マックス岩本さんに「トレンドライン」の基本から応用までを体系的にまとめてもらう当企画。今回のテーマは、トレンドラインを用いてエントリーや決済の判断をする方法についてです。新しい「チャネルライン」の概念も加わります。
※この記事は、FX攻略.com2017年3月号の記事を転載・再編集したものです
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どのタイミングでエントリーする?
前回は、2点以上の高値同士もしくは安値同士を結んで引いたラインがトレンドラインであり、その傾きによってマーケットの方向性が示唆されるということ。そして、トレンドには“一定期間続く”という特徴があるため、マーケットの方向性が分かり、売買戦略を構築する上でも有用な情報になるということをお伝えしました。今回もトレンドラインについて、さらに掘り下げて解説していきたいと思います。
それでは問題です。図1のように、2点の安値を結んで右肩上がりとなる上昇トレンドラインが引ける局面が訪れたとしましょう。上昇トレンドラインが引ける局面ですから、当然基本戦略は買いとなります。では①〜③のうち、どこで買っていくのが正しい売買判断といえるでしょうか。
早速ですが、正解は③です。なぜだと思いますか?まず、①が不正解である理由は、価格が上昇トレンドラインに向かって下落してきた場面ではあるものの、いまだ上昇トレンドラインがサポートラインとなるかまでは定かではない局面だからです。上昇トレンドラインが引けたからといって、必ずその水準で価格が反発するというわけではありません。あくまで一つの可能性に過ぎないのです。
相場状況によっては、上昇トレンドラインを割り込み、そのままトレンドが転換してしまうケースもありますので、必ずトレンドラインでの買い勢力、下値サポートを確認してから買うということを心掛けてください。
次に②です。もう採用しない理由は明らかですよね。こちらは上昇トレンドラインを割り込んだことを確認して買うというものですから、大きな間違いです。結果的に見れば、この局面で買うことが最も安い水準で買うことができ、後に価格が上昇したときには一番大きな利幅が乗るわけですが、結果論に過ぎません。
上昇トレンドラインを割り込んだということは、上昇トレンドラインでの買い勢力が確認されなかった、換言すれば売り方が勝ったことを意味し、何より下落トレンドへの転換を示唆するため買いは禁物です。
その点、③は上昇トレンドラインで反発したことを確認してから買うというものですから、理にかなっていますよね。できる限り安い水準で買いたいという気持ちは分かりますが、後に価格が上昇しなければ元も子もありません。上昇トレンドは、上昇トレンドラインにサポートされながら上昇するものであり、下値での買い勢力が確認されて初めて上昇トレンドの信憑性が高まるのです。
価格の推移を水路に見立てるチャネルライン
それでは続いて、トレンドライン分析を活用する上で、欠かすことのできないチャネルラインについて解説していきます。チャネルラインとは、上昇・下落トレンドラインに対して引いた平行線のことをいいます。
上昇チャネルラインは図2の安値①③を結んだ上昇トレンドラインに平行になるように引いた赤い点線です。また、下落チャネルラインは高値①③を結んだ下落トレンドラインに平行になるように引いた青い点線です。ちなみに、「チャネル」とは水路という意味で、価格がその間を推移する特性から上昇トレンドラインと上昇チャネルラインを1セットで上昇チャネル、その反対を下落チャネルと呼びます。
なお、チャネルラインの活用方法はエントリー判断と決済判断の大きく二つです。チャネルラインは各トレンドによって、サポートライン・レジスタンスラインとして意識される特徴があり、この特性を売買判断に活用していくものです。
具体的には図3をご覧ください。安値①③、高値②が示現したことにより、上昇チャネルが確認できる局面です。その上で、具体的なエントリーポイントは上昇トレンドラインがサポートラインとなったことが確認された赤矢印のポイントです。
決済判断は上昇チャネルラインを30分足の終値決定ベースで明確に割り込んだ赤丸のポイントです。結果的にはもう少し利益を伸ばせた局面ではありますが、後に反落している点もふまえ、利益を取りこぼすことなく決済できたという点を考慮すれば御の字ではないでしょうか。
また、チャネルラインは青矢印で示したようにエントリー根拠としても活用可能です。ただし、この事例からもご覧いただける通り、上昇チャネルライン近辺での売りは大局のトレンドに対して逆張りでエントリーしていくため、短期的な売買に留めておくのがベターでしょう。基本はトレンドに沿った順張りトレードを推奨します。
今回はここまでとなりますが、トレンドライン分析はまだ続きます。次回は「トレンドライン分析でトレンドの強さを測る」について解説して参ります。
※この記事は、FX攻略.com2017年3月号の記事を転載・再編集したものです
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