トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
中長期的にマーケットのテーマが米中貿易戦争であることは間違いないものの、足元では米中双方から「対話」というワードが何度も出たことで、ややトーンダウンしております。一旦は来週行われる安倍首相の訪米、日米首脳会談と米為替報告書へ焦点が移りそうです。また、経済指標では今夜、米消費者物価指数とFOMC議事録公表がありますのでこの辺りもしっかりと押さえておきましょう。
米中首脳会談を控え、来週にかけて神経質な展開か
米中貿易関連で双方の空中戦はヒートアップしていますが、この材料にはマーケットがやや慣れてきた部分もあり、こう着状態となっています。このようなモメンタムで警戒が必要となるのは、来週米財務省が半年に一度公表する為替報告書となります。前回の為替報告書で監視リストに名前が上がっていたのが中国、日本、ドイツ、スイス、韓国の5か国でした。中国とは今まさに貿易摩擦でバチバチにやりあっている最中であり、標的を中国以外と考えた場合、次のターゲットが日本になる可能性は低くはないと思っています。前回の報告書では、現在の円が割安であるとの指摘もあったので今回も厳しい内容になるかもしれません。さらにこのタイミングで来週は安倍首相の訪米、首脳会談が控えているため、来週にかけては神経質な展開が予想されます。
また、米国のシリアに対する軍事行動がリスク要因として警戒されておりますが、以前にもシリアを空爆した経緯があり、マーケットは現時点ではそれほど意識されていないようです。
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レンジと割り切ったトレードも
先週末の米雇用統計でもインフレ関連指標に敏感に反応していたため、今夜の米消費者物価指数は注目度が高いと言えます。市場予想を上回った場合は利上げペース加速への期待が高まり、教科書的にはドル円にとってはポジティブな材料となります。しかし、上振れた場合の注意点として米金利の上昇に伴い2月の株価急落→リスクオフという展開も同時に考えておく必要はありますので、難しい判断となりそうです。
また、チャートを見ても方向感が掴みにくく、長期的に見てダウントレンド継続と考えることもできる一方、短期的には3月高値を上抜けてきたことで底打ち感が出てきており、転換と考えることができます。明確な方向が見えていないだけにレジスタンスを2月21日高値の107.90円、サポートを4月2日安値の105.65円としてレンジと割り切ったトレードを考えています。また、このポイントをブレイクするような明確な値動きがあればしっかりついて行けるように準備だけはしておいてください。
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