YouTubeで人気の凄腕(!?)トレーダー
井口 JINさんがYouTubeに上げている動画を、ほぼ視聴させていただいてます。
JIN ひどい動画ばかりで、恐縮です。だいたい苦しんでいるという。
井口 それが魅力です(笑)。NYダウが下がると、JINさんの顔が浮かんでしまうほどです。
JIN ダウが下がると、私の持っているのが全部下がりますからね(笑)。
井口 失礼ですが視聴者の方々は、今や負けまくっている人という印象を持たれていると思います。ただ、動画を始めた2016年、2017年に関しては、数千万円の利益が出ていたとの話です。そのころはどのような売買戦略でトレードしていたんですか。
JIN 米国の大統領選挙が話題になっているころに、ガチでFXをやろうと思って始めたんです。株価指数やドルをひたすら買っていくだけで、今振り返ると、ただ買うだけのド素人戦法ですね。ダウが継続して上がっていましたから、それでうまくいってたんです。
とはいえ大統領選挙のときは、トランプが勝てば円高になると言われていて、実際優勢になってから円高に動いたので売りを入れたんですが、その後にすごい勢いで巻き戻していって、大損害を食らいました。でも、もともと私はドルを買う側だったんで、それからはドル買いをずっとやって、結局2016年も2017年も儲かって終わったんですよ。
井口 2016年11月からのトランプラリーに、うまく乗っていけたということですね。
JIN その通りです。あのときは、ドルもダウもひたすら上がっていたので、ドルを買いつつ、日経平均とダウ、ナスダックをガンガン買っていました。トランプ大統領が一期目で、インフラに投資すると言っていたので、まだまだ上がっていくだろうなという考えもあったんです。
井口 本当にひたすら買うだけだったんですね。
JIN そうなんです。それを2018年になっても続けていたら、2月にVIXショックが起きて、いきなり吹っ飛ばしちゃって。それから戻ってきたので買ったら、次は米中貿易戦争。また戻ってきたので買ったら、今度は世界同時株安。11月の米国中間選挙で巻き戻るだろうと買ったら、12月はパウエルショック。きれいに全部くらいました。
井口 思いっきり振り回されてますね(笑)。
JIN それで、2018年は一体いくら負けたんだろうって、さっき計算していたんです。
井口 聞くのが怖い……
JIN 自分でも、どのくらい負けてるんだろうって、ビビッていました。そうしたら、トータルでマイナス660万円なんですよ。意外と負けてなかった。
井口 それは、実現損益としてのマイナス660万円ですかね。含み損は、また別にある。
JIN そうですね。強制ロスカット以外は、ほぼ損切りしていなかったからです。それで結果としてはマイナス660万円ですけど、もともとは2016年から4000万円くらい勝っていたので、全然プラスではあるんです。
井口 好成績じゃないですか。
JIN ところが、年が明けた瞬間に、フラッシュクラッシュですよ! 3000万円強制ロスカットされて、さらに含み損が3000万円で、合計マイナス6000万円です。それから株が戻したおかげで若干回復して、なんとか強制退場しないくらいに息を吹き返したところです。
井口 そして今に至ると。そんな歴史があったんですね。
クラッシュ待ちで大逆転を図る!?
JIN いやぁ、フラッシュクラッシュには、本当にやられました。これで私も反省しまして、今までは手広くいろいろ買っていたのを全部止めて、ドルと日経とダウとナスダックだけにして、あとは遊びでやるというか、デイトレくらいにしようという戦法に変えました。あ、でも、トルコリラはやっています。
井口 あれ? 以前の動画では、トルコリラをそろそろ止めようかとお話しされていませんでしたか。
JIN そうなんですが、今はポジションが残っているのだけにしています。もともとは含み損は承知の上で、スワップ金利をもらって耐えきろうという、損切りしない男気戦法みたいなことをやっていたんです。それをやりきって「俺は生き残ったぞ」とドヤ顔をしようと思ったんですけど、やっぱり駄目でした。こういうクラッシュに容赦なく食われてしまうって分かりました。
井口 まあ基本的に、駄目な戦略ですよね(笑)。では、2019年の売買戦略に関しては、絞っていくという方向ですか。
JIN そうですね。これからの投資はAIとの戦いになっていくと思うんです。想定外のことを何回もやってくるじゃないですか。VIXショックで下がったかと思えば、すごい勢いで戻していく。トルコリラショックのときも15円台に突っ込んでから、また戻してってやっている。だからもはやAIとの戦いなんだと思っています。
なので、今後もAIが想定外のことやってくるんじゃないかなと。例えば日経平均が3000円落ちとか、ドル円が10円落ちとか。普通だったらあり得ないんですけど。それで、売りの仕掛けは結局、買い戻すじゃないですか。そこを狙う、ひたすら待つという戦略で、大逆転を図りたいと思っています。
井口 クラッシュ待ちですね。それは良いと思います。
JIN クラッシュしたところで、ガッツリ買うという。トルコリラの暴落のときも、15円で買った人は、今や爆勝ちしていますからね。そうなりたい。
井口 クラッシュ後に買いで入れれば、あとはホールドしておけばいいだけですからね。
JIN まあ、言うは易しですけど、それを狙いたいなと思っています。なので、今は余力を回復させながら、耐える時期かなと。
井口 クラッシュ自体を、売りで狙いにいくという考えはないですか。
JIN それは無理じゃないですか。いつ来るか分からないですよ、あんなの。
井口 動画では、そろそろ下がるんじゃないかってお話しされていたような……
JIN そうなんですよ!そろそろクラッシュが来るのは分かってたんですよ。だから証拠金をいっぱい入れて耐えようと思ってたんです。
井口 証拠金の方面でがんばろうと(笑)。一回、全部綺麗にして、売りで参戦するという戦略は考えなかったですか。
JIN それは無理ですよ。クラッシュは、いつ来るか分からないですもん。そこをピンポイントで当てられる人なんているんですか? 予言者じゃないですか。
井口 それが、フラッシュクラッシュのときに、予期していた人がいたようなんです。実際に個人投資家の中には、ショートでめちゃくちゃ稼いでいる方が何人かいます。クラッシュが起こる前から、投機的な仕掛けを察知していたようです。というのも、下がっている途中から入るんではなく、クラッシュ前からショートを入れていたんですよ。
JIN 凄くないですか、それ。何で分かったんですか。
井口 1月2日のニューヨークから、確かに変な動きをしていたんです。それで3日の朝に、クラッシュが起きた。そのときの動きって、今までに体験してきたことがあったんです。例えば東日本大震災のときは、前日の引けにかけて変な動きをずっとしていて、「これ狙われるぞ」みたいな雰囲気があったんです。今回も、そんな空気を読み取ったんでしょう。
JIN それって、かなりの上級者じゃないですか。暴落を狙って売りを入れられたら、それに越したことはないんですけど、自分がそんなに有能だとは思えません。私のような初心者ができるとしたら、下がったところで買うことじゃないですかね。なので、そっちで勝負しようと思います。
井口 今、為替に関しては、トレンドができにくくなっています。AIが主流になってきてから、レンジが続いてクラッシュする、そしてまた戻ってからレンジになるっていうのが繰り返されています。だからここ2、3年は本当にリピート系の調子がずっと良かった。それでロングがたまりにたまって、そこを狙われた。そしてほとんどが焼けてしまったので、もう一回ここから始まります。JINさんがおっしゃったように、クラッシュをいかに待つかというのが、戦略としては良いと思います。待つのは大変なので、ちょっと苦しいですけど。
JIN そうですよね、ずっと見てないといけないですからね。
予想をするのはあまり意味がない!?
井口 それにしても、為替はAIが主流になってから、マーケットが変わりました。
JIN いつぐらいから感じました?
井口 為替に関しては、大きなトレンドができたのは、アベノミクスが最後です。株がずっと上がっているのに対して、為替は止まりました。ドル円はレンジになったじゃないですか。それで動かなくなったと言われていた中で、いきなり動いたのが今回のクラッシュでした。今は、しっかりしたトレンドができにくいマーケットになっているのかもしれないですね。これだけAIが主導するってなると、例えば輸出企業が大きい指値を入れられなくなるんです。クラッシュは、そのあたりも関係なく食ってしまうので。だからあまり大きいポジションを置けないというのもあって、ちょっとおかしくなってきているのかなと見ています。
JIN 去年はトルコリラショックで、今年はフラッシュクラッシュで、次は何が来るんですかね。
井口 一応、ある程度落ち着くんじゃないでしょうか。
JIN そうですか?
井口 個人投資家のポジションってドルもそうですし、豪ドルもそうなんですけど、この2年くらいのレンジに慣れていたので、下値に膨大なポジションがたまっていたんです。それが、何年かぶりに崩された。AIにしたら、お正月のあの時間帯、あのポイントしかチャンスはなかったんだと思います。後講釈ではありますが。それで、またすぐに同じことをできるかっていうと、多分そうはいかない。どこでもかしこでも仕掛けると、今度はAIが負ける番になると思います。
JIN 今はポジションがないですからね。みんなが買い始めてポジションがたまると、またドーンと。
井口 そうですね。今は一回、まっさらなマーケットになって、ここからまた仕切り直しっていうところです。何かあるとすれば、もう少し時間が経ってからなんじゃないですかね。
JIN それなら、買わなきゃ! 今買ったら、大チャンスじゃないですか。
井口 もう戻りすぎてますよ(笑)。
JIN ちょっと遅い。そうなんですよ! でも、ドル円買いでいいかな。どうなんだろう。円高っていう人も多いみたいだし。
井口 JINさん、2019年のドル円はどう見ますか?
JIN 100円は割らないと思いますね。基本的にドルを買ってますからポジショントークが入ってますけど。ゆうても金利がついてますから。でも、円高が進んで80円を目指すなんて、本気で言っている人がいるじゃないですか。だから、そんな時代なのかなと思いもするんですけど。井口さんはどう見ていますか?
井口 100円はさすがに割らないと思いますね。でも、上に行くのか下に行くのかっていったら、下に見ています。ただ、みんな下って言ってるんで、上でもいいかなと思うんですけど。
JIN そうですよね、みんなが言い始めると逆にいきますからね。
井口 はい。予想は当てにならないですから。
JIN 結局そこなんですよ。だから予想するだけ、あんまり意味がないのかなっていう気もしています。
井口 ほとんどの人の予想って、大体当たらないです。大して参考にならないっていうのが正しいかもしれません。
JIN ただ、常識的に考えたらドルの価値がそんなに弱くなるかっていうと、そうは思わないんです。実際に金利がついているわけで、日本も今のところマイナス金利政策をやめる予定はない。と考えたら、100円を割らないよねっていう結論になります。
井口 さすがにそうですよね。ただ、2018年ってものすごく米国にとって良い年だったと思うんです。ダウがずっと最高値を更新していって、本当に米国一強だったはずなんです。でも、この2018年でドル円は115円を越えられなかった。おそらく2019年は、前年ほどの好景気にはならないと思うのと、利上げが2回、あるいは利下げって声すら出てるっていう話です。そうなると、上は115円が重いのかなっていう気がしてます。
JIN トランプが何するか分からないところもありますよね。中国と本当に戦争する勢いだという話まで出てますから、それ次第です。そうなると、やっぱり下で買うのを待ってるのが一番良いのかなって思います。
(対談は次号に続きます)
こぼれ話「ホントは10億円持ってません?」
井口 個人的に少し聞きたいことがあるんですけど……
JIN はい、どうぞ。
井口 負けているのは確かだけど、どうせ10億円くらい持っているんだろって意見が出てるじゃないですか。今日もJINさんに会いに行ってくるとディーリングチームに言ったら、本当はいくら資産を持っているのかを聞いてきてくれって。
JIN 確かに、そんなに持ってたら、つまんないですからね。この前に3000万円ぶっ飛ばして、今3000万円の含み損に耐えてますから、結構ギリです。そもそも、10億円もあったら強制ロスカットされないように口座に入れてますよ。
井口 それも、そうですね(笑)
JIN 実際に強制ロスカットをされちゃいましたから。ちょっと計算すれば分かるくらいの、それくらいの資産ですよ。たまに、何十億持ってますというすごいトレーダーがいるじゃないですか。そういうのではなくて、本当に崖っぷちですよ。
井口 だから面白いのかもしれないですよね。
JIN そりゃそうですよ、全力でやらなきゃ。
井口 10億円持ってるという話は、間違いってことですね。
JIN 実際、そんなにいらないです。そんなにお金を持ってどうするのかっていう話ですよ。たまにゲーム感覚でドンドン増やしていく人もいますけど、私はそんなのには興味はないです。
※この記事は、FX攻略.com2019年4月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
【後編はこちら】
・現役為替ディーラーが、話題のアノ人と語り尽くす Trader’s対談|ゲスト オレ的ゲーム速報JIN 後編[トレイダーズ証券みんなのFX 井口喜雄]
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\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
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