何となく使ってしまいがちな移動平均線について、その基礎から学ぼうという意図から始った当企画は、今回で最後となります。その集大成として、複数本分析を解説してもらいましょう。
※この記事は、FX攻略.com2017年1月号の記事を転載・再編集したものです
多くのプロも行う3本線分析のコツ
前号では、移動平均線の2本線分析を紹介し、トレンドを六つに分類してトレンドを段階的に捉えることを推奨しました。5話目となる今回は「移動平均線の3本線分析」について解説していきたいと思います。
それでは始めに問題です。期間の異なる移動平均線3本と価格の位置関係からトレンドを分類すると、全部でいくつに分類できるでしょうか。答えは24分類です。移動平均線をわずか1本追加しただけでも、6分類からさらに細分化することが可能なのです。
しかし、今回はトレンドを24に分けて売買タイミングや決済タイミングを捉えよう、といったお話をするつもりはありません。トレンドをさらに細分化すること自体は実に結構なことですが、細か過ぎたら細か過ぎたで、シンプルで分かり易い移動平均線分析の利点が損なわれてしまい、実践で生かすことが難しくなってしまうと考えるからです。そのため、今回は少し異なる視点で3本線分析の実践的な活用方法についてお話ししていきたいと思います。
まず、3本線分析における一般的なパラメーターは図1です。時間軸に関係なく、短期—中期—長期を5—25—75、もしくは25—75—200と取るのが、おなじみなのではないでしょうか。前者はトレンドに敏感に反応し、後者はやや鈍感に反応する組み合わせになります。
何にしても、大事なことは組み合わせの良し悪しではなく、移動平均線の遅行性をしっかりと理解し、あなたがマーケットから何を知りたいかを明確にして、パラメーターを採用することです。
最も知りたい!転換局面の動き
では続いて、3本線分析におけるトレンドの転換局面に焦点を当てていきたいと思います【図2を参照】。一定期間、下落トレンドが続いた後に価格が下げ止まって上昇に転じると、短期線がいち早く上昇に転じます。そして、次の段階では短期線が中期線を上抜けるゴールデンクロス(GC)が確認され、移動平均線の並び順は上から順に長期>中期>短期だったのが、長期>短期>中期へと変化します。
なおこれは、短期線と中期線のGCということで典型的な買いシグナルではありますが、いまだ長期的なトレンドは下落トレンドを示唆する局面です。そして、さらに上昇トレンドが継続すると、今度は短期線が長期線を上抜ける局面が訪れ、各線の並びは短期>長期>中期へと変化し、本格的な上昇局面へと移行します。やがて価格の上昇に伴って中期線と長期線がGCすると、並びは短期>中期>長期へと変わり上昇トレンドが完成するのです【図2の①】。
短期線と中期線、短期線と長期線、中期線と長期線のGCは、どれもトレンド転換による買いシグナルという点では変わりはありませんが、そのタイミングやトレンドの信憑性には違いがあるため、それぞれ分けて考え、精査して採用することが大切です。ちなみに④は、①と反対の下落トレンドの完成局面です。
次に②の局面です。こちらも各線が上から順に短期>中期>長期という並びとなり、上昇トレンドが完成したという点では、①と変わりはありません。しかし、それ以前の中期線と長期線の位置に、大きな違いがあるのにお気付きでしょうか。長期的な視点に立つと、短期線が中期線を上抜ける前から上昇トレンドであることが確認できますので、これは一定期間にわたって上昇トレンドが続いた後に、短期的に調整局面が訪れ、再び上昇トレンドに回帰した局面であるということです。
底値圏というよりは、上昇トレンドの中盤以降で確認されるトレンド転換シグナルになりますので、ぜひ覚えておいてください。そして⑤は、①と反対の下落トレンドの局面です。
続いて③の局面です。これは各線が交わることなく水準を切り上げ続けています。各線の並びは上から順に短期>中期>長期という順番で、短期線・中期線・長期線と、どの視点で見ても上昇トレンドであることが確認できるため、上昇トレンドの信憑性が高い局面です。このままトレンドが継続するのであれば、この並びが変化することはなく、むしろトレンドが強くなればなるほど各線の間隔は拡大していきますので、その間隔にも注目してください。
図2の6種類が、今年の9月〜10月に確認できたのが図3になります。実践の参考にしていただければ何よりです。
いかがでしたでしょうか。今回までの5話で、移動平均線はシンプルでありながらパラメーターの設定や組み合わせ方によって全く異なることを教えてくれる、変幻自在な指標だということがお分かりいただけたでしょう。
じっくりと吟味して、あなたのトレード手法やスタイルに合った方法を見いだしてくださいね。
※この記事は、FX攻略.com2016年12月号の記事を転載・再編集したものです
【移動平均線を理解する[マックス岩本]】
・その1|パラメーターの種類について
・その2|単線分析について
・その3|グランビルの法則
・その4|複数本分析
・その5|3本線分析
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