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これからの外国為替相場の行方(月刊FX攻略.com2018年2月号)[田嶋智太郎]

なおもドル円は保ち合いレンジ内の値動きを続ける

振り返れば、10月のドル円の月足・終値は、辛うじて31か月線を上抜けることとなった。しかし、執筆時(2017年11月下旬)の状況から考えるに、11月の月足・終値で31か月線(現在は113.37円に位置)を上抜けることはどうやら難しそうである。

つまり、ドル円は依然として2017年3月下旬あたりから続く「フラット型の保ち合いレンジ」のなかでの値動きを続けているということになる。このレンジの上辺は114円処、下辺は108円処であり、その中心軸となっているのは111円処と考えればいいだろう。もちろん、この111円処という水準も重要な節目として意識されるところである。

周知のとおり、111円処というのは「9月8日安値から11月6日高値までの上昇に対する半値押しの水準」にあたる。11月27日には、この水準を下抜けようとする動きも垣間見られたが、執筆時点ではいまだクリアに下抜けたとは言えない。

結局のところ、ドル円は、9月初旬に107.32円の安値をつけて一旦底入れ&反発し、執筆時までにフラット型の保ち合いレンジの下辺から上限まで一旦値上がりした後、再びレンジの中心に戻ってきたということになる(チャート①参照)。

単に「保ち合いレンジの中心に再び戻った」と言っても、ここに至るまでには上から順に一目均衡表の日足「雲」上限、200日線、89日線と重要な節目を次々に下抜けてきたという経緯がある。おまけに、日足の「遅行線」も日々線を下抜ける格好となっており、どうやら暫くドル円は分が悪そうである。

それだけ弱気に傾きやすい状況であるにも拘らず、一旦は111円処で下げ渋るような動きを見せるのだから、レンジの中心と言おうか「半値押しの水準」というのは、やはり相当に重要なチャート・ポイントということになるのだろう。

とどのつまり、ドル円の111円処とは一つの瀬戸際、正念場と理解する必要がありそうだ。少なくとも、そういった水準での攻防が繰り広げられているときというのは、無用にまとまったポジションを構えないようにすることが肝心であると肝に銘じておきながら、その後の展開を見定めたいものである。

長期レジスタンスを上抜ければドル円の強気は本格復活!

先に「ドル円は、依然として今年3月下旬あたりから続くフラット型の保ち合いレンジのなかでの値動きを続けている」と述べたが、実のところ11月6日には一時114.73円まで上値を伸ばす場面があり、ついに「レンジ上辺を突き抜けて上放れるか」と思われる瞬間もあった。

それは、振り返ると5月10日につけた高値も7月11日につけた高値も114円台半ばで、同水準が当面の上値の壁と見られていたからである。

そんな114円台半ばの水準を11月6日に一時的にも上抜けた場面では、昨年と同様(置かれた状況はかなり異なるが)、ドル円は「11月初旬あたりから年末に向けて一気に上値余地を拡げるか」などと期待したりもした。しかし、結局は再び保ち合いレンジのなかに潜り込むこととなり、そこから一気に111円処まで値を消した。

実のところ、11月6日高値が位置するところには、チャート②に見るように、2015年6月高値とその後の目立った高値を結ぶ強力な長期レジスタンスラインの存在があった。そして、ドル円は見事に同ラインによって上値を阻まれることとなったのである。

少し見方を変えると、まずはこのレジスタンスラインをクリアに上抜けないことには話にならない。もちろん、同ラインを上抜ける“そのとき”はおそらく遠くないだろう。同ラインをクリアに上抜けて、さらに11月6日高値=114.73円をすんなりと上抜けてからが、いよいよ本格的な強気の流れ復活のときであると見ておきたい。

もともと、昨年6月のブレグジット・ショック時の安値から昨年12月高値までが「a波」であるとした場合、今年9月安値までが「b波」で、現在は今年9月安値を起点とする「c波」の強気波動のなかにあると個人的には見ている。そうであるとすれば、この強気波動が前記のレジスタンスラインをクリア・ブレイクしてはじめて「2015年6月高値からのドル円の調整は一巡した」と言える格好になる。

いま、なぜドル円相場は狭い値動きに終始するのか?

まだ、すべて終わってはいないのだが、振り返れば、2017年のドル円相場は比較的狭い値幅のなかでの値動きに終始したということになるだろう。

そうなるのではないかと、年初から想定していた市場関係者も実は少なくなかった。その根拠を問うと、最も単純明快な答えは「前年(2016年)のドル円相場が比較的大きく動いたから」というものであった。

思えば、2016年のドル円は120円台半ばから一時100円割れまで、確かに大きく値幅を稼いだ。それに対して、2015年のドル円は上下に10円程度と意外に少ない値動きに留まった。要するに、ドル円相場というのは「大きく動く年」と「あまり動かない年」が交互にやってくることが多いということで、これは単なる偶然と思われるのであるが、そうしたことも立派に投資家心理に影響するということは否定できない。

また、2017年11月21日付の日本経済新聞(夕刊)には『円相場、停滞の時代に』というタイトルで、このところ円相場の足取りが重い理由が挙げられていた。

それによれば、中長期的な円相場の決定要因には「需給」と「金利差」の二つがあり、最近はこの2大要因にねじれが生じていることにより、円相場は停滞しがちになったというのである。

つまり、なおも米・日の金利差は拡大する傾向にあり、それはドル高・円安要因なのだが、一方で最近は日本の貿易・サービス収支が黒字化しており、それがドル安・円高方向に作用するから、互いが(円安要因と円高要因が)綱引きの状態になりやすいということなのだ。

このコラムの内容にも一理はあるとは思うが、やはり要因はそれだけではあるまい。外国為替相場は、もっとずっと多様で、なおかつ複雑怪奇なものである。

ただ、ここで一つ注視しておかねばならないと思われるのは、先に日本の貿易サービス収支の話題が出てきたが、では、果たして米国のそれは現在どのような状況にあるのかということだ。

結論から先に言うと、近年の米国では「貿易収支」の赤字(マイナス)こそ目に見えて縮小はしていないものの、その一方で「サービス収支+第一次所得収支」の方は大幅に伸びており、このままのペースで行けば、米国はあと7年で経常収支黒字国に転換することになるというのだ。

より詳しくは、今夏に武者リサーチ代表、武者陵司氏が上梓された『結局、勝ち続けるアメリカ経済、一人負けする中国経済』(講談社刊)の第3章「ドル本位制の最盛期が始まる」をご一読されたいが、武者氏も指摘されているように「基軸通貨国である米国の経常収支均衡が視野に入り始めるとすれば、それは非常に衝撃的」である。

ドイツ連立協議再開でユーロ買いは正解か?

なお、前回の本欄では10月下旬にユーロドルのヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ(三尊天井)が完成したと見られる点に触れ、「今後、中期的な目線はかなり下がることになる」などと述べた。

ところが、2017年11月半ば頃まで三尊天井のネックライン水準あたりで上値を押さえられているかに見られたユーロドルが、後に再び強気の流れを取り戻し、執筆時までに一時1.1900ドル台を奪回する動きとなっているから、これは正直、筆者にとっては想定外となった。

やはり、その理由は複合的なものではあるのだが、一つにはより単純に「ユーロドル以外の通貨ペアでは稼げないので、きっかけさえあればユーロドルに仕掛けるといった場面が見られやすい」ということがあろう。

先にも述べたように、最近はドル円の値動きが極めて限られたものとなっている。ならば、代わりにユーロ円、あるいはドルに弱気材料が出たときのユーロドルで勝負し、ひと稼ぎしたいとの思惑が市場で盛り上がりやすいのだろうと思われる。

また、前回の本欄で詳しく述べた欧州の政治情勢の変化の影響がそう短期的には顕在化しないということも、目先的なユーロ買い安心感につながっているものと見られる。

直近では、9月に国民議会選挙が行われて以来、連立協議に苦戦していたドイツにおいて、一度は決裂した連立候補政党との協議が再開する運びとなり、結果、市場が俄かに「大連立」への期待を強めてユーロ買いに走ったという場面があった。

筆者に言わせれば、また市場が期待先行で先走りしたに過ぎないということなのだが、そうした市場のパターンというものも理解しておかねばならないことは確かである。

おそらく、そう易々と連立協議は進まないだろうし、ある程度進むとすれば、それはメルケル独首相の統率力や影響力の著しい低下を示すこととなり、長い目でユーロ圏統合の道が遠退き、ユーロの価値が損なわれることにつながるということも、どこかで認識しておかねばならないと個人的には考える。

※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです 

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