楽して得られないFXの面白さ[中里エリカ]

最近、SNS関連の友人申請で圧倒的に多いのが「楽して儲ける。人生が変わる。やりたいことをやれるようになる」という類いのもので、その方法の一つに挙げられるのがFX取引のようだ。

確かにそういう方法もあるのかもしれない。ただ以前から書いているように、「誰かが書いた勝利のルールが、全ての人に当てはまるものではない」。しかし、どこかでこの言葉に反発してしまうのは、やはりマーケットの面白さを私たちFX会社がイマイチ伝えきれていないのではないかという気持ちがあるからかもしれない。

トレーダーによって、初期の投資金額もパソコンに張り付ける時間も、損失許容額もまちまちである。そしてどの相場においても、どういった売買ルールで利益が出せるのか、誰かに聞くのではなく自分で考えることが必要だ。

ドキドキしながら最初のポジションを持ち、一銭の動きにもドキドキする。ポジションを閉じたときのほっとした感じや、ちょっとだけの利益でも何だか嬉しい。そして徐々にポイントを通過してもイマイチ動きの悪い相場にイライラする。なかなか思ったポイントを抜けないかと思いきや、突然動きすぎて手が出せなくなる。指標発表前のディーリングルームの静けさ、直後の騒がしさ。何をやってもうまく行かない時期があり、とんでもない相場で損失を出してしまい、マーケットに逆らえない自分の弱さを知る。冷静になってもう一度、何が間違っていたのかを自分なりに研究し、初心に戻って恐る恐る取引してみる。思った以上にうまく相場が動いてくれて、そこそこの利益を出せてほっとする…。

そういった経験を通じて、少しずつ少しずつマーケットの面白さが分かってくる。「楽して儲ける」というのも悪くないし、やりたいことをやりたい時間に好きなだけやるというのも悪くない。それでもやはり私は苦労しながら、自分なりの方法を探す方を選びたいと思う。マーケットほど自分が謙虚にならなければいけないことを教えてくれた場所はない。

特にこれからFXを始めたいという方に伝えたいのは、「まずはデモ取引で良いから、FXの売買を行ってみて相場観を磨いてください。そして自分で方法を考えてマーケットの面白さを味わってください」ということである。「楽して儲ける」なんて、むしろもったいないと思う。

※この記事は、FX攻略.com2017年11月号の記事を転載・再編集したものです

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中里エリカ(なかざとえりか)

サクソバンク証券株式会社マーケティング部長。大学卒業後、為替ブローカー会社、外資系銀行にて為替及びデリバティブのインターバンクでのトレーディング業務に従事。勤務していた会社が子会社として「オリエント・トラディションFX」(現在の外為どっとコム)を設立したのをきっかけに、長年FX取引に携わっている。その後DMM.com証券、フォレックス・ドットコムジャパン、アルパリジャパン、デューカスコピー・ジャパンなどを経て現職。

公式サイト:サクソバンク証券