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クリスマス前、カリフォルニア州の山火事がワイン価格を押し上げへ[安田佐和子]

ハリケーンと山火事で保険会社の業績が悪化

米国の保険会社は、7〜9月期決算でハリケーン“ハービー”をはじめ“イルマ”“マリア”の自然災害損失により大幅減益を計上しました。米調査会社ファクトセットによれば、保険会社の決算発表が相次いだ10月27日時点では同セクターがS&P500構成企業の1株利益伸び率を押し下げ、前年同期比4.7%増と1年ぶりの低い伸びにとどまっていました。最終的には、エネルギー(同135.1%増)やIT(同19.7%増)など増益を果たした7セクターが相殺し、7〜9月期の1株利益伸び率は同6.2%増となる見通し。

ただ保険関連の業績をめぐっては、10〜12月期も懸念材料を残します。平年を下回る気温に伴い積雪の恐れがある他、10月8日にはカリフォルニア州で大規模な山火事が発生したためです。一部の保険会社は、2期連続の業績不振を余儀なくされかねません。

保険会社の業績より心配なのは、その被害状況と今後の影響です。甚大な被害を受けたカリフォルニア州はナパ郡やソノマ郡などを抱えています。二つの郡は世界第4位のワインの産地として有名ですよね。ワイン関連の就労者数は32.5万人で、経済規模は観光関連の72億ドルを含め580億ドルとされています。ワイナリーを訪れる観光客は年間でおよそ240万人と、大阪市の人口をやや下回る規模に相当するのです。

ソノマ郡での旅行者1人あたりの平均支出額は、2016年に1日あたり389ドルとなりました。NY市での229ドルを上回ります。ちなみに、ぶどう品種別の面積は、日本でおなじみのカベルネ・ソーヴィニヨンがトップで47%、2位がシャルドネで15%、3位がメルローで11%となっています。

ワイン市場に与える影響はどの程度か?

今回の山火事ではワインの産地を含む五つの郡を直撃しただけでなく、2800件の住宅と22万エーカーの土地を焼き尽くしました。死者は40人を超え、カリフォルニア州史上で最悪の山火事として記録されています。

ナパ郡やソノマ郡などカリフォルニア経済を支えるワイン市場にとって不幸中の幸いだったのが、気候でした。今年は猛暑に見舞われたため、カリフォルニア州のワイン向けブドウ生産の70%を占めるセントラル・バレーをはじめ、10%ずつを担うナパ郡やソノマ郡でも例年より早く収穫できたといいます。未収穫のぶどうは全体の約25%にとどまり、通常より格段に少なかったんですね。しかも未収穫の品種は、煙害に強いとされているカベルネ・ソーヴィニヨンが多かったようで、山火事被害に遭ったナパ郡とソノマ郡のワイナリーも1900件中で30件以下に収まる程度でした。

ただし、煙害によるブドウの味への影響をはじめ山火事による熱、焦土による被害は少なくとも来年の春まで予想できないといいます。ブドウの木に被害が及んだ場合は5年間にわたってワインの生産を見送る必要が生じるため、生産量の減少に伴う値上げが予想されます。不動産調査会社コアロジックの試算では、崩壊した施設などを含め経済損失額は650億ドルと、カリフォルニア州経済規模の2.5%に相当する見通しです。

米国でのワイン市場は拡大を続けており、価格に及ぼす影響も注視されます。2016年に、米国人1人あたりの消費量は11.1リットルと2年連続で過去最高を更新しました(なお、日本は2.7リットル)。価格帯でみると、ワインを購入した米国人のうち56%が9〜15ドルのワインを選んだといいます。50ドル以上の高級ワインを購入するとの回答は44%でした。今回の山火事で影響を受けるのは高級ワイン購入者と考えられ、ワイン業界の試算によれば最高で50%の上昇もあり得るといいます。

欧州もワイン不足へ

今年は、欧州もワイン不足に拍車を掛けつつあります。欧州委員会によれば春ごろの霜や夏場の干ばつなどの悪天候により、ワイン市場の約半分のシェアを有するフランス、イタリア、スペインでの生産量は今年、1982年以来で最低にとどまる見通しです。

お陰でワイン指数は上昇の一途をたどります。カリフォルニア産のオーパス・ワンを含む高級ワイン100種指数は10月末に308.93と2011年9月以来で最高に達しました。2017年の世界ワイン生産量は前年比8%減の2億4670万ヘクトリットルとなる見通しとあって、上振れを招いていることでしょう。

欧州での不作にカリフォルニアの山火事が重なったとなれば、高級ワイン市場を直撃すること必至。クリスマスやバレンタインデーに購入するワインの価格に、その影響が出てくるかもしれません。

※この記事は、FX攻略.com2018年2月号の記事を転載・再編集したものです 

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