【来週の米ドル/円予想レンジ】→ 104.00-109.60
「金融政策でも財政支出でも経済が困っているときは踏み込むべき」-。これは以前、筆者が浜田内閣官房参与から直接聞いた見解だ。ベン・バーナンキ前FRB議長が、7/11は黒田総裁、7/12は安倍首相(浜田氏同席)と会談を行った。
報道では、日銀の金融政策について詳しい議論はなかったとされているが、バーナンキ氏と言えば “ヘリコプター・ベン<ヘリマネ:政府の財政支出を中央銀行が紙幣増刷で賄う>”の異名から、どうしても邪推が拡がってしまう。
「ドローン・クロダ」の現実性
先の参院選で勝利した安倍首相の政治信条に照らすと、円高デフレ脱却は絶対の課題であり、改憲に向けた突破口になりえる。そこで、米資産運用会社のアドバイザー・バーナンキ氏の登場である。
7/11週は週初より円安が進行した。懇意の海外ファンドマネージャーによると、欧米アジアの海外ファンド群が円ロングを縮小させているとのことだった。
では、何故、縮小に動いたのか。それは為替操作とした誹りを避け、内政政策である金融緩和と財政投融資を連携強化させる“ヘリコプター・ベン”の手法を日本が採用するのではないか、とした警戒からである。具体的には、財源等に充てる無利子非課税国債や債務償還を想定しない100年債・200年債といった永久債の発行という、想像を絶する手法である。
一昔前に流行った火曜サスペンスドラマなら「もう(ドル安・円高に)耐えられないわ。これ以上、わたしを責めるなら (日本は)崖から飛び降ります」、としたシーンとなろうか。覚悟に恐れた海外ファンドは後ずさり(円売り戻し)をした場面となる。
7/14に本田氏(スイス大使)が「4月訪米時に永久国債発行をバーナンキ氏が議論」と発言したことで、邪推が表沙汰になった格好だ。もっともそれを否定し、反対する浜田発言報も伝わった。政治主体のヘリマネ導入は政府支出を促し、日銀の信用毀損を高め、日本売り・円下落の歯止めが効きづらくなる副作用もあり得るからだ。実現性に関しては財政法第5条の捉え方次第だが、絶対多数の与党国会で議決承認となれば手続き上、不可能ではない。政治の決断に委ねられようか。
4/28に黒田総裁は1/29決定のマイナス金利効果に対し、「1、2か月で直ぐに出るという事ではないが、半年も1年もかかると言うことではない」と明言。言質から推察すると今夏の日銀会合は次の一手が探られる頃でもある。ヘリコプター・ベンならぬドローン・クロダの現実性が燻る。
米ドル/円上値焦点は6/24高値106.70、日足一目均衡表雲の帯(106.61-109.00)、6/3高値109.15、6/2高値109.60と推考。下値焦点は7/13-14安値103.90-96。
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