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週刊FXシナリオ|ECBのメッセージ、テーパリングに備えよ[阪谷直人]

ECBのメッセージ、テーパリングに備えよ

昨日13日は欧州時間に入り、「ECBは9月7日の会合でQEを段階的に縮小する計画を公表する可能性がある」との報道が伝わると、ユーロドルは1.1370から1.1419まで反発しました。

その報道とは、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、ECB当局者の話として伝えたもので、「ECBが9月7日の理事会で来年から資産買い入れを段階的に縮小する方針を示唆する公算が大きい」というものでした。

ECBが今秋にもテーパリング(資産買い入れ縮小)に向けて動きだすため、市場にシグナルを送り始めた事を示唆する報道と受け止めるべきでしょう。ECBによる量的緩和(QE)の終了を示すサインと受け止めるべきと想定します。

一方で市場では、ECBが年末に当面の期限を迎える資産買い入れの今後について、9月7日の理事会で決めるとの見方が支配的になっていますが、それが単発の縮小なのか、プログラムの正式なテーパリング(段階的縮小)になるかを巡っては、意見が割れています。当然なのですが、ECBはこの質問に対してはコメントを控えています。 

ECBは今秋、つまり今月7月20日の理事会の後の、9月7日か10月26日の理事会のいずれかにおいて、資産買い入れ縮小について動こうとしていて、市場をテーパリングに備えさせる意向であると想定すべきです。

(7/14 4:30)

イエレン証言は、やはり思慮深い

イエレン議長は12日の米下院での証言に続き、昨日13日には米上院で証言をしました。昨日の証言内容は、当然のごとく米下院での証言内容と同様のものでしたが、その後の質疑応答の際、「ドル高が輸入物価を抑制したが、もはや要因ではない」として、FRBとしては現状のドル水準に対して、ドル高懸念は持っていない旨の意思表示をし、「保有資産縮小の期間、長期金利がいくらか上昇すると予想している」として、FRBが年内にも保有している資産を縮小する間は、米長期金利は上昇すると述べました。

12日の下院での議会証言の際、バランスシートの縮小については、「比較的早期 relatively soon」(2回の会合以内に発表する示唆と解釈されています)に着手すべきとしていて、同政策が金利に与える影響は数年先こそ控え目にとどまるものの、いずれの段階で上昇圧力を加えると証言しています。

これらを受けて市場は、まず米10年債利回りが、2.30%から2.36%まで上昇。ドル円は米債利回りの上昇を見て、112.90から113.47まで上伸、ユーロドルは、1.1419から1.1383へ下落。ただNYダウは 21550.56  前日比+18.42、ナスダック指数は6260.63  前日比 -0.54、とまちまちな動きです。   

 今回のイエレン議長の議会証言は、市場にハト派的と受け止められました。…と思うのですが、イエレン議長はわざと市場がそう受け取るように発言したのではないかと見ています。

というのは、6月27日にECBのドラギ総裁が、景気刺激措置を縮小する余地があるとし、資産買い入れの縮小を示唆した事で、独長期金利のみならず、米長期金利も急伸した状況下で、市場への影響に大きく配慮をするイエレン議長は、金利を押し上げかねないタカ派的な言動を自重したのだと想定します。

ここしばらくのイエレン議長の発言から判断すると、2018年2月3日までの任期を強く意識しており、ただその続投は想定していない様子です。意識していると思われるのは、自身の後任、新任者にバトンタッチをするまでに、「FRBのバランスシート縮小の既成事実を作っておく事」で、その為の動きを優先していると想定されます。

と考えれば、慎重で思慮深いイエレン議長は、ドラギ発言後、金利上昇へ反応しやすい市場に、ハト派的と解釈されるように振る舞い、特に金融市場に対して配慮したのではないかと思います。

(7/14 4:04)

やはりイエレン議長はぶれていないと思います

昨日のイエレン議長の米下院での議会証言に関して、先程投稿しましたが、「イエレン議長はぶれていない」「ぶれているのは市場の方です」と再確認をしたいとの思いが強く、続編を投稿させて頂きました。

昨日の証言内容は、イエレン議長の以前からの基本姿勢、イエレン議長の想定しているアクションプラン(基本シナリオ)に変わりはありません。つまり昨日市場がハト派的と解釈したのは、イエレン議長がよりハト派に変わったのではなく、市場がよりよりタカ派的と受け止められる証言内容を期待して織り込んでいた反動なのです。

例えば、かねてから年内にも開始するとされているテーパリングに関しては、米経済は、4.5兆ドル規模の保有資産の縮小を開始し、緩やかな利上げを継続していくことに耐えられるほど強いとFRBが判断していると、再確認しています。 

「米労働市場が強まることで、いずれ賃金や物価は上昇する」というのがイエレン議長の基本的な見通しであると想定しています。実際証言の中でも、米国内外の経済成長が、民間企業の設備投資に繋がり、賃金や物価の伸びにつながるはずと分析しています。

ポイントは、イエレン議長が6月のFOMC後の会見で指摘したように、今回の米下院の議会証言でも述べているように、「最近の物価の低下は一時的な要因が影響している」との見方を維持している事です。

インフレ率が2%の目標に向けた上昇軌道上にないと判断するのは時期尚早として、12月までにインフレ率が上昇軌道にあるのかどうかを判断していく、としている事です。

今月25・26日の次回FOMCの討議材料、6月30日までの情報をもとにまとめた米地区連銀経済報告(ベージュブック)が 公表されました。

「経済活動は6月、全12地区でわずかから緩やかな(slight to moderate)ペースで拡大」
「雇用は控えめから緩やかな(modest to moderate)拡大ペースを維持」
「賃金も引き続き、大半の地区で控えめから緩やかな(modest to moderate)ペースで上昇。非熟練者および熟練労働者双方で賃金圧力の高まりが報告された」

としています。

FRBは失業率が低下するにつれ賃金圧力が高まり、それに伴いいずれ物価が上がり、物価目標の2%を達成できると期待しているとまとめています。このことは、イエレン議長の見通しを裏付け、ドルの下支えとなるはずです。

展開によっては、近未来的に、インフレ懸念は逆に強まる可能性もあるという事を、認識すべきです。

(7/13 8:29)

イエレン議長証言はハト派とされ、ドル安、米株高、米債券高

イエレンFRB議長は昨日12日、米下院で証言を行いました。米経済は緩やかな追加利上げとバランスシート縮小を吸収できるほど十分健全だとの認識を示した一方で、低水準のインフレ率や自然利子率により、利上げの余地は限られる可能性もあるとしました。 

市場は今回のこのイエレン議長の証言内容をハト派と受け止めたため、というより、市場が期待していたタカ派な内容ではなかったため、ドルと米債は失望のポジション調整となりドル円は113.74から112.93へ、米10年債利回りは、2.30%と前日比0.06%利回りが低下。

一方で緩やかな利上げペースは株式の買い材料で、低金利の下では国債と比べて株式の利回りが魅力的となるので、NYダウは21532.14(前日比+123.07)、ナスダック指数は6261.172(前日比+67.867)とハイテク株を中心に大きく反応しました。

イエレン議長はこの日の議会証言で、インフレ動向への根強い警戒感をにじませ、市場は先行きの米利上げ観測が弱まり、具体的には、CMEのFEDウオッチによれば、金利先物が織り込む12月米利上げの確率は53%と、議長証言前の60%から低下。市場の来年の利上げ観測は大きく後退しました。

今回の証言のポイントは、FRBが考える2%のインフレ目標達成に注力すると強調した事です。

「インフレ率が目標の2%を持続的に下回り推移するリスクを認識している」
「インフレ指標が過去数カ月、著しく低水準にとどまっている事を確認している」
「一時的要因がインフレの上昇を抑制しているもよう」
「米インフレ率が今後数年で2%に上昇する軌道に乗っていないとの判断は時期尚早」

と述べ、利上げは必要だが、穏やかにとの内容でした。

見るべき点はインフレ率なのですが、より意味を持つのは賃金上昇率の拡大でしょう。インフレ率は上昇するも賃金が上昇しなければ、米GDPの3分の2を占める個人消費に繋がらないからで、今後の指標に注目です。

もう1つのポイントは、 FOMCは、国債のみで構成される以前のポートフォリオに、出来るだけ早い時期に戻す意志を明確にした事で、その意味は、FRBは一具の市場で噂をされている地方債や学生ローン関連債務を購入する事はない事を確認し、これまでの想定通り、バランスシートの縮小は年内に着手する公算が大きいと、FRBが年内にはテーパリング(資産縮小)を開始する意志を確認した事です。

総じてイエレン議長の発言を市場は、FRBは追加利上げを急いでいなく、今後は慎重な対応になると受け止め、米利上げは年内あと1回を超えることはないとの見方が広がりました。

市場は今回のイエレン議長の証言内容をハト派的と解釈しましたが、思うにこれまで述べてきている事と違いは無く、伝え方がより慎重な表現になっただけで、今後のインフレ率、賃金上昇率次第で加速もありなのだと見ています。

いつもそうなのですが、FRB、イエレン議長は以前からの姿勢にぶれはなく、ぶれているのは常に市場の方です。タカ派的だと買い上がり、ハト派的だとポジション調整を繰り返しています。本日上院でのイエレン議長の上院での議会証言と同時に、本日13日の 6月米卸売物価指数(PPI)、14日の6月米消費者物価指数(CPI)の発表に要注意です。

(7/13 7:08) 

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ブレイナードFRB理事発言と、トランプ・ジュニアのメール公開

昨日NY午後に入り、米10年債利回りが2.37%から2.35%へ低下した事でドル円は114.50から113.72へ、ユーロドルは1.1395から1.1479へとドルが軟調で、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスも低下、一時95.621と昨日安値を付けています。

 その理由は2つあります。

まず、トランプ米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏がロシア人弁護士との面談をめぐるやりとりを示したメールをツイッターで公開した事で、「ロシア検察トップが民主党候補のクリントン氏に不利となる情報提供を申し出た」等と伝わり、NYダウは一時130ドル近い下落となり、ドル売りが優勢となりました。

この報道では、114.00手前でいったん下押しが止まったのですが、次に、ブレイナードFRB理事の「最近のインフレ軟化を踏まえて金利軌道を検証する」「追加利上げ決定前にインフレを見極める意向」との発言が伝わりドル売りが再開、米10年債利回りの低下幅も拡大し、10日安値の113.90を下抜け113.72まで急落しました。

忘れたころのロシアゲートです。「ロシアはドナルド・トランプ・ジュニア氏への電子メールで選挙を助けたい意向を示した」と伝わりNYダウが一旦急落、米10年債利回りが低下となれば、ドルは売り調整は避けられません。

トランプ米大統領長男が、ロシアゲート疑惑に関係するメールを公開するとなれば、投資家心理が悪化しても仕方ありません。最悪のケースはトランプ大統領の弾劾を含め、ロシアゲート問題が再び加熱し、今後のトランプ政権の政策遅延や修正が出るのは避けられなくなるかもしれません。 

ブレイナード理事も、元々ハト派なので驚きはないのですが、このところタカ派的な発言が多かった流れの中では、ポジションの調整のきっかけとなっています。

バランスシート調整は進めるものの、金利引き上げには慎重と言うスタンスを示したことで、明日からのイエレン議長議会証言に関して、市場は、「もしかしたらハト派的な物になるのでは」との疑念・心配が浮上。その事の方が、ブレイナード理事の発言内容そのものよりも、市場へ対する影響が大きかったと見ます。いずれにせよ、足元の流れは、明日からのイエレン議長議会証言次第となってきました。

(7/12 5:13)

日銀が地域経済報告(さくらリポート)を公表

昨日、日銀が地域経済報告(さくらリポート)を公表しました。 

「全9地域のうち5地域が景気判断引き上げ、4地域が据え置き」
「景気判断の上方修正は北海道、関東甲信越、近畿、中国、九州沖縄」
「景気総括判断、6地域が「拡大」・3地域が「回復」」

ポイントは、景気回復がようやく地方にも波及してきた点です。

日銀は、北海道、関東甲信越、近畿、中国、九州沖縄の5地域で景気判断を引き上げました。そのうち関東甲信越、近畿、中国、九州沖縄の4地域では景気を「拡大」と表現。東海と北陸に関しては前回(2017 年4月時点)すでに「拡大」としていましたから、全国9地域の内、過去最多となる6地域が景気を「拡大」と判断した事になり、リポートの前身調査が始まった1998年1月以降、初めて全国の半数を超える地域で判断が「拡大」になりました。

各支店からは景気の循環が強まっているとの報告が聞かれると同時に、地域の人手不足も進行しています。 人手不足は深刻で、雇用情勢の判断を引き上げたのは九州・沖縄だけでしたが、労働需給の引き締まり傾向が続く中で、足元の人手不足感のレベルは、前回調査に比べて強まっていると、調査統計局は報告しています。 

また、街角景気を映す内閣府の景気ウオッチャー調査も公表され、判断指数が半年ぶりに好不況の境目を示す「50」まで上昇。 物価上昇にはつながっていないものの、個人消費の改善で日本経済は強まりつつあると判断されます。 ただ、これらのニュースを受けての市場の反応は、殆どありませんでした。 

一方で、NHKは世論調査を発表。景気の回復を感じるかとの問いに対しては感じるが9%、感じないが56%でした。しかも、安倍内閣への支持率は35%で最低水準になり、不支持は48%でした。こちらの報道の方が市場にとっては意味があったのかもしれません。

ちなみに、来月初旬にも安倍首相は内閣の改造を行うとの報道も聞いています。起死回生の一打となればよいのですが、本邦安倍内閣にとって、これからは衆議院の任期を睨んでの議会解散のタイミング等政治のイベントが立て込む事になり、展開と結果次第では本邦政治リスクが高まる事になります。 

この夏~秋にかけ、本邦政治リスクによる予想外のリスク・オフ相場になるかも知れません。その心構えが必要であると想定します。

(7/11 5:25)

どうにかG20は閉会しましたが

ドイツのハンブルグで開催されたG20首脳会議は8日、2日間の日程を終えて閉幕しました。議長国のメルケル首相は今回、自身の生誕地を開催地に選んだとの事です。

メルケル首相は議長国として、米国と他のG20各国との意見の違いに挟まれ、首脳宣言の取りまとめに相当難航したと聞いています。 流石メルケル首相です、どうにかまとめ上げリーダーシップを発揮しました。

その首脳宣言のポイントは、

【1】北朝鮮問題

今回のG20 は7・8日でしたが、その開幕直前の4日、北朝鮮によるICBM発射があり、日米韓のみならず集まったG20各国間の会談でも北朝鮮問題が大きなテーマになりました。ですが首脳宣言には北朝鮮問題を盛り込む事は出来ませんでした。

ただ、日米韓の首脳は北朝鮮に最大限の圧力をかけるという「制裁強化」への共同声明を出しました。

一方で、これに対してロシア・中国は、北朝鮮への危機感を共有するとしたものの、北朝鮮へは「対話を重視」として、日米韓とは一線を画しています。

北朝鮮がICBMを手に入れるという事は、実は米国のみならず、欧州もその射程距離に捉えたという意味を持つ事から、安倍首相はメルケル首相を始め欧州各国をも説得したと聞いていますが、ロシア・中国の反対が強かったようです。

【2】貿易については、

開かれた市場であるべきで、あらゆる不公正な保護貿易主義と戦うとしていますが、「自国第1主義」を掲げる米国が受け入れやすいように、不公正な貿易相手国に対して正当な対抗措置を容認するともしています。

【3】パリ協定については

トランプ大統領が先月、地球温暖化対策の国際協定体制としてのパリ協定からの脱退を宣言。今回の首脳会議では、米国以外のG20各国が米国に対して反対意見を述べ、国際的な枠組みパリ協定の順守を求めましたが、G20としての明確なメッセージを出せませんでした。

以上、この首脳宣言に関しては、北朝鮮問題に関しては、ロシア・中国に配慮し、貿易問題に関しては、米国に配慮し、G20としての明確なメッセージを出せずに終わりました。

これは、G20 という枠組みの限界なのか、今の時代が複雑なのか、取敢えずG20は閉幕し、国際的な足並みの乱れがハッキリしました。

週明け早々には市場は反応しないと思われますが、国際的な利害の対立が、各課題に関して表面化している以上、いつリスク・オフに動いてもおかしくはありません。

(7/9 21:57)

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