米国金利上昇とドル高は正当化されず?![雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2018年5月7日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、米国債利回りの上昇を受けたドル買いが継続し、一時110.04円と2月以来の高値を示現した。しかしその後は利益確定の売りが優勢となり、109円台割れまで押し戻された。2年債利回り2.5%、10年債利回り3.0%、ドル円110円という節目にタッチしたことで達成感が広がったようだ。

FOMCは予想通り政策金利を現行の1.50-1.75%に据え置き、「インフレ率は2%に近付いた」と評価を一段引き上げたものの、「経済見通しへのリスクはおおむね均衡」「経済状況はFF金利の一段の緩やかな引き上げを正当化する形で進むと予測」といった主要なフレーズを据え置き、より利上げに積極的な文言を期待した向きにとっては物足りないものとなった。

さらに金曜日に発表された米国4月の雇用統計で、非農業部門雇用者数が+16.4万人(予想+19.2万人)、平均時給が前年比+2.6%(予想+2.7%)と弱い結果となったことから一時108.65円まで下落した。ただ過去2か月分が計3万人上方修正されたことや、失業率が3.9%と2000年12月以来の4%台割れとなったことから、ドル売りも続かず。米国株の大幅上昇を背景にドル買いも入り、109円台を回復して週の取引を終えた。

年内利上げは「あと2回」

先週の当コラムでは、「平均賃金の上昇率が少しでも予想を上回るようなら、米国金利上昇とドル高が正当化されるが、予想以下となった場合は、このところの急上昇の調整局面となり、107-108円のもみ合いゾーンへ押し戻される公算が大きくなるだろう」と述べたが、結果は後者のシナリオを示唆している。FOMC主流派はインフレが2%を多少上回っても問題ないと考えているうえ、賃金上昇が一向に加速しないとなると、利上げを急ぐ必要性は薄れる。今回の雇用統計の結果を受けて、FF金利先物市場は、年内利上げは「あと2回」の見方を強め、「あと3回以上」の見方は後退した。

反動による下落リスクに注意

米国10年債利回りは、4月25日の3.035%をピークに直近2.95%と低下傾向が続いている。一時54bpまで拡大していた2年債と10年債利回り格差も、直近45bpと再び縮小(フラット化)している。こういう局面では、ドルに対して大きな上昇を期待することはできない。株高を受けたリスクオン型の円安というのはありうるが、ドル高を伴わない円安だけの片肺飛行では、ドル円の持続的な上昇を支えることは困難だ。まして米中が貿易問題で鋭く対立する中では、いつ貿易摩擦⇒円高という形でとばっちりを食っても不思議はない。110円台を付けた達成感も含めて、当面は反動による下落リスクに注意すべきであろう。

雨夜恒一郎の写真

雨夜恒一郎(あまやこういちろう)

20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。

twitter:https://twitter.com/geh02066

FX力を鍛える有名人コラム | 雨夜恒一郎の最新記事
現役為替ディーラーが何でも答えます!「みんなのQ&A」第9回 中国経済の好調不調を判断する方法とは?[井口喜雄]
税制改革での所得押し上げ効果、クレジットカード金利負担が抑制?[安田佐和子]
【速報】FXトレードニュース|2018年5月21日〜5月27日[FX攻略.com]
元為替ブローカーから学ぶFXの売買プランの作り方|第7回 直近のドル円相場展望[浅野敏郎]
桜酒〜日銀人事と為替動向〜[森晃]
米中貿易戦争は回避!市場の関心はFOMC議事要旨へ[井口喜雄]
米金利上昇が続く中でのドル円相場[太田二郎]
月足トレードで生きてます|第13回 為替相場が歴史的円高になるのはいつか[ゆったり為替]
値動きが小さくてポジ長期保有、新規エントリーできず[木里ゆう]
はじめよう!EA生活〜MT4自動売買にチャレンジ|第1回 EAとは?[柿澤真正]
テクニカル分析の極意・実践編|第2回 ローソク足からチャートを徹底的に分析する[FXプランナー]
悪い金利上昇ならドル上昇余地も限定的[雨夜恒一郎]
ディーラーによる今週のドル円「金利上昇で楽観ムード?とうとう111円タッチ!」[国府勇太]
【速報】FXトレードニュース|2018年5月14日〜5月20日[FX攻略.com]
移動平均線+RSI etc. トレンド系&オシレーター系の組み合わせ|外為オンライン 佐藤正和の+α実戦チャート術