市場はあっという間に消化してしまう。サプライズや不安感がなければ、相場はなかなか大きく動かない。情報が加速度的に増え続けるなか、こうした傾向はもはや構造的といえる。 チャートリーディングの技術も広く共有され、多くの参加者が同じポイントを注目する結果、売買サインも往々にしてダマシとなってしまう。 レンジブレイクに乗ろうとしたポジションが損失となって巻き戻される結果、相場はまた元のレンジに戻ることとなる。 シグナルによる売買で利益を上げることも困難だろう。動かない相場を嫌気して参加者が減り、一段と動意が乏しくなるとい…
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    2014年6月9日
    ECBがマイナス金利導入で材料出尽くし!ユーロ反発へ[雨夜恒一郎]
    先週木曜日、ECBはかねて予告していた通り、金融緩和のパッケージを発表。中心となる政策金利を0.25%から0.15%へ引き下げ、下限金利となる中銀預金金利をゼロからマイナス0.1%へ引き下げた。 政策金利は過去最低を更新。また、マイナス金利の導入は主要国の中銀で初めての試みだ。 利下げ以外では、証券市場プログラム(SMP)の不胎化終了、4000億ユーロ規模の新LTRO計画、そして将来のABS購入準備といった措置が発表された。 事前に予想されていた方策のほぼすべてが盛り込まれたといってよく、会見に臨んだドラギ総裁は達成感からか晴れやかな笑顔を浮かべていた。 しかし市場は、金融緩和策発表直後こそユーロ売りで反応したものの、その後は徐々に買い戻しが強まり、結局発表前の水準を上回った。 先週の当コラムで述べたとおり、典型的な「Sell on rumor, buy on fact」の反応となったのだ。 前回5月8日のECB理事会で、ドラギ総裁が次回の追加緩和を事実上予告して以来1カ月、市場はそれを先取りするかたちでユーロを売り込んできた。そして、ECBが発表した一連の緩和策はおおむね事前に予想さ…
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    2014年6月2日
    ECBの追加緩和で材料出尽くしの可能性も?![雨夜恒一郎]
    先週は、ECBの金融緩和観測を手掛かりにユーロの下落余地を試す動きとなり、「ユーロ/ドル」は1.3586ドル、「ユーロ/円」も137.98円と2月以来の安値を示現した。 メルシュECB専務理事は「金利だけでなく様々な手段を組み合わせる可能性」と発言。今週木曜日のECB理事会では、マイナス金利や量的緩和など非伝統的政策を含む複数の金融緩和策がパッケージとして発表される可能性が高い。 では、今週もユーロに対して弱気スタンスを継続するべきだろうか?筆者の考えはノーだ。 ユーロが1.40ドルを目指す上昇局面から一転して下落に転じたのは、いうまでもなく前回5月8日のECB理事会がきっかけだ。 この日の会見でドラギ総裁は、次回会合での追加緩和を「違和感がない」とし、事実上「予告」した。しかし、それから一か月間、市場は追加緩和を先取りする形でユーロを売り続けてきた。 「Sell on rumor, buy on fact」(噂で買って事実で売る)の相場経験則に従うならば、追加緩和発表とともに材料出尽くしとなる可能性も想定せねばならない。 もちろん、追加緩和の内容次第であることは間違いない。しかし、E…
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    2014年5月26日
    豪ドルは中規模の調整局面へ[雨夜恒一郎]
    先週は豪ドルが軟調な動きとなった。 5月13日にホッキー豪財務相が提出した2014/15年予算案に、幅広い財政緊縮が盛り込まれたことを受けて、景気の先行き不安が強まり、豪準備銀行の金融引き締めへの転換が先送りになるとの見方が浮上してきたことが原因だ。 先週公表された豪準備銀行の議事録も、「輸出の伸び鈍化や鉱業投資の落ち込み、財政再建計画により、向こう数四半期は経済全般の成長がトレンドを下回る可能性が高い」など予想以上にハト派的トーンだった。 市場では利上げは来年に先送りとの見方が強まっており、景気動向によっては追加緩和もあり得るとの観測も浮上してきた。 一方、ドル安を牽引してきた米国債利回りの低下はひとまず一服となり、来週発表の米国雇用統計まで米国金利とドルは小康状態となる可能性が高い。 また日本では、先週行われた日銀金融政策決定会合の声明で、異次元緩和を導入してから明記し続けてきた「15年近く続いたデフレ」との文言がいきなり削除された。 黒田総裁の会見も「金融緩和は所期の効果を発揮。景気は基調的には緩やかな回復を継続」など楽観的だった。 海外勢が抱いていた「7月の日銀展望レポート中間…
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    2014年5月19日
    米国長期金利は新たな低下局面に突入か[雨夜恒一郎]
    先週の「米ドル/円」相場は、米国債利回りの急低下を受けて一時約2か月ぶりの安値となる101.32円まで下落した。 米国10年債利回りは一時2.49%と昨年10月以来の水準へ低下。30年債利回りも3.30%付近と昨年6月以来の低水準となった。 米国景気は順調に回復しており、先週発表された景気指標も、生産者物価指数、消費者物価指数が上昇し、新規失業保険申請件数が30万人を下回るなど堅調なものが多かった。 FRBが粛々とQE(債券の買い入れ)縮小を進めていることもあり、本来なら金利は上昇してもおかしくなかった。 しかし、大方の予想に反して金利上昇は起こらず、10年債利回りは逆に3か月以上続いていた2.6〜2.8%のレンジを下抜けてきた。 参加者は長期債ショートのポジションの損切りを余儀なくされ、ヘッジファンドの解約45日ルールとも相まって金利は大きく低下した。 予想外の事態となった時には相場は大きく動く。米国長期金利の低下は当面続く公算が大きいと見るべきだろう。 では、米国景気が回復し、FRBがQEを縮小しているにもかかわらず、金利が上昇しないのはなぜなのか。 それは、FRBの実質ゼロ金利政…
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    2014年5月12日
    米国景気指標に注目!雇用統計の「後遺症」から立ち直れるか[雨夜恒一郎]
    先週の「米ドル/円」相場は、米国雇用統計の「後遺症」で軟調に推移し、一時101.43円と3週間ぶりの安値へ下落した。 なにせ、あれだけの好結果(非農業部門雇用者数+28.8万人、失業率6.3%)にもかかわらず、米国金利もドルも上がらなかったのだから、参加者の失望感は小さくない。 しかも、イエレンFRB議長は先週の講演で、「労働市場の状況は改善が続いたが満足にはほど遠い」と断言し、超金融緩和政策の正当性を切々と訴えた。 ゼロ金利解除の観測ははるかかなたに吹き飛ばされ、最初の利上げは再来年以降との見方すら浮上した。 ドル上昇の道は閉ざされたと悲観した向きも少なくないだろう。 確かに米国雇用統計の詳細を見ると、長期失業者の割合が異常に高く、非自発的パートタイマーが増えた結果、賃金が伸びていないなど、見かけより質が良くないことは確かだ。 労働参加率は1978年以来の歴史的低水準にあり、働き盛りの世代にもかかわらず就労をあきらめた人が多いことを示している。 失業率はすでに旧ガイダンスの6.5%を下回ったが、こうした事情を勘案すると、実質的に8%台で高止まりしているとの見方もある。 雇用に強い思い…